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細胞と歩く

僕という人間が歩く。呼吸をして、細胞のひとつひとつをこぼさないように引き連れて歩く。

ときどき、僕は立ち止まる。細胞のひとつひとつを僕はのぞきこむ。

眠ったままの細胞や、日差しを浴びてすっかり寛いでいる細胞やこんなにいい天気なのに、なにか考え事をしたまま難しい顔をしているやつまで、いろいろだ。

歩きながら僕は思う。

僕みたいな人間のところで暮らさなくても、他にもっといい場所なんていっぱいあるんじゃないかと。

だけど細胞は何も答えない。

ここが気に入っているのか、それとも他に行くところなんてないからなのか。わからないけれどたぶん、どっちも正解なんだろう。

よくわからないな、と僕が呟くと、細胞も、よくわからないよ、と答える。

まあ、いいさ。
 
とにかく、今日は天気がいいんだ。