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『コンビニ人間』−1枚感想文

 あらゆる分野において「普通」のひとというのはきっといないのだろう、と私は半ば信じているのだけれど、結局はそんな物語だったのではないだろうか。変わった人間を描いているようで、私たちの話でもある。
 コンビニで働くことでなんとか社会の一員として生きていられるコンビニ人間は、ある分野に貢献することで社会に認められるという意味で、他のだれかと大差がない。みんなが当たり前にできる(ように見える)ことができないと、やりようは色々だけれど、つまるところ疎まれることになる。
 各個人にはそれぞれ異なる「できないこと」があるはずなのに、それが「目立つ」と、違和感があるようだ。
 コンビニ人間は、そんな周囲の視線をときには受けながら、なんとか生き抜こうとする。葛藤の末に見つけた道は、ひとつの希望であり、物語はハッピーエンドのように思えた。私には眩しすぎる結末。

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