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AIはざっくりと世界を理解する

  スタニスワフ・レムのSF「ソラリス」で、思考する惑星ソラリスと人類との対話が描かれている。人類は、ソラリスの惑星上に現れる現象を見つけ、ほんの少しでも理解しようとするのだが、どのような解釈も及ばない。そしてソラリスは沈黙してしまう。

 いわば、ソラリスは量子コンピューター&ディープラーニングAIのようなもので、どのような答えが出てこようとも、人類にその理由は理解できないのではなだろうか。

 今、AIで何を作り出そうとしているのか、面白そうなものをピックアップしたい。

Food Galaxy AIがレシピを提案

 予防医学研究者・石川善樹が率いるハビテックが開発したAIで、世界中の数十万のレシピを学習させ、そのビッグデータをもとに、人間の想像を超えたレシピ(食材の組み合わせや調理方法)をAIが提案してくれます。食材が3D空間にマッピングされた「食の世界地図」です。

 斬新度とクオリティのパラメータを設定し、新しい料理を提案してくれます。斬新度を上げると、見たこともない料理がでてきますが、おいしいという保証はありません。程よいバランスを探って、「斬新なお雑煮」で出てきたのは、納豆とチーズとナツメグを入れたお雑煮でした。おいしかったそうです。

ばかばかしいAIが世界を読む

 もっとばかばかしいAIの使い方を研究している人がいるはずなんですが、短時間での私の検索に引っかからなかったですね。実用性なんて、いらないんですよ、研究には。

 とにかく、はっきりしたのは、いまだに誰もスカイ・ネットを作ろうとしていないことです。とても残念です。

イグ・ノーベル賞2022

 仕方ないので、イグ・ノーベル賞の紹介をします。

 第32回第1回イグ・ノーベル賞授賞式は、2022年9月15日オンラインで行われました。イグ・ノーベル賞は授賞式のチケット代が唯一の資金源だったので、ここ3年全く収入がないことになります。

 受賞者には、印刷して組み立てるとトロフィーが出来上がるPDFが送信されました。単なる紙の筒に見えます。賞金は10兆ドル札(偽)です。

 その中のイエール大学エドワード・タフティ名誉教授の話。「認知心理学分野では、1年間に500もの機械学習とAIの論文が発表された。その半数は再現不可能で虚偽のものである。」

  それと、ゴシップの数学的モデルを構築した「ゴシップ好きが、いつ本当のことを言い、いつ噓をつくべきかを判断するためのアルゴリズムの開発」は、世界の平和やAIの開発に役立つかもしれません。

 もう1つ。しっぽを失ったメスのサソリのその後です。しっぽには獲物を捕るための機能と同時に排便器官があるので死ぬまで排便できません。歩く速度も遅くなります。しかし、残り2か月近い余命であっても子孫を残すことはできるのです。お腹にたまった便のために子孫の数は少なくなりますが、生きる価値はあるのです。

 あとは、マヤの浣腸儀式の話で、おしりから酒を飲む話とか、コガモが編隊を組んで歩く方法とか(これは海上輸送の理論に役立つそうです)。

楽しくなければ科学をしているとは言えない!

 近いうちに、AI研究がイグ・ノーベル賞を受賞することを期待しています。あ、ウエブサイトで寄付のお願いしてますので、皆さんよろしくお願いします。


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