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ゾーンの中でのマンマークとは?(インテルに見た、ブロック守備戦術)

19/20 セリエA 第37節
インテル vs 
ナポリ

~インテルに見た、ゾーン内でのマンマークディフェンス(ブロック守備)~

 セリエAがユベントスの9連覇で閉幕しました。
 しかし、ここ数年のセリエAとは明らかに違いが見られました。それは、僅差でユベントスが優勝したことでしょう。つまり、1ポイント差の2位にインテル、5ポイント差でアタランタやラツィオと、ユベントスに対抗できるチームが増えてきたと言うことです。かなり競ったセリエAは久しぶりでとても面白かったと思います。
 その中で、インテルはリーグ最小失点と守備がとても安定していました。さすがコンテです。
 ですが、リーグ後半(エリクセンが加入した辺りから)は、リーグ序盤に見られた「純粋なゾーンディフェンス」とは異なった最先端の守備が見られました(特にブロック守備で)。
 その最先端の守備とはどのようなものなのか、分析していきます。


スタメン(home : インテル)

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(away : ナポリ)

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結果 : インテル 2 - 0 ナポリ
( 前半 1 - 0、後半 1 - 0 )


インテルのブロック守備

① 陣形
 インテルはブロック守備時(自陣での組織的な守備)、下図のようにDFとMFでコンパクトな「5-3」のブロックを形成する。
 ブロックの縦の幅はおよそ5m~10m、横の幅(DFラインの幅)はペナルティエリアほどか少し狭く設定する。
 このとき、FWのルカク、サンチェスは前線に残りカウンターの準備をする。

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② 基準点
 基準点はボールと敵。つまり、ブロックのコンパクトネスは保ちつつ、ラインの維持よりもボールホルダーにプレッシャーをかけることを優先し、ブロック内でマンマークを行うようなイメージ。

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 試合中に見られた例をいくつか示す。

(例1)

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(例2)

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(例3)

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(例4)

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(例5)

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(例6)

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 以上から見られるように、この試合では3CBのうち1枚が相手中盤ラインの選手に対してプレッシャーに出ていき、MFの選手がブロック内の相手を捕まえるシーンがよく見られた。


③ サイド
 サイドの大外レーンに立つ相手にボールが出たときは、基本的にウイングバック(以下WB)がボールホルダーに対してアプローチをする。
 このとき、全体がコンパクトネスを維持したまま、ブロック内で敵をマークしながらボールサイドにスライドする。 

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 この試合、特にナポリは攻撃時(ポジショナルな攻撃時)、流動的にポジションチェンジを繰り返していたため、上記のインテルの守備が活きていました。

 そして、この試合私が驚いたことは、ブロック守備の局面においてDFとMFの8枚だけで効果的に守れていることでした。つまり、上記のゾーンの中でマンマークをするような守備により、全員(FW)が自陣に戻らなくても効果的に守備を行うことができるのです(私はブロック守備には最低でも9枚が必要だと考えていた)。これは、FWの2枚が前線に残ることで、爆発的なカウンターも発動できます。
 仮に、このような守備が一般化されるとブロック守備の局面で守備をしなくてもいい選手の幅が広がる可能性があります。とても勉強になる試合でした。

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