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「太平洋ー開かれた海の歴史」 増田義郎

集英社新書  集英社


太平洋世界の歴史
今朝は図書館で増田氏の太平洋の歴史(集英社新書)を借りてきた。縄文式土器の作り手がエクアドルに渡って土器を作った?という説を導入として、太平洋世界の西洋人到着以前の人の動きを概観。自分にとっては著者増田氏はコロンブス始め大航海時代のイメージ強いのだけど、考古学・文化人類学もあるみたい… 
(2015 08/16) 

今朝までに第6章まで読み終えた。
18・19世紀前半の太平洋地域はイギリス・フランスなどはヨーロッパ・北米などで手一杯でこの地域に政治的に関与をあまりせず、その時代にやってきた「白人」は捕鯨船・商人・宣教師→農園主・鉱山主・移民「拉致」商人(ブラックバーダーと呼ばれる)と移り変わる。

前期はタヒチやハワイの食物を北米西海岸の毛皮商業地域へ、ニュージーランドの木材をオーストラリアの流刑地建設へと、今から考えれば逆じゃないのかなとも思える流れだった。これは貿易が主であったからだろう。それからこうした天然資源(他にも白檀やナマコなど)を取尽してしまうと、後期の時代へ。

ここで奴隷貿易廃止で代替労働力が必要になり移民(詐欺や拉致に近い手段でも)が登場する。 こうした時代を増田氏はメルヴィル、モーム、ジャック・ロンドン、スティーブンソン、そして中島敦などの文学(日記や制作ノートも)を時おり交えながら語っていく。

一方、その前の第3章のマニラーメキシコのガレオン船の秀吉のところでは、前に読んだ「海賊と東インド会社」の本に大友氏が遣明船を出していたとか、平戸や坊津に倭冦の拠点があったとかの話から、秀吉がそんなに知らなかったはずはないのでは?とも思った。まあ、太平洋に背を向けていたのは確かだろうけど。

それと、太平洋地域に来た人々は様々あるけど、こうした歴史の本には、先住民の存在がやっぱり薄い。ニュージーランドのマオリ反乱とかくらいかな。声なき人々に歴史を語らせるというのはいつも難問としてのしかかる。 
(2015 08/19) 

増田義郎氏のこの集英社新書を読み終えた。とりあえず、前に読んだ中公新書のミクロネシアの歴史の本に出てきて印象的だった、グアムかサイパンかでの「お前らそれでも日本人か!」と言う現地ガイドの話の裏側というか補強材料というかを得ることができた。
戦前訪れた作家中島敦は、「南洋」での高圧的な現地住民教育を目にして嫌気がさしている、と書いた。

その他に第一次世界大戦後のドイツ領ミクロネシアに関する米英日の思惑(この時から太平洋戦争の序奏が始まった)とか、日本が秘密にしていたからアメリカはかなり要塞化していると考えていたけど、実はあんまり準備してなかった日本統治下のミクロネシアとか… 
(2015 08/22) 

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