見出し画像

「ブーガンヴィル航海記補遺 他一篇」 ドゥニ・ディドロ

浜田泰佑 訳  岩波文庫  岩波書店

ブーガンヴィル航海記補遺


作者は百科全書でお馴染み?のドゥニ・ディドロ。タヒチ経由で世界一周の航海をしたブーガンヴィルの航海記(これは実在する)の補違と銘打って書いたもの。
今読んでいるのは岩波文庫版だが、同じく岩波の大航海時代叢書ではブーガンヴィルとディドロ両者の航海記?が一冊になっている。どっちにも抜き足差し足的なディドロの書き方がなかなか憎い感じ。タヒチ人の理解というより、それを通した当時の社会や哲学批判という色合いが強そう。
(2013 05/31)

ブーガンヴィル航海記補違補遺


今さっき、ブーガンヴィル航海記補違を読み終わった。この文庫には、他に「女について」というのもあるが、そちらはまた明日にでも。

ディドロ本人は刊行を考えていなくて、それだけに言っていることはエスカレートしていく…この原稿が残り刊行したのが、ディドロの批判者である神父だった、というのも面白い。

タヒチ云々は(勿論原作?の航海記に依拠したところもあるとはいえ)あんまり関係なく、専らディドロの頭の中の思考実験と思ってもらった方がいい。その方法が弁証法。タヒチでの司祭とオルーの対話でも、フランスでのAとBとの対話でも、とにかく対話することに意義がある、という感じ。中には対話しているうちにはみ出して自己言及しそうになっている箇所もあったが。
で、その弁証法の結論が尻切れトンボみたいになってしまっているのも、これはこれでディドロらしいといえばらしい。ラストなんてオシャレだしね。
(2013 06/02)

ヒステリーとオノリコ川のインディオ


昨日も書いた通り、ディドロの「女性について」を読んだ。トーマという人の同じ主題の本に対する批評だという。
ディドロの女性観については解説のルフェーブル?の言葉が参考になる感じ。気になったところ2つ。
この文章においてディドロは女性のヒステリーというか神経症をよく観察していたことがわかる。
それとオノリコ川上流のインディオの母親が産まれたばかりの娘を殺すという話が出てくるが、「ブーガンヴィル航海記補違」と違って、「未開人」を理想化はしてないのね。
とにかく、ディドロという人、現実をいろいろ楽しんで生きた人らしい…
(2013 06/03)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?