不要不急のこと

 一体ぜんたい、この言葉はいつからこんなに使われるようになったのか、いまではすっかり顔馴染みといった様子だ。必要でなく急ぎでない、「不要不急」の話である。

 じっと見ていて思ったのだけど、「不急」ってこの場合必要だろうか。急ぎじゃないから今すぐに必要ではないでしょうという意味なら、まったく「不要」の一言で事足りる。逆に、急ぐけど必要じゃない場面て、どんなんだろうか。「不急」がついて、妙にふわっとした味わいにした感がある。「不要」だけだと、印象がきつかったのしら…。

 まあ、必要不要というのは個人の価値観によるところが大きいから、ふわっとしてるのはそもそもなのかもしれないけれど。よって、ワタシにとっての必要がアナタにとって必要じゃないこともあり、摩擦および衝突が起こっていたことも、こと日本においては今となっては少し懐かしいだろうか。

 ところでこの度の不要不急の外出自粛をめぐっては様々な人々に経済的ダメージや精神的抑圧があったはずだが、そう考えると私たちはずいぶんと不要不急のものたちに囲まれていたのだなと思う。

 逆にいえば、私たちはこんなにも不要不急のことたちが好きだったんだなという側面も見えてくる。それはある意味、不要ではなく必要であったともいえる。とすると一体ぜんたい、不要不急とは何なのだろうか。何が不要なものか。

 本当に必要なものが何か、という議論はこの際ひとまず置いておこう。必要不要というのは個人の価値観による以下略。

 と不要不急という言葉に反発してしまう私である。


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