ヴァナキュラーと限界芸術─2000年代以後の日本現代美術の状況
現在から過去15年のアートシーンを振り返ったとき、もっとも大きな特徴は、時代を象徴するほど強力なムーヴメントがきわめて乏しいという事実である。「スーパーフラット」(2000年)、「マイクロポップ」(2007年)以後、そのような突出した流行現象は日本のアートシーンには見られなくなった。少なくとも戦後美術に限ってみても、「反芸術」、「もの派」、「ポストもの派」などのカテゴリーが美術史を更新してきた一面を鑑みると、ついに歴史の終焉が到来したような悲観的な印象を禁じ得ない。だとしても