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土と話す

春になって、なにがうれしいかというと「土と話せる」こと。

またちょっと意味のわからないこと言ってるかもしれない。もちろん、土に直接、なにか話しかけたりはしません。さすがにそれはない。

ファーム(というほどの規模でもないけど、うちではそう呼んでる)に出て、鍬(くわ)で土を起す。本格的な耕起は秋の終わり~冬の始めにするので、春は冬の間、眠っていた土を目覚めさせるために空気を入れていくぐらいのイメージ。

土を起していくと、土がいろいろ話かけてくる。耕す場所によっても、土はいろんな表情というか感情を持っている。饒舌なのもいれば、無口なのもいる。いろいろだ。

輪作で、うまく育てる野菜のリレーができている土は、なんていうか気持ちのいいレストランの厨房のように、いい感じに賑やかで、なんなら美味しそうな匂いまでしてくる。

これまでなにも野菜を育てていなかった土は、だいたい押し黙ったまま。なんだ、せっかく寝てたのに仕事するのか。そんな感じの声が聞こえて来る。そうだよ、仕事だね。まあ、ゆっくりでいいから頼むよ。そんな感じで僕も土と話す。

べつに、どの土が好きとか嫌いはない。どの土だって、それぞれだ。

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今年は、とくに地温(土の温度)も高くて、土の中がもうすでに暖かい。農作物を育てる観点では気温よりも地温のほうが重要なのだ。いくら一瞬だけすごく陽気が良くても、地温が低いと根が成長できない。

すごく寒さが厳しかった冬は、まあまあ気温が上がってきても土の中は冷たくて驚くほど静かで、その差に結構おどろく。

まあ、地温が高くなると土もいろいろおしゃべりになるし、微生物たちも活発に活動してるのがなんとなく伝わってくる。

たぶん、僕は土と話してるつもりだけど、実際には土が微生物やいろんな菌たちと話したり笑ったり、何事か相談したり、力を貸したりしてる中に勝手に混じってるだけなんだろうな。

それでも嫌な顔をしないので、土はやっぱりいいやつだ。