ランダム小噺「シケイダ3301」

画像1

 初めて知らない単語がガチャで出てきた。なんだか響きが怖い。意味がわからないのでネットで調べてみることにする。

 シケイダ3301はインターネット上に現れた暗号だそうだ。2012年に端を発し、現在までに3回ほど現れている。「インターネット時代における最も複雑でミステリアスなパズル」と呼ばれ、暗号の存在意義に関して様々な憶測が存在しているらしい。シケイダはcicadeという英単語でセミを表す。セミのマークとともに合わられた暗号だからだそうだ。暗号はこんな文から始まる。

 「こんにちは。我々は知能レベルが極めて高い人間を探しています。我こそはという人は、この画像に隠されたメッセージを見つけ出してください。メッセージは我々にたどり着く道しるべになっています。3301」 うーむ、実にワクワクする導入である。こんな小説のようなお話が現実の世界で起こっているとはなぁ。月刊ムーで特集が組まれてそう。ちなみにKindle Unlimitedに入って良かったことの一つは月刊ムーが読み放題なところだ。たまに読むと心が元気になる。

 子供の頃から七不思議やミステリーが好きだった。ちょうどその頃、テレビ番組で「USO!?ジャパン」というバラエティー番組が始まっており、心霊写真の話にドキドキしたり、UFOの映像に心をときめかせていた。正直子供心に合成だとわかる写真もあるのだが、そんなことを言うのは、なんというか野暮である。あのなんともいえない”ミステリーの雰囲気”を楽しんでいたのであって、その世界に浸りたかっただけなので、真相はさほど興味がなかった。まだ人間のわからないものがこの世に存在する、という不気味さが子供の世界を魅力的なものに彩ってくれていた。

 そう思ってシケイダ3301を振り返ると、こちらは暗号を考えた人が必ず存在するので、未知のお話ではないのだが、作成者や作成意図が不明なのが七不思議感を醸し出す。コンピュータの暗号に関してはさっぱりの知識なので、世の中には凄腕のハッカーたちがいるのだなぁ、という気の抜けた感想しか出てこないのが少し悔しい。もう少しプログラミングを勉強しないとな。

 凄腕のハッカーといえば、真っ先に私が思い浮かぶのが「尊師スタイル」の元ネタになったリチャードストールマンである。プログラミングに疎い私でもあのEmacsを作った人物と聞いて畏敬の念を抱かずにはいられない。尊師のハッカー伝説は実に様々であるが、その昔MITがパスワード制を導入した時にハッキングして解除し、それに止まらずよりセキュリティを上げる方法をMITに伝えたのだとか。やりたい放題である。ネット界のミスターアンチェインだ。

 当の本人は自身の情報が漏れるのを嫌い、携帯電話を持たず、パソコンのメールも足跡を残さない特殊な方法で閲覧しているそうだ。こういう人がシケイダ3301を作成しているのに違いない。話のスケールが壮大すぎてピンとこないが天才も大変だなぁ。

 たまに映画や漫画に凄腕のハッカーが出てくると大抵パソコンをかちゃかちゃ弄っているだけでリアリティというか深みがないように思う。最も、リアリティを追求しすぎると映像映えしない画面になるのだろう。

 でも、尊師スタイルを実行しているハッカーが映画や漫画に出てくるとかなりハッカー感が増すので誰か実践してほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?