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痛みは癒しのプロセスなんだって。


毎週金曜日の夜、仕事のあと。子どもたちが寝静まったあと。

夜な夜な読書会をしています。本の内容を一緒に理解していくのはもちろん、そこで感じたことを共有して、お話を広げたり、まとめてみたり、そういうことをしていると、面白い学びがたくさん起こります。

痛みって、基本的には誰でも避けたいもの、ないほうがいいもの、みんな躍起になって痛みを体験しないように、痛い思いをしないようにする。肉体的な痛みも、精神的な痛みも、どちらもなるべく避けたい。

これが一般的なとらえ方。

そうなると、痛みには「悪」の属性、「負」の属性がつくというか。

悪役、敵役は倒してしまえ=なくなってもいい、っていうすごく乱暴な考え方になりやすいと思う。

こういうことをしたら痛かった、だから次はこうしよう。

こういうことが起こったとき、心が痛かった、そこを起点に、自分はこういう価値観があるんだなととらえてみたり出来る。

こういう、痛みや不快だった体感から、何かを得ているという意識はあって、何も痛みや不快さも悪いもんじゃないよね、というとらえ方だったところ、さらに腑に落ちる話を聴きました。

痛みっていうのは癒しのプロセスであって、痛みを感じることでその部分が癒しに向かうサインなのであるという話。

肉体的な話であっても、生命の持つホメオスタシス(恒常性)の働きで、「いまここがおかしいですよ~、早く治さんと」という信号が痛みであって、それを無視したときには悪化するという当然のことなのですが、慢性的にそれを感じていると感覚が麻痺したりする。慣れていくけど、決して根治はしていないっていう状態。

心のほうの反応の、腹が立つ、悲しい、悔しい、傷ついた、といった感覚も同じようなところがあって、価値観が揺さぶられていたり、昔々に蓋をした感情にふれたようなときに、体感として起こる現象。それに触れたときに、なんでこんな気持ちになるんかなとじっくり味わって、感じていくと、あぁ、こういうことがあったな、とか、こういうことを願っているのか、という風に、何かを取り戻していくような感覚になります。それは、心にとっての癒しかなと思う。

そんなことを考えているとき、たぶん、生まれてきたときの子どもは、全部持ってるんじゃないか。いろんなことを感じて、それを表現するという当然さ。無償で世界や周囲の人を信用して、愛する態度とか。それらを、失ってしまうような、切り離されるような体験をして、徐々に麻痺していく。感じないようになっていく。だから、トラウマを克服した、みたいなときって、欠けていた部分を取り戻した感覚になるのと、童心に還る心地がする。新しい何かを得るというより、あ、そこにあったのか、っていう感じ。

主に幼いころ、感情を出したり、素直に感じたことを出したときに、親が嫌そうな反応をしたとか、周りの人に変な目で見られたとかそういう体験をもとに、これはよくて、これはだめ、こんなことを考えてしまう自分はよくない、ってやってしまう。二度とそういうことはすまいって決める。そのとき、それは悪いことだから、ってするのが子どもとしては手っ取り早い。いけないことなのです、という戒律に対する恐れだけはしっかり残す。そうすれば、二度とやらないから。だから、ほかと違うところは、「おかしい」ところは「悪い」ってなる。

話を戻すと、痛みや不快さはよくない、って決めたのって、「よくない」、っていう判断をしたのって、この幼いときのことだ。それは本当ですかという問いかけもできない、幼いときの縛り。ある意味、「稚拙」な判断根拠で、ずーっと縛られてるってこと。

熟年離婚、脱サラがはやった1990年代、「渡る世間は鬼ばかり」でも、大吉は突然脱サラをして板前修業を始めて、節子は怒りまくりました。でも、結局ふたりでおかくらを営みます。その頃大吉たちは60代。大吉は還暦を過ぎて「自分のやりたいこと」を見つけたのです。

2000年代に入って、30~40代で、何か違う、自分を取り戻したい、自分らしく、ということが起こっているように感じていて、どんどん若年齢化してきているのかなと感じています。

そうなると、今の子どもたちはそのままの感じ方、表現を大切にしてあげたいと考える大人たちに囲まれることになる。痛みや不快さも、そこから学ぶことがあるという考えが土台にある場で育っていくことになる。

子どもたちの学ぶ力、適応する力は本当にすごい。転じて、人間の学ぶ力、適応する力はすごいということ。童心に還る、自分を取り戻すことで、そういう力をまた発揮できるんじゃないかと思っています。

で、「あなたの感じることはそのままで大切、いい悪いなんていうものはない」を伝えたいとき、頭でっかちに言葉で説明するよりも、何よりそういう風に過ごしている大人がいるということ、そういう出会いがあるということが大切なんだと思う。

僕にとっては大切な気づき。

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