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『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』の内容紹介
地方史研究協議会編『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』(文学通信、2020年)を読みました。各地の研究者・学芸員の方々が地域資料から叙述をされています。全19本の論考は、読みやすい文章で、充実した内容でした。ぜひご覧ください。
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-40-1.html
石田文一「真宗末寺のしたたかさ」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)では乗念寺(中能登町)という浄土真宗本願寺派の寺院の活動について取り扱う。乗念寺については、加能地域史研究会による所蔵文書・什物調査の調査が行われ、本論もその成果によるもの。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 17, 2022
今野章「庄内・薩摩交流の始まり」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)。興味深いのは戊辰戦争後に薩摩藩側が庄内藩に対して好意的に捉えていたこと、そして庄内藩側が生き残りをかけて薩摩藩側に接近していったこと。庄内藩関係者の東京での情報収集なども紹介。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 15, 2022
谷口榮「武家の格式と威信材─関東公方葛西様と葛西城─」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)は、戦国期の葛西城遺構から出土した当時のステータスシンボル「威信材」を紹介し、それを保有することができる武士がいたことなどを説く。元代の青花器代は特に注目!
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 14, 2022
牛米努「壬申地券からみる地租改正」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)では地租改正の前段階として発行された壬申地券に着目し、租税制度の近代化の濫觴を紹介。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 13, 2022
壬申地券は市街地券と郡中地券の2種類があること、壬申地券は残存資料が少ないこと、なども。
宇野日出生「八瀬童子のひみつ─天皇側近の里人─」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)。京都八瀬で生活を営む人びと「八瀬童子」について、簡潔な文章で紹介される。その歴史や「八瀬童子会文書」等の他、大喪・大礼における輿丁奉仕が注目される。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 11, 2022
藤野敦「地域資料が歴史教育を今につなぐ」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)。歴史教育の場で地域資料や地域がどう扱われるべきか、実例を示しつつ提言を行う。歴史資料を通じて、大学・生涯学習の受講生に、新たな視点の気づきや共感などがあったことも紹介。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 9, 2022
寺門雄一「お上の絵図と地面の下から宿場を探る」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)は品川宿の石積護岸を取り扱う。発掘調査の成果や絵図資料、古文書などからの検討が行われる。石の産地(伊豆・房州・大谷)や絵図資料の描かれ方の違いなどにも言及。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 8, 2022
山下真一「地域を再認識する地誌の編さん」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)では、都城島津家の地誌「庄内地理志」の編さん調査過程を取り扱う。編さんの過程をはじめ、編さんに関わった人物にも注目し、地域の記録や史跡が再認識された効果などにも言及。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 7, 2022
福家清司「阿波藍起源論の今」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)では、阿波藍起源論についての研究の最前線を紹介。「中世起源説」とその根拠資料の検討など通じて、論証が進められる。阿波藍について、これまでの緻密な研究の蓄積があったことなど注目される。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 4, 2022
佐藤孝之「寺に駆け込むということ」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)。館林藩の事例から江戸時代の「寺に駆け込む」行為について検討。この行為に関する領主側と民衆の相互関係を明らかにし、領主側が柔軟に対応をみせる場合もあったことなどが紹介される。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) May 1, 2022
西村健「焼け跡に手を差しのべた人々の記録」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)では、戦後横浜の戦争孤児保護の問題をボーイズホーム資料から探る。資料からの分析とともに、児童の作文や来歴等も紹介されている。社会事業団体資料の保存意義についても言及。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) April 29, 2022
桑原功一「鎌倉大筒稽古場内の新田試作問題─「御鉄炮御場所」から読み解く─」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)では幕府最大の鎌倉大筒稽古場(現、藤沢市)内で大筒役佐々木氏が新田試作を地元村々に許可していた問題について、史料から探る。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) April 29, 2022
宮間純一「地方文書からひもとく安政のコレラ」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)は千葉県文書館の歴史資料を中心に、千葉県域の安政期コレラ感染の状況を取り上げる。人々の祈り、神仏への祈願などにも注目している。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) April 14, 2022
久信田喜一「『常陸国風土記』の魅力─茨城の古代史はおもしろい─」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』では、常陸国風土記の魅力が語られる。茨城県がうらやましい。古代史研究は言わずもがな、その伝来や写本の存在についても、大変興味深い。 pic.twitter.com/HQKXvcH2o6
— ふみきつね (@fumi_kitsune) April 9, 2022
斉藤照徳「東京近郊のレンガ産業を探る─地域資料発見の楽しさ─」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)では、東京の煉瓦産業について探る。煉瓦の刻印から手がかりを探る「探して、調べて、読み解いていく」という流れが印象的。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) March 27, 2022
斉藤進「「凌雲閣(浅草十二階)」の煉瓦─煉瓦を考古学からみる─」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)では、凌雲閣の煉瓦について取り扱う。凌雲閣は写真などでよく見るが、その概要・来歴等は知らなかった。「窯業生産地の象徴」という表現が印象に残った。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) March 25, 2022
佐藤慎「逆転した鮫ヶ尾城の大手と搦手─定説を覆した高田藩士の日記─」(『日本の歴史を原点から探る 地域資料との出会い』、文学通信、2020年)では鮫ヶ尾城の大手と搦手について論じる。高田藩士の日記の検討はもちろんのこと、考古学的な研究成果もあって、それまでの定説を塗り替える発見に。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) March 19, 2022
中村陽平「大木戸はあったのか─地域の歴史を読み直す─」(『日本の歴史を解きほぐす』、文学通信、2020年)では、板橋宿の大木戸が存在するかどうかについて、歴史資料から探る。結果、大木戸は確認されず。大木戸が存在したという言説についても見解を述べている。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) March 14, 2022
乾賢太郎「町の中の「御嶽山」ー神社に関連する資料を中心にー」(『日本の歴史を解きほぐす』、文学通信、2020年)は、東京都大田区の御嶽神社に残る資料から、地域における御嶽信仰を描写する。特にその信仰の伝播の担い手の存在に注目。
— ふみきつね (@fumi_kitsune) March 13, 2022
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