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迎合しない


さっき久しぶりにドラマを観た。10月スタートの「ファーストペンギン」。奈緒主演で、縁もゆかりもない漁師の世界に飛び込んで奮闘するシングルマザーと浜の漁師たちの物語。堤真一と吹越満、渡辺大知にファッサマと、キャスティングも私の好きな人たちだらけ。

ありきたりな話にも思えるけれど、そうは感じさせない脚本と演技力。一気に引き込まれて、1時間があっという間だった。

途中、奈緒が地域のドン的な人にブチ切れながら語るシーンがある。旧体制的な価値観に真っ向からぶつかり、誰よりも未来を考えてまっすぐ貫き通す。たとえそれが誰かのプライドを削り取ることであっても。地域の、地球の、これから子どもたちが生きる未来と、目の前で困っている人のことを全力でなんとかしようとする。だから怒る、怒る、怒る。タコだのクソヤローだの、口が悪すぎてびっくりした。

でも、見ているこちらがモヤッとした100倍ブチギレてくれて心底スッキリした。スッキリしたのはきっと、自分の中にあるまだ芽を出していないけどたしかにそこにある怒りを奈緒が代弁してくれたから。

偉い人だからって、関係ない。迎合しない潔さ。どんなに周りに雑に扱われても自分だけは自分を尊重し、信じる強さ。美しかった。


たまたまTwitterでカネコアヤノとレキシの対バンが何かの時の動画に出会った時も感じた。

カネコアヤノが客席の方にいて、ダイブしちゃえと周りに促される。でも、事前に聞いていなかったカネコアヤノは、「えー、いいよ」と最初はやんわり断るも、強要される雰囲気が続き「やだ!」「嫌です!」とはっきりと、ずっと伝えつづける。周りが「ノリ悪いな〜」みたいな雰囲気になっている中でも、ずっと。

私だったら嫌でも絶対にダイブしてる。だってその方が楽だから。何百人といる会場の期待に応えた方がいいんだろうなと思うし、そこで飛んでしまえばその場はおさまる。

でも、自分の心と体に嘘をついたことになる。その嘘は知らない間に自分の痛覚を麻痺させる。

彼女は自分のことを大切にした。いやだ!と会場に響く声は子どものようだったけれど、私の目にはその姿がひどく美しく映った。

迎合しなきゃ生きにくい社会なんてつらすぎる。するのは簡単だ。でも、自分の心がすり減るのも思っている以上に簡単だ。気づかないことだってある。

私は私のセンターポジションを守りたい。大切にしたい。どんなに周りが変だと言おうと、自分だけは信じてあげたい。もちろん、バランスを取りながらだけれど、そう願っていたら、きっとできる気がしている。

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