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無印iPhone15は買うな、買うならProかPro Max

パソコンはMac、タブレットはiPadを使っているがどうしてもiPhoneだけは使いにくくて2009年にDocomoが初のAndroidフォンHT-03Aをリリースして以来、ずっとAndroidユーザーを貫いている(途中2度ほど2台持ちでiPhoneを使ったことはあるが、使い勝手が悪すぎて投げ出した)。

なので、新しいiPhoneが出てもいつもスルーしているのが通例だが、今回はThreadが搭載されているということを聞いてテンションが上がった。

Threadと言えば、スマートホーム業界で話題の新標準規格Matterでネイティブサポートされている通信プロトコルの1つ。
※Matterって何?という人は、過去にnoteしたこちらの記事を参照。

Threadは広く普及するBluetoothやWiFiと同じく2.4GHz帯を使うIPv6ベースの通信プロトコルだが、同じくメッシュをサポートするBluetoothと比較して格段に遅延が少ない。ちなみにBluetoothはMatterの規格の中でも活用されるものの遅延と電波の到達距離が短いことからデバイスの初期セットアップのみで使われる。

Bluetooth比でどれだけThreadが遅延が少ないかは
下記の動画を見てもらえると一目瞭然である。
左側がBluetoothメッシュ対応のスマート電球、右側がThread対応のスマート電球という構成になっていて、Homepodに「Hey Siri, ランプオン」「Hey Siri, ランプオフ」と言ったときの反応速度に注目。
動画ではスマートスピーカーを使っているため、クラウド折り返しの分だけ遅延が見られるが、物理的な照明スイッチを押したときの動作は通信を使っているとは思えないほど遅延が少ない。

Apple製品で言うと、HomePod Miniや第5世代以降のApple TVなんかがThreadを搭載しているが、今回まさかのまさかiPhoneにThreadを搭載してきた。
Threadは家庭内でThread機器同士のネットワークを作っていくため、家に常時置いてあるデバイス向きと言われていただけに、日々イエソトにも持ち出すiPhoneにThreadを搭載してきたことは海外のスマートホーム業界でもどんなユースケースを想定しているのか、と話題になっている。
ちなみにAppleはThreadをどんな用途に使うかはまだ明かしていない。

ここからは想像(妄想?)の世界。

まず考えられるのは、Matterゲートウェイ(Matterの世界ではコントローラとかアドミンと呼ばれる)がなくてもThread対応デバイスを直接操作するというユースケース。
日本でもBluetooth対応のスマートデバイスが散見されるが同じ2.4GHz帯のネットワークプロトコルでもThreadは上記ビデオでも見られるように圧倒的に遅延が少ない。加えて、Bluetoothは実環境下では数メートルしか電波が届かないがBluetoothよりも電波の到達範囲が広いため、スマートホームの初心者がMatterゲートウェイを持っていなくても、対応のスマートプラグやスマート電球を手に入れたらiPhoneだけでスマートホームを楽しめる世界を想像しているのかも、という点。
直接Threadデバイスを操作できるとなると、いずれ出てくるであろうThread対応のスマートロックを直接操作なんてこともできるだろうけど、この点においては遅延を除いてはBluetoothに対する大きな優位性は感じられない。Bluetoothを使ったハンズフリー解錠は、反応速度が遅いことで知られているので、遅延が極端にないThreadの特長を活かした若干のUXアップなんかは期待できるけど。

次に考えられるのは、いずれ使い古されたiPhoneをMatterゲートウェイとして活用するユースケース。移動型ゲートウェイとしても使えるため、オフィスやホテルなどに言ったときにも周辺機器をパーソナライズして使うなんてことができるかもしれない(その辺の認証やセキュリティ周りの作り込みが複雑そうだが)。

あと考えられるのはパーソナライズでの用途。もちろん、最近のiPhoneにはLTE/5G、WiFi、Bluetoothに加えUWBなんかも入っているので、ThreadがパーソナライズなUXにどれだけ寄与するかはわからないが、前述したようにThreadはBluetoothよりも電波が届くため、家に近づいてきたことを検知して家のオートメーションが動作する、家から離れたことを検知して家のオートメーションが動作する、なんてことを想定しているのかもしれない。
今はまだiPhone15でもPro/Pro MAXのみの対応だが、いずれこれが普及してくれば在不在を検知する手段としても有効になると思われる。

いずれにしても今は妄想の世界を抜けられないが、これからAppleがThreadを活用したユースケースを徐々に明らかにしていくと思われるので、近未来が楽しみで仕方がない。


著者 : 新貝 文将

スマートホームに特化したコンサルティングサービスを提供するスマートホームのプロ集団X-HEMISTRY株式会社の代表取締役。

2013年から東急グループでスマートホームサービスIintelligent HOMEの事業立ち上げを牽引し、Connected Design株式会社の代表取締役に就任。

2018年には株式会社アクセルラボの取締役 COO/CPOとして、SpaceCoreサービスの立ち上げを牽引。

2019年秋にX-HEMISTRY株式会社を設立。スマートホーム事業に関連するノウハウを惜しみなく提供する形で、多くの日本企業向けにスマートホーム事業のノウハウを伝授しつつ、数々のスマートホーム事業企画/立ち上げにも寄与。

リビングテック協会発行「スマートホームカオスマップ」の製作にも深く関わり、スマートホームのエキスパートとして日本のスマートホーム業界で認知されている。

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