憲法草案〜第5章 内閣〜内閣の職務

現行憲法の内閣の職務

第七十三条
内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
 二 外交関係を処理すること。
 三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
 四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
 五 予算を作成して国会に提出すること。
 六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
 七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

内閣が行う職務を規定しています。

自民党(2012年)草案の内閣の職務

第七十三条(内閣の職務)
内閣は、他の一般行政事務のほか、次に掲げる事務を行う。
 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
 二 外交関係を処理すること。
 三 条約を締結すること。ただし、事前に、やむを得ない場合は事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
 四 法律の定める基準に従い、国の公務員に関する事務をつかさどること。
 五 予算案及び法律案を作成して国会に提出すること。
 六 法律の規定に基づき、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。
 七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること

特に変わりません。

独自草案の内閣の職務

第七十八条
内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う。
 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
 二 外交関係を処理すること。
 三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
 四 法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること。
 五 予算を作成して国会に提出すること。
 六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
 七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
第七十八条2
内閣は、内閣総理大臣として栄典を授与することは出来ない。
第七十八条3
内閣は、それぞれの省庁の範疇により国務大臣の推薦に基づき、かつ国会が承認した場合は、賞を授与することが出来る。
賞は、第十四条3項に則る。
第七十八条4
内閣は、国会議事等に基づき運用してきた事項および法令解釈を変更する場合は、国会の同意を必要とする。
憲法解釈については、憲法裁判所の判断を仰がなければならない。

第七十八条5
内閣は、天皇および皇后が在位中に亡くなった場合、皇室典範に基づき国葬とすることができる。三権の長及び閣僚、議員、その経験者等を国葬とすることは出来ない。かつ経費支出することも出来ない。
第七十九条
内閣は、公共のために個人の権利を侵害するおそれのある行政権を行使するときは、国会と共に、個人に対し迅速に補償しなければならない。
また、権利の侵害が私企業に及ぶときは、これの損失を補填しなければならない。

第七十八条1項は、変わりません。
2項および3項を追加しました。
国民栄誉賞や内閣総理大臣賞など内閣支持率アップのためにあるようなものは、なくすべきです。
第七十九条を追加しました。
これは、今まさに新型コロナでおこった「補償無き自粛」を考えました。
極端な話ですが、個人の権利を侵害した場合(著作権や肖像権、日照権等)の解決手段は、最終的に金銭による賠償しかないです。
「自粛」は、種々の個人の権利を侵害したのですから、賠償する責任があると思います。(条文内では、「賠償」としていませんが。)
「補償」をしたくないのであれば、新型コロナ等の感染症でいう医療崩壊が起こらない体制を作っておく責任が、行政にあります。
体制を作っておかなかった、不作為の責任を負うべきと考えました。

第七十八条5を追加しました。(2020年10月7日、4項→5項へ変更)
2020年9月25日、閣議決定により故中曽根康弘元首相の葬儀に国費から経費支出することが決まりました。
過去にも元首相に対して国費が支出されたことがあるようですが、本当に必要でしょうか?
首相といえども一公務員です。
しかも、現役ですらないのです。
国葬とするならば、全公務員および主権者たる国民全員を国葬とするのが筋ではないでしょうか?(そうしろと言っているわけではありません。)
例えば、政党として葬儀を行うのは妨げるものではないと考えますが、そこには「政党助成金」が支給され国費が含まれると考えることもでき、「収支報告書」だけでなく、十分な説明が求められると思います。

第七十八条4を追加しました。
2020年10月1日、菅首相は日本学術会議が推薦した新会員105名の内6名を任命を拒否したことが明らかになりました。
1983年の国会答弁で中曽根康弘首相(当時)は、「政府が行うのは形式的任命にすぎない」と明言していたことと明らかに異なる解釈です。
これまでも、様々な解釈変更、解釈改憲が行われてきました。
内閣の権力に対し、歯止めが必要と考えます。

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