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編集者さんがおすすめしてくださった『拝啓、本が売れません』で毎日書評を書いてみた。

ペラリと表紙をめくると少し厚めのピンクの紙。それをめくると白い紙に「拝啓、本が売れません」という文字が。そしてそれをさらにめくると「この本を書店で手に取った方へ」という額賀澪さんのメッセージが書かれています。


「面白そうじゃん。買おう」
 そう思った方は、どうぞこのままレジへ。

「興味ない。買わない」
 そう思った方は、この本を棚に戻し、他の本を手に取ってください。
 そのまま書店を出て行かないでください。
 本屋さんには、たくさんの面白い本があります。この本はその中のたった一冊です。
 たくさんの本があれば、《あなたに合わない本》も当然あります。しかし、《あなたに合わない本》以上に、《あなたを楽しませる本》がこの場所には大量にあります。
《あなたを楽しませる本》を探してみてください。きっとすぐに見つかります。
 世界はそれくらい、《面白い本》であふれています。

                                         額賀 澪


これが額賀さんの最初の文章です。なんて端的で、なんて気持ちのいい文章なんでしょう。こんなにポジティブな書き出しは久しぶりに見ました。きっとこの本は面白いんだろうなとわくわくしてしまいました。買ってよかったと思いましたね。
わたしがこの本を読むきっかけとなったのは、昨年の10月に、とある編集者さんに勧められたからです。「構成が参考になると思う」とのことでした。構成を気にして読んだことがなかったのでいつもと違った読み方が出来、とても楽しかったです。この本は、額賀さんの同居人や編集者さん(先の人とは別人)、書店の店長さんやブックデザイナーさんと会話した内容を中心に話が展開されてゆき、出版業界の現状を冷静に分析したり、本を人に届けるために何をするのか、または何をしているのか、本の売り方や書き方などを赤裸々に書いている本です!読みだしたら止まらなくなってしまうので気をつけてお読みになってほしいです!豪快かつ爽快な文章がどこまで読んでも気持ちがよいです。


先に紹介したページから少し進めると、


 この本は、平成生まれの糞ゆとり作家が元気のない出版業界を生き抜くべく、さまざまな場所へ出向き、さまざまな人と話をし、一冊でも多く自分の本を売って自分の寿命を延ばすべく右往左往するお話です。

と書かれています。もうこれだけでわくわくしませんか?わたしはわくわくしました。わたし自身に置き換えたりなんかしました。例えば、作家を手品師に、出版業界を手品業界に、一冊を一芸に、本を手品に変換して遊んでみました。楽しいですね。


さて、さらにさらに進むと「『拝啓、本が売れません』をここまで読んでくださった方へ」というのがありました。すこしご紹介させていただきます。


でも、もし、この本を「面白くなかった」と思い、「こいつの書いた本はもう読まない」と思ったのなら、やはりもう一度書店へ行ってください。
 そこで、私ではない誰かが《面白い》と信じて書き、《面白い》と信じた編集者さんが作り、たくさんの人が《売りたい》と思って走り回り、汗を流し、その結果そこに並んでいる一冊です。
 その本が置かれた場所は、誰かが死に物狂いで勝ち取った場所です。誰かが必死に守ろうとした場所でもあります。誰かの渾身の一冊を押しのけて、その本はその場所を勝ち取ったんです。
(中略)
あなたの目に映るすべての本はそうやって、誰かの願いや祈りや想いや決意や覚悟を背負って生まれ、戦って戦って、戦い抜いた上でそこに存在しているんです。
その本は、絶対に面白いです。

と書かれているんです。わたしはこの本を読んでから、本の見方が変わりました。見方が変わったと言うよりも、本に対する敬意が増したと表現する方が正しいかもしれませんね。とにかく本に敬意が生まれました。そしてより本が好きになったのです。「すべての本が本気で、すべての本は面白い。」そう思わせてくれました。なんだかこころに灯がともった感じがしました。あたたかい晴れやかな気持ち。
この書評を読んでくださった方がこの本を購入して、こころに灯をともしてくれたらうれしいです。

最後に、遅くなりましたが、そんな額賀澪さんをご紹介させていただきます。
額賀澪さんは1990年生まれで、茨城県行方市のご出身です。2015年に『屋上のウインドノーツ』(「ウインドノーツ」を改題)で第22回松本清張賞を、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞しデビューされたそうです。2016年に『タスキメシ』が第62回青少年読書感想文全国コンクール高等学校部門課題図書になりました。そのほかの作品に『さよならクリームソーダ』『君はレフティ』『潮風エスケープ』『ウズタマ』『完パケ!』などがあります。タイトルだけならどこかで目にしたことがあるという方も多いもではないでしょうか?

ちなみに『拝啓、本が売れません』は2018年にKKベストセラーズから刊行されています。


以上が今日の書評です。読んでくださった方ありがとうございます。引き続き毎日書評をよろしくお願いいたします。

49日目担当ふみくら倶楽部部長のまいでした。


【額賀澪さんの公式サイト】

https://nukaga-mio.work/haikei-bestsellers

【KKベストセラーズさんのHP】 

https://www.kk-bestsellers.com/ud/books/5c18c39e77656153d4000000


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