ランダム小噺「接客業」

「接客業」を引いた。

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学生時代最も長い期間バイトしたのは接客業だったように思う。

ラーメン屋、油そば屋、カレー屋、水煙草屋…接客時間はお店によって様々だが実に多くのことを学んだ。

品切れのメニューを聞かれた時は本当に思ってなくても申し訳ない顔を作れとか、食券は両手で受け取れ、とか。働くお店によってオーナーの考えもまちまちで、海外のコンビニのようなぶっきら棒な接客を好むオーナーもいた。

話が逸れるが海外の接客が皆んなが皆んなぶっきら棒かというと私の経験の範囲ではそんなこともない。

大して多くの国を見てきたわけではないが、オーストラリアはかなり接客がフレンドリーであった。シドニーが観光都市ということもあるが、本屋でブラブラしていただけで「あなたはどこから来たの?まぁ日本!素敵な国ね」と声をかけられたことに驚いた。このフレンドリーさは日本ではなかなか見ることが出来ない。

中国は想像通りの接客内容である。友達や知り合いにならない限りこちらのことを好きになってくれはしない。完全に他人の状態で良い接客をしてもらうのは難しそうだ。けれども少し親しくなると世間話や近況なんかを話したりする。尤も、コンビニやチェーン店だと難しいが。最近ではチェーン店の接客レベルが日本と遜色ないように成長(?)してきたように思う。

話がだいぶ脱線してしまった。接客業の思い出に戻ろう。

どのお店も大して長く勤めた訳ではないが、偉いもので働くと自然と常連さんの顔や注文を覚えてしまう。カレーや油そばの場合はメニューを作るのに必死で顔を覚える余裕はなかったのだけれども、水煙草屋のバイトは時間がゆっくりと流れるのでお客さんの顔を覚えやすかった。

一番接客業の力が伸びたのは間違いなく水煙草屋での仕事だろう。そもそもこのバイトは他の飲食店バイトと比較してかなり毛色が異なる。主な違いとして「接客時間の長さ」が挙げられる。

水煙草は一本注文すると、大体1〜2時間は店内で過ごす。どんなに大将と仲の良いラーメン屋の常連でも店内に1時間もいないだろう。もしいるのなら中々の迷惑行為である。ところが水煙草屋になると1時間以内にお客さんが帰ると「あれ、不味かったのかな?」と不安になってしまう。それくらい流れる時間に差があるのだ。

お店の中での過ごし方はお客さんによってまちまちで本を読んだり、動画を見たり様々である。そういう人たちに大してわざわざ店員が話しかけることはない。ただ、中には店員との会話を楽しみにしているお客さんもいる。ここで店員の接客力の見せ所である。

店員と話したがるお客さんの存在はお店にとっても嬉しい存在だ。大抵そのような人たちはやがてお店の常連へと成長(?)する。

しかし、そういった存在を変にありがたがってずっとお喋りばかりしていると、今度は静かに過ごしたいお客さんが離れてしまう。それもそれで困る。

なので、お店ではお話ししたいお客さんと喋りつつ、一人で過ごしているお客さんに疎外感を抱かせず、あわよくば少し会話してお店のことを好きになってもらう…という器用な接客力が身についてくる。

と、まぁここまで話しておいて自分がそんな完璧な接客をできていたかと言われると、自信はないのだけれど…。接客業をがっつり体験したり、コミュ力や接客力を上げたかったら水煙草屋さんでのバイトも面白いと思うよ、うん。

(集中力が切れたので最後は雑に締める)

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