HHKBにシリコンスプレーを施した話

 これ以上ない至福のキーボードが見つかることをend gameという。私にとってHHKBはまさにend gameそのものだった。と、いうよりHHKBがキーボード沼へと誘ってくれたので、HHKBを超えるキーボードを探すことが私にとってのend gameになるのかもしれない。しかし、今現在HHKB信者のようにこのキーボードを気に入っているので、見つけたいと同時に見つけたくない気持ちもある。めんどくさい性格をしている。

 そんな中、秋葉原のパソコンショップで凄まじい打鍵感を持つキーボードに出会ってしまった。

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 Xtrfyのゲーミングキーボード「K4テンキーレスキーボード」である。Xtrfyというのはスウェーデンのゲーミング機器メーカーらしい。ゲーミング機器って取り敢えずRGBでライトアップさせるよなー、意味あるのかなーとか呑気に思いながら何気なくキーを叩いた時である。

 き、気持ちいい…

 静電容量無接点型とも異なる滑らかな押し心地がそこにあった。メカニカルキーボードでここまで気持ちの良い打鍵感が生まれるのかと感動を覚えたものだ。一体何が他のメカニカルと異なるのか、非常に気になった。

 調べてみるとどうやらキーにLube (潤滑油)があらかじめ塗られているのが原因らしい。なるほど、オイルを差せば確かにキーは滑らかに動きそうだ。この処理をHHKBに施してやればさらに最高の打鍵感が得られるのではないだろうか。と、いうわけで早速実行に移してみることにした。

 キーボードはプラスチック製品なの使用するグリースの種類もプラスチック向けのものになる。始めはシリコングリスを購入しようと考えていたが、友人の助言もあってシリコンスプレー を購入することにした。

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 有名なCREのシリコンスプレー である。Amazonでシリコンスプレー と検索をかけると一番初めに出てきた。レビューも申し分のない評価である。届いてからキーボードに塗布する前に自宅のサッシにかけてみたが、びっくりするくらい滑らかに開け閉めすることが出来た。ひょっとしたらサッシが作られた時以上に動いている。早速効果を感じることが出来た。

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 申し訳ないが作業に夢中で写真はこの一枚しか撮っていない。やっていることは単純でキー キャップを外して軸の周囲に綿棒でシリコングリスを塗り塗りするだけである。初めはキャップを外した後はスプレーを満遍なくかけて終わりにしようと思ったが、それでキーボードが壊れてしまうのは悲しすぎるため、地道ではあるが2万円以上したものを守るため、安全策を取ることにした。

 シリコンスプレーの中身を紙コップに移し、綿棒で掬った後、黒い軸の周囲、黒と白の境目の部分を中心にグリスを塗りつけていく。全部で60ものキー数があるのでそこそこしんどい作業だった。Youtubeで発売されたばかりのゲーム、「Ghost of Tsushima」のプレイ動画を横目に作業を開始した。合計で1時間ほどかかった気がする。

 紙コップに移したシリコンは初めは液体だが時間が経つにつれてドロドロしていくので、満遍なく全てのキーに同一の量を塗布するのは大変だった。多分出来ていない気がする。何はともあれ、全てのキーにシリコンを塗りたくり、これでキーの感触が変わることを期待しながら、またポチポチと嵌め直して行った。

 そこで一番気になる打鍵感の変化だが、確かにキーが今まで以上にぬるぬると動いている!かなりキーボードの反応速度が上昇したような気がして大変嬉しかった。もちろん先ほどのXtrfyのキーボードと打鍵感は一致しないが、グリスを塗って良かったと思わせるだけの変化は感じ取ることが出来た。そして何より、HHKBの個性がそのまま生かされていることが嬉しかった。例えるならガンダムにマグネットコーティングが施された気分である。このままコンスコンのドムを13機ばかり撃墜できそうだ。

 ただ、ずっとシリコンスプレーと向き合っていたため、少しばかり頭痛がきてしまった。もちろんこの記事を書いている今現在はもう治ったのだが、換気にもう少し気を付けていれば良かったことと思う。

 メカニカルキーボードを使用している人やHHKBなどの静電容量無接点キーボードを使用している人は是非シリコンスプレーによるLube加工を試してほしい。手間は少しかかるものの、、加工難易度は大変低く、それに見合う効果は十分に得ることができる。スプレーをかけすぎてキーボードを壊さないように注意しながら、さらなる打鍵感の世界を体験してほしい。

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