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劇団四季『ゴースト&レディ』ゆるゆる感想


『ゴースト&レディ』観てきました!

劇団四季『ゴースト&レディ』を観劇してきました!
今回の上演をきっかけに原作を読んだのですが、とても読み応えがあって、シリーズのほかの作品も読むしかないな……と思いました。

劇団四季の公演は土曜日のソワレによく行くのですが、劇場を出て夜空を見上げたら、シアター・ゴーストと過ごした不思議な時間と今が地続きになっているような気がして、とても良い気分でした。
シアター・ゴーストと過ごした奇跡の夜、とても素晴らしい時間になりました。

何はともあれこれだけ言わせてほしい!
シアター・ゴーストのグレイの処女作『ゴースト&レディ』、素晴らしかった!!

ゆる~い感想

ストーリーや演出など

最初にバン!という音と共に照明が落ち、上手側のゴースト・ライトに視線が持っていかれ……そして登場するシアター・ゴーストという演出、一気に引き込まれました。
そして、シアター・ゴーストのグレイが、彼を認識できる人間達に対して語り聞かせてくれる物語がこれから始まるというストーリー展開。
私、ドルーリー・レーン劇場の観客になってた!
『ノートルダムの鐘』の今から物語を始めますよと客席に歌い語り掛ける演出が大好きなので、今回もそういった幕開きで始まったものですから、喜びのあまり走り出したい衝動に駆られておりました。
まだ開始5分です。
原作ではグレイがキュレーターに語る物語が主軸となっており、舞台化にあたり、博物館から劇場に場所を変え、キュレーターではなく観客に語り聞かせるスタイルになったのはとても上手いなと思いました。
「俺が見えていれば拍手を!」と客席を巻き込む演出も、定番ではありますが観客と舞台の橋渡しを果たしていて。
そして最後は原作のように『夏の夜の夢』の引用で幕!
もう、キュレーターさんばりにめちゃめちゃ拍手しました。
ずっと観客として舞台を観てきたグレイが、誰もが知っているフローレンス・ナイチンゲールの、俺だけの知ってる彼女の物語を知ってほしいと思って作った作品ってこと?
えっ、なに、そんなの、愛じゃん……

また、色や照明の使い方がとても印象的。
わかりやすいものでは、天に召される人間が光の差す方向へ歩んでゆく演出。
これは、『ノートルダムの鐘』のエスメラルダの最期の場面にも通じるもので、とても演出:スコット・シュワルツを感じました。
また、1幕ラストの「不思議な絆」のナンバーや2幕ラストのライトの使い方は本当に美しくて!
生霊たちの演出として、俳優たちの背中から出ているように影を作るというのも、見ごたえがありました。

2幕でのグレイの過去回想シーンでは、布に映し出される影を使用してストーリーが進み、切れ目からジャックが飛び出してきたと思ったら、上着を交換して、劇場前でのシャーロットとの出会いへ……という一連の流れが舞台ならではの演出だなと。
酒場は大抵の作品では色とりどりで華やかな場面というイメージがありますが、今回はジャックとシャーロット以外は基本的にグレー系の衣装で。
ジャックの青色の上着と、シャーロットのピンクをベースにしたドレスが鮮やかで印象的でした。
青色の上着って、俺がサムシング・ブルーってこと……?

擬闘

決闘代理人だった男なんだから、めちゃくちゃ強くなきゃやだ~と思っていたのですが、杞憂でしたね……
グレイとデオンの殺陣はスピード感や力強さがあり、本当に見ごたえがありました!
男性と女性でがっつり剣でやり合う場面を意外と観た事がないので、剣を合わせる速度に驚きました。
男性の殺陣と女性の殺陣は違うと以前耳にしたことがあるのですが、そこのとこどうなのか気になります。
あと、ゴーストならではのフライングしながらの立ち回り!
フライングしながら体勢キープしたり立ち回りしたり、筋肉ないと絶対できないじゃないですか。なんだったんだあれ。すごかった。
うわ~すごい~と思っているうちになんか上手側に飛びながら捌けていって場面が終わった……
フライングしながら剣を合わせるって、通常の殺陣よりも考慮しなければならない点が多くとても難しそうですし、栗原さんの擬闘への信頼が増しました。

イリュージョン

光に目を奪われていたらグレイが出てきて、これがミスディレクション……!!!と開始早々ちょっと思った。
ゴーストが壁をすり抜ける様子も、亡くなった人から魂が抜ける様子も、
やっていることとしてはおそらく単純なのですが、見せ方が本当に上手くて。
煙の使い方もあるのかな?ぼかすことで、壁からフッっとゴーストが抜け出たように見えました。

シェイクスピア

劇中でシェイクスピアの台詞がいくつか引用されるのですが、小田島先生の翻訳(白水社Uブックス)で、シェイクスピア作品の日本語翻訳で一番親しみのあるものだったので、その点も嬉しかったです。
原作でも、ラストの『夏の夜の夢』の引用がとても印象的な使い方だったので、そこをキッチリやってくれたのは嬉しかった!
シェイクスピア、やっぱり好き~!!!!

楽曲

一番最初のグレイが歌うナンバー「奇跡の夜に」が好き……元々民族調というか、ケルティックとかそっち系の曲が好きなので、楽器の使い方も素敵で。
タイトルの通り、偶然ドルーリー・レーン劇場にてシアター・ゴーストと過ごす奇跡の夜に客席を誘う印象的なナンバーでした。
「走る雲を追いかけて」も力強くパワーをもらえる楽曲で、とても印象的でした。戦地へ向かう従軍看護婦たちのナンバーだと思っていたのですが、そうではなく、明日へ、未来へ進む人たちのナンバーなのだなと。
エイミーの歌う「あなたが遠くて」も、フローへの憧れや自分もこうなりたいという願いが込められていて、聴いていて心地の良いメロディーなのもあり2幕で歌われる場面がしんどかった。
そして、原作ラストでとても印象的だったサムシング・フォーがこんな……こんなロマンティックなナンバーに……めっちゃ泣いた……
「サムシング・フォー」めちゃくちゃ良い曲ですね!?
早く楽曲配信来てほしいです!来月かな!

フロー(谷原志音さん)

谷原さんは『アンマスクド』『アナと雪の女王』を拝見したことがあり、力強い歌声の方というイメージがありました。
今回のフローの猪突猛進な感じにもきっとぴったりだなと思い、とても楽しみにしていました。
歌声、本当に素晴らしかった……!!常に意志の強さを感じさせる声だからこそ、2幕での叫びが刺さりました。
「まだ絶望しませんからね!」とグレイに畳みかけるように話す場面(うろ覚え)があったのですが、そこのノンストップ感が原作のフローが目をかっぴらいて早口でグレイに話しかけるコマを彷彿とさせて最高でした。
原作のフローは瞳がとても印象的だと思うのですが、原作の彼女が瞳から放っていたエネルギーを、谷原さんのフローはお芝居や歌、全身を使って表現していてとても力強かったです。

グレイ(萩原隆匡さん)

萩原さんは意外と劇場でお目にかかるタイミングが無く、アラジンのカシームぶり?声が良い~!!!!
えっ、漫画から飛び出してきました??と本気で思いました。
斜に構えたような態度、ふとした瞬間に見せる哀愁を帯びた表情、そしてなにより声色が、漫画で描かれたグレイのイメージそのままで感激でした。
ラストの『夏の夜の夢』の引用を述べる時の立ち居振る舞い、まさに原作から飛び出してきたようで!
また、最初はフローに向けて斜に構えたような視線や未知の生き物を見るような怪訝な視線だったのが、後半ではとても温かく優しげなものに変化していく、瞳の使い方が素晴らしかったです。
愛情深い男なんだなと、生前の彼を偲ばせるような演技に引き込まれました。
シャーロットに初めて出会った時の表情も、次回以降の観劇ではしっかり見ておきたいです。
個人的には、2幕の過去回想シーンでシャーロットと飲み比べ対決している時の、へべれけになったジャックの声がイメージそのままでした。
まさに、原作のあの上気した表情や呂律の回らない感じからくる声で、これだ~!!!!!!!!!と。
ガッツポーズするわけにもいかないので、オペラグラスを持つ手に力が籠りました。毎回力入れてたらアトレックにヒビ入るやもしれん。
あと、酒をあおるたびに唇を舐めるような仕草がたまらないやつでした。
好き。
幕開きの「奇跡の夜に」で客席と舞台上を繋ぐ役割も果たしており、ストーリーテラーでありながら、自分の紡ぐ物語では登場人物としても立ち回る必要のあるエネルギーの必要な役という印象も受けました。
シアター・ゴーストとして数多の役者を観てきたからこそ、芝居がかったシェイクスピアの引用でも説得力を持って自然に発してほしいですし、その点でも「我ら役者は影法師!」と一言発したときの声が素晴らしかった!
またぜひとも、萩原さんの演じるグレイが観たいなと思いました。

デオン・ド・ボーモン(岡村美南さん)

岡村さんといえば、エスメラルダ!!と勝手に思っています。
めっちゃ美しかった……あと、登場したと思ったらフライング状態だったり、すごい反った姿勢で体勢キープされていて、鍛え上げられた筋肉を感じた。美しさは筋肉から来るんだな……
舞台版だと、ゴーストは生前の肉体に性別が縛られるみたいな設定になっていて、えっこの世界線ではデオン様女性だったのぉ!?みたいな驚きがありました。
めちゃくちゃ美しくて、コルセットドレス風の衣装が大変お似合いで、最高でした。
でもそれも全て女性であるという呪いに縛られた姿ってこと……?
デオンのナンバーは、タンゴ風のメロディーで官能的かつ力強くてかっこよかった~!
グレイ過去回想で出てきた生前のデオンが、めちゃくちゃかっこよくて美しくて、優勝でした。
そしてグレイとの立ち回りの迫力!
グレイは成人男性らしい力強さのある太刀筋ですが、デオンは筋肉のしなやかさが感じられ、一太刀の重さ<<斬りつける速度という印象の太刀筋だなと。
女性の俳優さんが、男性の俳優さんとがっつり長剣でやり合うイメージが無かったので、見入ってしまいました。
剣を抜いた時のオーラというか迫力というか、この人は強いと思わせる立ち居振る舞いに説得力がありました。

座席

今回は2階9列目(A2席)センターブロック。
舞台上部が若干見えない場面はいくつかありますが、ヴィクトリア女王の肖像画の腰から上が見切れるとか、ほとんどは些細なものでした。
ただ、一場面だけどうしても観えなくて血の涙を流したので、終演後1階席も取りました。

2階9列目

おまけ(観劇後はジンを飲もう!)

観劇後はジン飲むぞ〜!と思い、HUBでジントニックをいただきました。
さすがに、空腹状態でビーフィーターをストレートでやる気力は無かった。

定番かつ美味しいジントニック


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