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フル出社でもなく、フルリモートでもない、両方の良いとこ取りをしたマネーフォワードの新しい働き方

こんにちは。人事本部の菱沼です。
コロナ禍において、各社のリモートワークの取組みやオフィス出社に回帰するニュースが飛び交う昨今ですが、どうも右に振り切ったり、左に振り切ったりの極端な事例が多い気がしておりました。「働き方」には正解はなく、この非日常的な情勢下で結論づけられるものでもない気がしており、もっと各社が検討のプロセスをオープンにすることで多様な働き方が生まれるんじゃないかと密かに思っておりました。そこで今回は、7月からスタートしたマネーフォワードの新しい働き方に関してその意思決定に至るプロセスをリアルにお伝えできればと思います。


リモートワークのメリットは十分に良く分かった。

かれこれ約4カ月リモートワークを実践してみて、思っていた以上に業務に支障が出ず、短期的には生産性も落ちないだろうという気づきがありました。これは私たちが声高に叫ぶ必要もなく、世論調査やメディア各社の調査でもよく取り上げられているかと思います。
(下記はリモートワークのメリットを整理した朝会資料の抜粋)

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特に満員電車の密に耐え、往復1時間超移動していた社員からすると、働き方だけでなく、生き方もだいぶ変化があったと感じていると思いますし、半年前ではまるで想像していなかった働き方が生まれたと感じてます。(僕自身もオフィスに行かない日は、納豆ご飯を食べてから、ランニングし、シャワーを浴びてからアイスコーヒーを飲んで8時に業務開始する。という北欧の人みたいなワークスタイルが選択できるようになりました)


リモートワークが順調に進む一方で、課題も山ほど出てきた。

既に顔見知りがたくさんいて、素性も人柄も分かる仲間がいる既存社員にとって、それはとても快適な働き方なのですが、新たにジョインしてまだ信頼関係も信頼残高もない方にとってはとてもしんどい働き方でもある。という事実も徐々に明らかになってきました。

(例えばこんな声も聞こえてきました)
■直属の上司・先輩とは1on1で話す機会はあるが、オンラインのコミュニケーションは事務的になりがち(用件が済むと終了になりがち)で、ちょっとした体調の乱れなどをzoomでは相談することができず、抱えたままになってしまっている。
■周囲の先輩・同期がどんな働きぶりか見えないので、自分の働き方やアウトプットが普通以上なのか?それ以下なのか?が全く見えず、自身の働きが評価されているのか不安になる。もしくは、定量的な結果だけが可視化されるので必要以上に人と比較したり焦りを感じてしまう。
■同じ部署のメンバーと一度も対面で会ったことないので、画面越し以外にどんな振る舞いをするのか?が読み切れず、また顔色や様子をうかがい知ることができず、遠慮してしまうことが多い。オンラインで雑談の場があってもまだ自分の素を出せている気がしない。
■仕事におけるコミュニケーションのメインがテキスト情報のため、その裏側にある感情や意図を慮ることに疲弊してしまう。また、同様の理由から気軽に質問することが難しく、テキストを作成するのに必要以上の時間をかけてしまう。

beforeコロナの社員にとってオンライン生活への移行はさほど難しくはなかったのですが、まさかこういう課題が発生するとは4月の段階では想像もしてませんでした。そんな課題を客観的にとらえて自分の周りを見てみると、オンラインのみのコミュニケーションだと、確かに心理的な壁ができるな・・と思うことも多々あります。

例えば、僕の相棒の山田さん(人事本部 副本部長)はオフラインで会うと、こんな素敵な笑顔なんですが(左)、zoomで喋ると物凄い朴訥感(右)があり、いつも怒ってるんじゃないか?と不安になったりします。(山さん、こっそり盗撮してごめんなさい)

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さらには僕の相棒2の富田さん(人材採用部リーダー)もオフラインで会うと、こんな素敵な笑顔を出せるやつなのですが(左)、オンライン会議になるとソファにどっぷりくつろいじゃって(右)、めちゃくちゃクールな雰囲気を醸し出してきて、上司の僕がとても気を遣うこともあります。w

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社歴2年かつ、だいぶ慣れ慣れしい僕ですらこんなにオンラインで気を使うわけですから、入社してそのままオンライン環境に置かれている新入社員からすると、物凄い距離感や遠慮が出てきてしまうのも無理が無いことだと思います。beforeコロナの既存社員と、コロナ禍で入社した新入社員とでは見える景色が全く異なるということが4~5月時点ではなかなか気づかれず、そして、新しく入った社員の声は比率的にもマイノリティであり、なかなか全社に届きにくい(理解されにくい)、、という課題も浮き彫りになってきました。

また、この3カ月間で新卒社員、中途社員、インターン生、業務委託・・を含めると約70名ほどの新しい仲間が増えましたが、リモートワーク下においてもインナーコミュニケーションの施策は手を抜かず、例えば「リモート朝会」「リモート全社総会」「リモートシャッフルランチ」「リモートエクササイズ」などなどの様々な打ち手を講じてきました。それでも上記の様な声が上がってくることを踏まえると、全ての課題をオンライン施策で完全に払拭することは難しいと振り返っています。(まだまだ施策の改善余地はあると思いますが)

生産性や合理性よりも、自分たちがどういう会社をつくりたいのか?を考える

感染者数が落ち着き始めた5~6月頃、各社も徐々に次なる働き方を模索をはじめていましたが、その議論は当社の経営会議でも侃侃諤諤続きました。「いっそ生産性重視でフルリモートにしたほうが良いのでは」「チームコミュニケーションも大切なので週1回は出社したほうが良いんじゃないか」・・・などなど。FFS理論(※)における弁別性(合理的、現実的)と保全性(計画的、順応的)が高い人が経営層に多い当社においては、リモートワークの生産性を推す意見と、またコロナ禍におけるリスク回避を唱える声が強く、その視点で各人が情報収集を行ってくれるため何が正解なのか?どこが落としどころのなのか?が中々見えない日々が続きました。(まさに私はこの議論のはざまで身が引きちぎれそうな状態でした。)そんな議論の中で、CEOの辻さんが放った言葉が突破口を作ってくれました。

「生産性や合理性の話だけでなく、僕たちはどんな会社をつくりたいのか?仕事を通して、我々がどう成長し、楽しむのか?を考えよう」

なんとも視界が開けた気分でした。世間の働き方の議論はどうも生産性の話に偏りがちですが、本質的に中長期的に会社としての競争力をどう高めていくか、文化をどう作っていくか?どういう会社にしていきたいか?という視点がとても重要であり、辻さんの「働きがいと、働きやすさを両立したい」という想いによって議論のゴールが見出せました。

マネーフォワードの新しい働き方

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トップダウンな会社ではないからこそ、ちゃんと議論のプロセスも共有する

上記の通り経営としての方針は決まった。ただ、700名超の社員はきっと700通りの働き方の価値観を持っており、会社が決めたことだから従いなさい!という通達じみた伝え方はあまりフェアではない。じゃあどうしようか・・と悩んでいた時にVPoEの渋谷さんがとっても素敵な提案をしてくれました。

「この議論のプロセスも、全部社員に見てもらいましょう。正解が無い中で色んなバランスを取りにいった案であるということもきっと理解してくれると思うし、この会社をどんな風にしていきたいか、その目的も理解してくれるはずです」

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これぞ、マネーフォワード。さすが、渋谷さん!と心の底から渋谷さんに拍手を送りました。
(以下、実際に公開した経営会議の議事録)

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非常に手間暇はかかるものの、このように議論をオープンにしたことで、何のためにオフィス出社をするのか?は比較的スムーズに理解してもらえた気がしています。

これからも続く「新しい働き方」の議論

この働き方を発表した2時間後に東京都の新規感染者数が100名の大台を超え、7月下旬現在でもその数は増え続けており、なんだかまた雲行きが怪しくなってきています。ただ、掲げた新しい方針は非常に柔軟性と弾力性があり、情勢をみながら臨機応変に対応をしていきたいと思っています。
当社には取締役管理本部長の坂さんという方が、リスク管理の最前線でスピーディかつ適格な判断をしてくれます。本当に心強い。

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(守護神の取締役管理本部長の坂さん)

守りに徹してくれる仲間がいるからこそ、私たち人事本部はどちらかというとオフェンスしていく意気込みで新しい働き方をForwardさせていきたいと考えています。


注※)FFS理論とは:
組織生産性を上げるためにモントリオール大学国際ストレス研究所で「ストレスと性格」を研究していた小林恵智博士(経済学博士、教育学博士、組織心理学者)により提唱された理論。
人が恣意的、無意識的に考え、行動する パターンを5因子で計量し、ストレス値においてポジティブな反応か、 ネガティブな反応か分析することで、個人の特性、人間関係で発生する問題やシナジーを客観的に把握し具体的な対策を提示できる。(マネーフォワードでは、このFFS理論の仕組みを組織開発、人材開発の中に取り入れています)
出典:http://www.human-logic.jp/about/

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