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「古代オリエントの宗教」 青木健

講談社現代新書  講談社

とりあえず?今日読み終え「古代オリエントの宗教」 
またまた古代ペルシャ宗教の青木氏登場。「古代オリエントの宗教」。

これは前2冊(「ゾロアスター教」、「マニ教」)と違い、紀元後1世紀から13世紀くらいまでの通史。そこを流れるキーワードとして「聖書ストーリー」(一神教の「旧約」「新約」それに「クルアーン」)とサブストーリー(「聖書ストーリー」に吸収されていったか排除されていった土着の信仰(ゾロアスター教やミトラ信仰など))を挙げていて、13世紀にその様々な説や動きが止まるまでの東方の宗教史を概観する、という趣向。

当然これは、古代キリスト教とイスラームを繋げる叙述になる。成功しているかどうかわからない、と後書きにあるけど・・・どうでしょうね。一神教と多神教の違いもあるだろうし。もちろん絶対的史料の少なさからくるのだろうけど、ある種の強引さはつきまといますね。でもそれを恐れていたら新しい見方は何も出てこないわけで。 

マンダ教(旧約も否定した(元)ユダヤ教、現在は南メソポタミアやイランに1万人ほど)

マニ教(「旧約」を否定し「新約」に自身の聖典を付加)

ゾロアスター教ズルヴァーン主義(3〜8世紀、ゾロアスター教が教義に意識的になった1回目。アルメニアにキリスト教ではなくゾロアスター教を強要しようとした際・・・結果はもちろん・・・ゾロアスター教といえば善悪二元論的世界観だけど、この時代はその善悪の神の上に時間神ズルヴァーンという至高神がいて、善悪の闘いもすぐに善が勝つというものだった)

ミトラ教(インド起源らしい。一時はローマ帝国の中枢部にまで入ったが、キリスト教が国教になると最後に残ったアルメニアでも排除されてしまう。アルメニアの神話詩に痕跡が残る程度で「サブストーリー」にも組み込まれなかったらしい)

イスマイール派(シーア派の動きは厄介なほど複雑なのでここでは単純にこの派の神学とグノーシス主義神学には結構似ているところがあるらしいということだけを。でもこの一派がメッカを襲撃しカーバ神殿を破壊したというのには驚いた)

ザラスシュトラが「聖書ストーリー」に組み込まれて行く過程(これが二回目のゾロアスター教が教義に意識的になった時。この頃に善悪二元論を確立したが、同時に「聖書ストーリー」(当然ここではイスラーム)側からもザラスシュトラはアブラハムのことであるという説が産まれ、ゾロアスター教を取り込んで行く(近代になると一部(現在で10万人ほど)はまたゾロアスター教に戻る?別れる?)。 

ミトラ信仰の一部は東進して仏教と融合し、弥勒菩薩や毘沙門天になったとも(これはウィキペディア情報)。 
(2014 10/05)

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