「バルカン ー「ヨーロッパの火薬庫」の歴史」 マーク・マゾワー
井上廣美 訳 中公新書 中央公論新社
「バルカン」第1章半ばまで
オスマン帝国は自らが対処できない山賊は、できるだけ政府側に取り込もうとした。この点、のちの近代国家成立時には、危険を平定するのが「主権」国家であるという考えが広まる。
17世紀にはたびたびペストが猛威をふるった。
伝染病と近代国家とは、実は立ち位置が非常に近い。
(2018 04/23)
第2章「ネイション以前」読み終え
「バルカン」をやっとここまで。じっくり読めば、あまりよく知られていないこの時代地域の細かなところの足がかりになると思うのだが、とりあえずそこまでの力がない自分は、ここから二つの文章を引っ張っておくにとどめておく。
この地域では、キリスト教徒、ムスリム、ユダヤ教徒の民衆は、宗教の垣根を超えてお詣りにいったり法定を利用してたりしていた。民衆にとっては宗教の違いより、宗教心と現世的利益(災いから身を守ったり、不利な結婚から逃れたりなど)が重要。フランス革命後、ゆっくりではあるが、出版物の増加とともにネイションの思想が読み書きできる階級から現れてくるのだが。
(著者はイギリス人…日本の「私たち」はそこまで「改宗」に思うことはない?)
次のページで、こういった背景から名前を二つ以上持つこと、偽名の習慣も理解できるとある。
1798年に処刑されたという、急進的思想家(神の不在と平等主義)リガス・ヴァレスティンリスという人物も気になる…
(2018 05/04)
東方問題
「バルカン」の第3章「東方問題」を昨夜読み終えた。自国の利益の為にバルカン地域のナショナリズムを作り出し利用した列強(特にオーストリアとロシア)が、主客転倒してバルカン諸国に足をすくわれたのが第一次世界大戦の状況という話。
(2018 05/08)
昨日で「バルカン」読み終わり。案外時間かかったけど、内容も濃厚。引用等は少しのちほど。
(2018 05/12)
「バルカン」引用いろいろ…
この予言は当たったわけだが、バルカンの民族主義者から見れば、この発言は自分たち旧秩序の維持だけを願ったものに見えるだろう。こうした構図は、今の核開発とか環境問題とかとも共通する。
結果…
アーノルド・トインビーの言葉。彼は実際に現地にいたらしい(要調査→ちょっと調べたけどよくわからなかった)。
権限集中の度合は流動的でもある。フォークナーやマルケスの小説にある通り、リンチや血讐は先進国でもそして現代でも(稀に?)起こる。一方モンテネグロでも1851年には斬首や血讐を非合法化する法典を成立させた。そうなると、カダレのアルバニアの慣習も改めて見てみたい。
せいぜい19世紀くらいからのことで、太古の昔からこうした叙事詩的思考があったわけではない。
じっくり考えてみたいのだけど…
(2018 05/13)
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