宣告の翌日

頭の中に脳腫瘍があることがわかった私はその日どのように寝たか記憶がない。とにかくすぐ痛みセンターがある大病院に入院してください、と昨日のMRIを撮ったメディカルスキャニングの医師に言われたので、次の日入院一式をキャリケースに入れて準備をし母と、当時立川にいた叔母が同行してくれて病院に向かった。が、行ってすぐ入院できるものではなかった。私たちはそれを知らなかった。
まず入退院センターに申請をしないとことは始まらなかった。
「えーと入院したいんですけど」と受付で聞いても、入院退院センターに行くようにうながされ、行くと今日は空室がないと言う。一つ空いてる部屋があるが一泊3万だったかの高額な部屋で、「どうします?」と聞いてくる。
「さ、3万…」。考えた末、空室が出るまで待つことにして、入院準備をしたキャリーケース一式を家まで運んでその日は帰った。
徒労感で「今日はなんだったのかねぇ」と私と母は少し苦笑いした。

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