Fumi Morisaki

DJとデザインをしています。 海外に一度も行ったことがない人が 突然ベルリンに住んでみ…

Fumi Morisaki

DJとデザインをしています。 海外に一度も行ったことがない人が 突然ベルリンに住んでみて、 思ったことの備忘録です。

最近の記事

東京から砂の街へ

2018年6月、 日本を経ちベルリンへ向かう航路の覚え書き 東京を出発し、日本の海域を超え中国大陸の上空に着いた頃くらいまでは、座席のモニターを表示しては、『すごい!今私中国の上にいる!!!!!』などと心を踊らせていた。しかし真夜中のフライトで、待てど暮らせど外は真っ暗だった。私は途中からいまいち現実味を感じられなくなったのか、無事に飛行機に乗れた安心感からか、眠気に襲われ、いつの間にか私は気を失っていた。次にハッと目が覚めて窓に目をやった時には、見慣れない形をした夜景がも

    • タバコ3本分のありがとうと

      12月15日。 ベルリンはハードロックダウンの前日。 増え続ける感染者に歯止めをかけるべく、 政府は前倒しでこの施策を 開始することを決めたのだった。 翌日から生活必需品販売店、テイクアウト営業限定のレストランを除く全ての施設が閉鎖するとの事で、わたしも急遽街へ出かけた。 一通り買い物を済ませ、寒空の下でたったいま今買ったばかりのタバコを巻いていると、 誰かが背後で何かぶつぶつ言っている。 チラリと目をやると、その女性はわたしに何か話しかけているようだった。 私は中々めげ

      • ならず者が住むところ

        先日、友人に誘われて、ローゼンタールという名の通りの外れにある小さなギャラリーに行った。 そこは通りの中でも一際古い建物で、 店構えはドアの左側は植物がびっしりと生えていて、緑でもじゃもじゃしている。右側は白くて大きな格子のガラス窓があり、中を除くと壁は白くて天井は高く、奥行きが広い、声がよく響きそうな、がらっとした空間が広がっている。 奥のバーカウンターの方には3人ほどおじさんが背中を丸めてビールを啜っていた。 その日は展示が開催されており、 友人と静かに入って静かに展示

        • +702日目

          我ながら飽きっぽいとは言え こうも平気で一年以上ほったらかすのは天晴れである。 702日前、勢いで飛び出してきて異国に降り立ってから、まさか、こんな大きな見出しのある歴史のページの渦中にいるような、想像し得なかった未来がやって来るとは思わなかった。 以下覚え書き 久しぶりに重めの二日酔い、 二日酔いとは今までもかなり頻繁に、親密に付き合っていたほうだったが、これはいつぶりだろうか。 ベルリンに来てからはずいぶん機会も減った気がする。 前日はというと、 昼過ぎから久しく会

        東京から砂の街へ

          +146日目

          いつのまにかまた一週間が過ぎた。出発前20日に書いた内容を下書きに保存したまま、半年が経ってしまった。体感は日本にいた時より何故かゆっくりしているのに、 急に時間軸が縮んだんじゃないかと思うくらい、すごいスピードで時間が経っている。 いまから約10年前、19歳からいままでの間の(遅れてきた)青春時代として、ほとんど全てを費やしたキースフラックというクラブがある。高校時代の友人に誘われて、そんなに連れない気持ちで遊びに行った日を境に、冗談じゃなくて、人生が変わった場所である。

          −36日目

          夜中の1時半すぎ、京都に住む父から突然連絡が来た。ドイツのビザを大阪で取りに行く為の旅程を決めて丁度チケットを予約しようとパソコンを眺めていた時、内容は誕生日の祝いのことばと、行くまでに一度会いたいという旨のメールだった。父とはもうかれこれ、随分長い間話をしていなかった。 連絡をするかしまいか、会うか会うまいか、そもそも、行くまでに恐らくこのまま会わないのかもな、と半ば諦めて大阪行きの予約ボタンを押そうとしていたまさにその瞬間のことだったので、いわゆるスピリチュアルな事はあ

          −39日目

          せっかくなので文章を書く練習も兼ねて 旅行記でもつけようと思う。 ドイツに行く日が目前に迫ってきていて、準備はまあまあギリギリなのは気がついてはいるんだけど、自分にとって今回のことはあまりにも現実味がなさすぎるので、もちろん全くパッキングを始める気にもならない。 ほぼ9割くらい思いつきや勢いで行くことを先に決めてしまい、チケットもパスポートもお金も無いのに、わたしは行くぞ行くぞと自ら周りに言いふらし、お前は絶対にいかないだろうと周りに言われまくる事で意地になってしまうとい

          ロンドンコーリングが鳴った時の事

          以前イベント用に書いたレビュー 10代の私にとってのパンクというのは、 早くて激しくて叫んでいる様な音楽(NOFXとかオフスプリングみたいなのが全て)で、それが1番格好いいと思っていた私は、毎日ウォークマン携帯電話で爆音で通学するのが日課でした。 そんな音楽がもっと聴きたくて仕方がなかったので、家の父親の書斎にある、レコードの棚のそれっぽいジャケットを片っ端から見つけては聴いてみるんですが、どれも古臭くて、思ってた物とは違って聴こえて、喉に何かがつっかえた様な気分になって

          ロンドンコーリングが鳴った時の事