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「快楽の館」 アラン・ロブ=グリエ

若林真 訳  河出文庫  河出書房新社

エロティシズムと転換


今日はロブ=グリエの「快楽の館」を読んでいる。どれが図でどれが地なのかさっぱりわからない…困ったことに(笑)。
こんなヌーボーな小説をパラパラめくって楽しめるのは、そこここに張り巡らされたエロティシズムのせいなのだろう。こうした場面のみならず、主客もころころ変わる構成そのものが、エロティシズムというものを体現している重要な要素なのだろうか?わかったようなわからないような…
(2010 07/16)

 そのリズムはあまりにも強烈なので、どんなに強暴な、どんなに唐突な惨劇も、ほんの一瞬にしろリズムを中断することはできず、せいぜい拍子を変えることぐらいしかできない。とはいえ、事故はいたるところで続々と起こっている・・・
(p60)


これはこの作品そのものを…
…って、読みがわからなくなってくると、またお得意の「小説作品全体を暗示する文章」論に依存するのか?
ロブ=グリエは「私は拍子くらいしか変えてません」とでも言うのだろうけど、どうだろうね、拍子だけで全く違う感じ。
(2010 07/17)

大股反復横跳び


先週から読んでいる「快楽の館」があまり早くは進まない。というのも、早く読むとなにがなんだかわからなくなる為。機転がきく読者はそういうものを嗅ぎ取りながら読み進めるのでしょうけど、自分の場合…
とにかく、この小説は微妙なズラしを含有した反復で、最初から最後まで成り立っているので、進んでいるのか戻っているのか…えーっと、それでも少しずつは進んでいるみたい…てな感じで、あって…
120ページを過ぎた辺りから、昨日読んでいたところ辺りから、だんだん筋の進みが大きく反復しながら、大きく進んでいくようになってきた。回転する双曲線の上を歩いているような…
とにかく文庫で200ページ弱の小説を、今日で5日目なのだから、ゆっくりペース。
明日には終わる…と思う。たぶん…
(2010 07/19)

暑いけど「快楽の館」読了


今朝「快楽の館」を読み終えた。なんだかプルーストとセルバンテスをごたまぜにしたような…一人の男の想像から全てができているという点では前者、いろんな似たような場面がわけわからなくなるくらい繰り返されている点では後者…とにかく…暑い…それは今(笑)。

いまはこれで…

 現実の生身の女を抱きしめたいという青年の妄執は、<もの>と断絶し、そのために人間相互の関係さえ不確かになってしまった現代人の不安そのもの、つまり虚無の空漠のなかで確固とした実体を熱望して身もだえている現代人の妄執そのものだろうから。
(p203 解説)


(2010 07/20)

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