見出し画像

数学の行列は計算したら負け

行列すら教えない高校数学に日本の技術軽視の一端を見た」という記事が目にとまりました(会員登録しないと全文見られないようです)。「技術軽視」かはさておき。行列は教えた方がよいと思います。

でも、もっと考えなければならないのは教え方と内容です。学習指導要領に含めたら、試験で成績をつけなければならないでしょう。そうすると、試験に入れたくなるのが計算問題です。

私見では、行列計算なんて人間がやることではありません(「方程式のはなし」)。たとえば、Photoshopのカラー調整やフィルタは行列計算のかたまりです。けれど、そのピクセルごとの計算結果など誰も気にもとめないでしょう。フィルタをつくる人以外は、パラメータの使い方さえわかれば問題ないのです。

最近「『プログラミング教育』でプログラムは書けなくてもよい」という主張をしました。同じく、行列は計算しなくてよいのです。もっとも、計算の仕方は、「行列」という考え方の基礎として知らなければなりません。こういうとき、面倒な計算は、はじめに一度だけプログラミングすればよいでしょう。

あとは、計算はコンピュータに任せます。カラー演算で画像を変換したり、3次元空間で座標を動かしたり、行列計算で何ができるのか理解することに軸足を移すのです(「行列?なにそれ?おいしいの?」)。これは「プログラミング教育」の趣旨にも沿うでしょう。

面倒な計算も手順を決めれば、コンピュータがたちどころに済ませてくれます。しかも、その手順の汎用性が高いなら、大いに使い回しすべきです。そのひとつが「行列」なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?