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冬に思い出す、幸せを願う話し。

雪が降る頃になると毎年、思い出してしまう話。

あれから20数年程経っても忘れられないスキースクールで出会った小学1年生の女の子。

当時、私はハウスメーカーを病気で退職してリハビリと体力を戻す為に、とあるスポーツクラブでインストラクターのバイトをしていました。


通常はジムで接客と指導とプールで監視をしていたのですが、スノーシーズンになり子供のスキースクールのインストラクターとしてスキー場へ何故か行くことに。

見渡す限りの白銀の世界で小学校1年生の女の子達にボーゲンを教えるコーチとして参加です。雪景色とスキーにワクワクしていました。

初日
まず、ご挨拶をしてブーツの履き方やらカニさん歩き簡単な雪遊びをして終了。
2泊3日のスキー合宿始まりです。

その後ホテルで食事などをして楽しむ時間があるのですが、

あれ、なんか1人ぽっつーんとしている子がいる?

「どうした〜?」
「......」


困りました、話してくれません。

誰とも話さず遊ばず1人でいます。

よく見ると服もお下がりのようであまり綺麗で無く髪もとかしておらず正直、少し心配な子供でした。

翌日
朝からスキーレッスンですが、子供達は楽しくキャッキャ言いながら時には皆んなで歌を歌いながらスキーの練習です。


楽しい時間。何故か美空ひばりさんの歌を熱唱という不思議な小学1年の団体様です。

がしかし、
昨夜のあの子だけは1人つまらなさそうにしています。
積極的に声がけしますが
「.............」無言

そのうちリフトに乗れるようになり初心者コースの低い所からスキーで降りてくる段階になった段階で、それは起こりました。


「私スキーしたくない」
あの子でした。

「なんで?どうしたの?」と私が聞いても
「..........」無言

そのうち山の平坦な所で座り出して
「もうやめる」

私は困りました。
致し方無いので、他の子供はもう1人のコーチに任せて2人で話しをする事に。

「スキー滑れたら楽しいよ」
「頑張ってやってみようよ」

「楽しくない。どうせできない。来たくなかった」

この繰り返しでなんとも状況は変わらずで小1時間程その場で2人座っていました。

流石にコーチで来たのにお客様である子供がこれではマズイと私は思いましたが、何を話しても心を開いてくれません。

本当に困まってしまいました。
そもそも当時、小学1年生の女の子の面倒を見るボキャブラリーも、コミュニケーション能力もありません。

なので私も若くて子供への対応などわからず言った言葉が
「わかった。もうやめようか?」

「先生もビール飲みたいしやめるのもいいね」

「でも君が頑張ってみたいと思うなら先生も頑張って合格するように教えるからやってみない!」

「絶対できると思うよ。ぜったい合格させてあげるから」
と勢いで言ったんです。

恥ずかしい話その場しのぎです。

その子は
「.......私もできるかな?今まで何も出来たことないし」

「できないよ。私にはできない。今までできた事ない」

ショックでした。この子はこの年齢で自己否定している
小学校1年生の女の子がこんな事を言うのか....

「やればできる!絶対合格できる」
前向きな言葉を力強く何度も時間をかけて話すと

私できるかな?合格できるかな?頑張ってみる。スキーしたい」

「できるよ」

「みんなと滑ろう、先生教えるから」

「うん、私、頑張ってみる、だから教えて」笑顔で言いました。

その後、この女の子は皆んなの所に戻りスキーを頑張って練習していきます。

練習後も私の所に来ては
「先生みて、こんなことできるよ」
「先生一緒にご飯食べよう!」
「先生、先生.....」

昨夜のひとりぼっちではなく、私の所に来てはこれでもかと言うくらい話をしてくれました。
それはもうひっきりなしで私の子供かと言うくらいにです。

最終日の試験の日
試験も私はゴール付近で皆んなに声をかけて応援や指示をして、その子も無事合格。

終わった後のあの笑顔は今でも忘れられません、本当に嬉しさをあらわした笑顔を見せてくれて、初日の1人の時とは大違いです。

合格の発表の時駆け寄って

「合格したよ、私!!」最高の笑顔です。

私も本当に嬉しかったのを覚えています。

合宿終了
スキースクールも終了となりそれぞれの所属するスポーククラブのバスに乗り込む時

「先生一緒に帰ろうよ」
「先生まだ話したい」
「一緒にいて欲しい」

その子は私に泣きそうな顔で言い続けていました。


残念ながら違う場所に帰らねばならずそこでお別れとなりました。

正直、心残りとこの子はその後大丈夫かな。
私に出来る事はないのですが心配でした。

今思うと
あの子は多分、帰っても1人なんだと思います。誰も話を聞いてくれる人がいない。また、周りの子と比べても多分、裕福な家庭ではなく学校でも友達も居ない、ご両親はそんな子を心配してお金のかかるスキー合宿に行かせたのではないかと思います。

この小さな子は、いろいろな状況で自信を無くし、家や学校でも寂しい思いをしているんだと想像するのが難しくありませんでした。

少なくともスキーの体験があの子にとって成功体験として将来の力となっていれば良いなと今でも思っています。


さて、この話を書いた理由。

皆さんに知ってもらいたい事があるんです。

人は小さい頃にいろんな思いを持ってしまいます。その思いは自分ができないとか、人と比べてダメなんだとか間違った認識をしてそれが自分だと思い込むことがあると言うことなんです。これは潜在意識にダメなんだと刷り込まれてしまうからなのです。

その、ネガティブな思いが大きくなって、心や脳に存在して幸せや成功の道から遠ざけてしまいます。

だから人と自分を比べたり、出来ないことで自分をダメ出ししたりしないで欲しいのです。

人は誰しも素晴らしいと、私は思ってます。
特に子供は真っ白で綺麗な心をしているのに、そこに汚れをつけないであげて欲しいのです。

子供の時に感じる劣等感は成長して大人になっても残ってしまいます。

それも自分では気づかない場合もあります。時には周りの人が支えてあげて欲しいと思います。

この女の子が頑張ってスキーをすると言った時のように。

私も偉そうには言えない事は多くありますが、あの子ように寂しく悲しい顔をするような事はしたくないしさせてはいけないと思います。また、このような子供がいたら勇気つけてあげたいなと思います。

もし、今でも自分に劣等感を与えることなどをがあったら全力で逃げても良いと考えてます。逃げる事は恥ずかしい事ではありません。  自分を助ける行為です。
下手に立ち向かい傷を持つ事はありません。
逃げるのも最善の策の1つです。

また、子供や若い方で自分では変えられない境遇や良くない現状にいる人には周りの人が少しでもその人、その子が希望を夢を見れるように接してあげたいと私も思います。

笑顔でいてもらえる時間が少しでもあれば人生が少し良い方向に変わるかと思います。

そして今の


最後に
この話に出てきた小学校1年生の女の子。
今は30歳を超えていると思います。

願わくば仲間、家族、友達に囲まれて彼女が笑顔で幸せに生きてることを願ってやみません。

この時期になると毎年白い雪をみては思い出しては彼女の幸せを願う話でした。

最後までお読み頂きありがとうございます。
感謝しています。






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