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クドキの指南書 vol.1「クドキ」

幼少期から日本舞踊を観たり、お稽古したり、人前で踊ったりして来ました。自分の踊りを褒められるとそれはそれは嬉しくて舞い上がってしまいそうになりますが、未熟である私には、人生で数回あるかないかの話だと思っています。

そのような厳しい芸の世界とは別に、誰にも侵食されない感受性が心の中にあることを感じています。これはお稽古をして養われた感覚であり、非常に確かなものと感じます。

先日、友人と夜、日比谷の帝国ホテルの地下で軽く食事をしていた時、
「色気・品・粋」について話すことがありました。生きる上で、不可欠なものと思うのですが、それぞれどう定義するのか、結論は出ませんでした。

歌舞伎や日本舞踊に「クドキ」という表現があります。所謂、恋愛において口説くということとは異なります。クドキとは、女性が自分の心情を切々とうったえるシーンのことを言います。踊りの中で一番の見せ場になるのですが、テクニックだけではどうにも表現できず、色気や品があって粋でなければ、人を感動させることはできません。

色気、品、粋。
その意味を真に理解し、言葉にするのは難しいですが、
日々の生活の中で感じたことを書き記していけば、答えが出るのかも。
そんな錯覚に突き動かされ、今日筆を執りました。

写真:長唄・藤娘の衣裳


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