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「掠れうる星たちの実験」 乗代雄介

国書刊行会

読みかけの棚から
読みかけポイント:ロレンスとエルナンデスと短篇1つ。


乗代氏は1986年北海道生まれの作家。タイトルと装丁格好いいのと国書刊行会だからとそれから「案内係」エルナンデスの書評があったから…日本作家もそろそろあたらねば…
「掠れうる星たちの実験」は書評28編と書き下ろし掌編9本併録。
(2022 12/18)

サリンジャーと柳田國男とサルディニア

この本の書評編には二つの大きな柱があるように思える。サリンジャーと柳田國男。他の書評にも関係付けられているのがあるから、ひょっとしたら、前読んだ野家啓一の「物語の哲学」(あれも柳田國男)のように、元はそういう特集の著作だったのかも。
書評の中から、昨日はロレンスの「サルディニア旅行記」の項を読んでみた。ここには柳田國男も絡めて書かれている。ロレンスは小説よりも紀行文の方が好きという人は結構いるようで、乗代氏もその一人。観光名所などはない方がいい、と言うロレンス夫妻は観光名所がないサルディニアへ敢えて行く。乗り合いバスで見かけた老人の言葉など、コミカルな筆致で日常を切り取る。これはかなり気になる本。
(2022 12/23)

フェリスベルト・エルナンデス「案内係」の書評から他

 いきなり個人的な見解を言えば、演奏すること、書くことといった行為の内実にとことん興味があり、全てがそのことに関わるように書いている作家だと思う。
(p211)


あと、創作から1編、「八月七日のポップコーン」を読んだ。これだけではどんな作家なのかはわからないが、心理的に細かく寄り添う作家だとは思う。
(2023 01/03)

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