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今日の限界芸術

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2019年2月の記事一覧

駆け抜ける衝動 ─鶴屋団紅の原始落語と鶴見俊輔の限界芸術

詩とはなにか。それは現実の社会で口に出せば全世界を凍らせるかもしれないほんとうのことをかくという行為で口に出すことである。 ──吉本隆明 一 恵比寿のチンピラ落語 二〇〇八年一二月二八日──。年の瀬が迫った慌しい日曜日の夜、東京は恵比寿の外れにある古びたアパートに、一風変わった高座が出現した。六畳ほどの和室には真紅の敷物が敷かれ、壁には掛け軸や額装された書、隅に置かれた行灯が暗い室