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「ポスト社会主義の政治 -ポーランド、リトアニア、アルメニア、ウクライナ、モルドヴァの準大統領制」 松里公孝

ちくま新書  筑摩書房

188ページのリトアニアまで、おおよそ半分進んでしまった。
これらの国のうち、ポーランドとリトアニアはNATOやEUに加盟し、地政学的な問題はないがポピュリズムの問題に直面している。一方、アルメニア、ウクライナ、モルドヴァは地政学的争いに巻き込まれている。松里氏自身の判断では、この本の主要テーマである「準大統領制」は前者ポピュリズム問題には有効であるが、後者の地政学的問題には無力である、ということらしい。

さて、ポーランドでもリトアニアでもポピュリズム的政党が出現し、頭角を現して来ているが、ポーランドでは二大政党の一つに成長し(「法と正義」)、リトアニアでは何度か政権党に絡んだが持続できなかった(「農民と緑の連合」)。この違いは、ポーランドでは二代政党化が進み、民主化初期の左派と右派(連帯系)の構図から、右派が分裂し「市民プラットホーム」と「法と正義」になりこの二つが二代政党化する。リトアニアでは二大政党化の流れはあるのだが、他の政党も多く存在している、というところか。
大統領はポーランドでは公選はするものの議会の方の権限が強い、リトアニアでは大統領が内政に口を出すこともある。ポピュリズム政党は、社会再配分重視という意味では左派の流れだが、伝統的価値観を西欧から突きつけられた価値観から守るという意味では右派の流れ。
(2021 08/29)

無理やりだけど、アルメニア、ウクライナ、モルドヴァまで読んでしまう。
前の二国と比べて、政治的手腕が幼稚というかわがままな気が(一見)する。選挙のたびに「不正があった」として暴動騒ぎになったり(アルメニア…トルコやアゼルバイジャンと対立するアルメニアは、地政学的には親ロシア(オスマン朝初期にはイスタンブールなどで結構優遇されてたみたいなのだけど))。5年以上前の憲法改正の不備を(次の選挙で優位に立つためなどに)ついていきなり違憲としたり(ウクライナ、モルドヴァ)、地政学的に微妙な位置にあるのに関わらず民族的プロパガンダを持ち出したり(ウクライナ)大統領空位時期が長かったり(モルドヴァ)…松里氏がこの中でも一番専門としているウクライナに関しては特に手厳しい。
(2021 08/30)

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