憲法草案〜第8(7)章 財政〜予算、予備費

現行憲法の予算、予備費

第八十六条
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
第八十七条
予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
第八十七条2
すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

予算および予備費についてです。
令和2年度2次補正予算において、一般会計の歳出総額31.9兆円の内10兆円を予備費としました。
まさに「財政民主主義の破壊」と言えると思います。

自民党(2012年)草案の予算、予備費

第八十六条(予算)
内閣は、毎会計年度の予算案を作成し、国会に提出して、その審議を受け、議決を経なければならない。
第八十六条2
内閣は、毎会計年度中において、予算を補正するための予算案を提出することができる。
第八十六条3
内閣は、当該会計年度開始前に第一項の議決を得られる見込みがないと認めるときは、暫定期間に係る予算案を提出しなければならない。
第八十六条4
毎会計年度の予算は、法律の定めるところにより、国会の議決を経て、翌年度以降の年度においても支出することができる。
第八十七条(予備費)
予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
第八十七条2
全て予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

第八十六条2〜4項が追加されていますが、これらは財政法に記載されている内容です。

独自草案の予算、予備費

第百二条
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
第百二条2
内閣は、年度をまたぐ中長期の予算を計画するときは、初年度だけでなく年度毎に国会に中間報告を行い、その審議を受け議決を経なければ事業継続できない。
第百三条
予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
予備費は、一般歳出合計の千分の五未満とする。
第百三条2
すべて予備費及び特別会計の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
また、予備費及び特別会計に関わる資料、議事録、契約書類等は、全て公表しなければならない。

第百二条2項は、複数年にわたり事業が継続する(完結するのに数年かかる事業)について規定しました。
財政法第十四条3項に規定されていますが、お役所的な「一度決まったものは止められない」という内容に感じます。
国会の審議・議決を受けなければ「事業継続できない」と強調しました。
第百三条1項には、予備費の上限を定めました。
過去の実績から約5000億円を想定しています。
2項は、予備費だけでなく「特別会計」も国会承認の対象にすること明記し、「予備費及び特別会計に関わる資料、議事録、契約書類等は、全て公表しなければならない。」としました。
ブラックボックスと揶揄される状況は、打開しなければならないと思います。

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