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一人称にすべきか、三人称にすべきか


長年温め続けていたお話を、ついに書こうとして――気づいた。

地の文を一人称にすべきか、三人称にすべきか、まだちゃんと決めていなかった。

いま自分の書きたい話は、なろう系ファンタジーなので、一人称小説のほうが、良いっぽいようだ。
しかし私は一人称小説をあまり書いたことがない。いままで2回ぐらいしか書いたことがない。

それゆえ書き始めたら「しまったー、三人称にすりゃよかった!」と思ってしまうのだ。
書く前は「どっちも労力は同じよ」と思ったけれど、慣れてない分、大変だったのだ。

それでも一人称にすべきか……どうしよう……。

ちなみにどう違うか、15年前に書いた自分の小説から一部抜粋すると
(……もう15年も前なのか。いま考えている話はこれのリメイクなので、だいぶ設定が違う。別の話みたい)

まずはイズー視点の一人称小説。


「イズー、今日はこの町で泊まるか」
 ギイ様は私に声をかけられた。
「賛成です。にぎやかな町ですし、宿もすぐ見つかるでしょう」

 昔よりも丈夫になったとはいえ、まだまだギイ様は病弱だ。私なら森での野宿も平気だが、ギイ様はそのような過酷なことに慣れてらっしゃらない。
 私が宿の看板を探そうとしたとき。

「わーい、お泊まりだー! 今日は何を食べよっかなあ」

 耳に響く甲高い声を聞き、同道している小娘の存在を思い出した。

 エリン・オルレイ。私とギイ様の前に、突如現れた暗殺者である。

 ギイ様を暗殺しようとした、万死に値する重罪人なのだ。なのに他ならぬギイ様がお許しになり、旅についてきている。

15年前の自分の小説より


これをイズー視点の三人称小説にすると。

「イズー、今日はこの町で泊まるか」
 ギイの言葉にイズーは頷いた。
「賛成です。にぎやかな町ですし、宿もすぐ見つかるでしょう」

 昔よりも丈夫になったとはいえ、まだまだギイは病弱である。かつて騎士団長であったイズーなら森での野宿も平気だが、ギイは過酷なことに慣れていない。
 イズーが宿の看板を探そうとした、そのとき。

「わーい、お泊まりだー! 今日は何を食べよっかなあ」

 耳に響く甲高い声を聞き、イズーは同道している娘の存在を思い出した。

 エリン・オルレイ。かつてイズーたちの前に現れた、暗殺者である。

 イズーにとってエリンは、ギイを暗殺しようとした許しがたい重罪人である。
 だが処罰をしようとしたイズーを、ギイは止めた。
 それどころ罪を許し、旅に同道するよう申しつけたのである。

いま書き直してみた

このお話、三人称小説だとイズーじゃなくてギイ視点なので、直しながらヘンテコな気分がした。
が、一応イズー視点に統一して直してみた。

やっぱり三人称のほうが楽な気がする。
慣れているから、しっくりくるというか。

せっかくなので同じシーンを、三人称ギイ視点にしてみた。

「イズー、今日はこの町で泊まるか」
 ギイの言葉にイズーは頷いた。
「賛成です。にぎやかな町ですし、宿もすぐ見つかるでしょう」

 ギイは大きく息を吐いた。
 昔よりも丈夫になったとはいえ、体力のなさは変わっていない。
 かつて騎士団長であったイズーなら、森だろうが河原だろうが平気で野宿ができるだろうが、ギイは過酷なことに慣れていないのだ。

「名物料理を食べさせてくれる宿……広い部屋に大きなベッドを入れてある宿……。どのような場所がお好みですか?」
 宿の看板を見ながら、イズーが訊ねたとき。

「わーい、お泊まりだー! 今日は何を食べよっかなあ」

 耳に響く甲高い声――エリン・オルレイである。
 一瞬でイズーの顔が険しくなり、ギイは頭が痛くなった。
 なぜならエリンは、かつてギイの命を狙った暗殺者だからである。

 エリンを捕らえ、処断しようとしたイズーを、ギイは止めた。そして事情により旅に同行させている。

 ギイの命令が絶対であるイズーは表向きは従ったが、心の底ではいまでもエリンを斬り捨てたいと思っているに違いない。

視点キャラを変えるとこんな感じかな


……うん。やっぱり三人称で書こう。
無理せず書ける。

ちなみにこの話、リメイクバージョンだと「エリンはこの時点で暗殺未遂とかしていない」とか「とても重要なレギュラーキャラが、この場にいない」とか、いろいろ変わっています。
書いたとき、また読んでやってくだせえ。


おまけ。
二人称小説だったら、めっちゃゲームブックみたいになりそうw

きみは、とある町にやって来た。
かなりの賑わいで、宿屋もやくさんある。

「今日はこの町で泊まるか」

きみの提案に、元騎士団長のイズーは頷いた。

ホント、ゲームブックみたいだな

みたいな感じ?
(面倒だったので周囲の描写はあんまりしてないけど。実際は周囲の描写はもっと入れたほうがいいでしょうなあ)


文学フリマ香川に、このシリーズの一部を無料配布本にして持っていきたいな!
がんばって書こう!


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