一次障害の吃音と二次障害の社交不安障害について。支援者が早期に介入することで二次障害は予防できるという話。
私の経験を「一次障害の吃音と二次障害の精神疾患」というテーマに沿ってお話させて頂きます。まず、吃音症状を自認した時期についてですが、私の場合は実は症状を自覚した時期は遅く、中学2年生の時となります。
それまでも、もしかすると無自覚なだけで吃音症状は生じていたのかも知れませんが、少なくとも発話の流暢性で困る、発話の流暢性が問題で生活に支障をきたすということはそれまではありませんでした。
吃音は自覚と共に私の困り感となって行きます。そのプロセスとして、友人から「話し方がおかしい」と連発の症状を指摘されたのがきっかけです。
記憶にあるのは、「おはよう」が流暢に発話できず、「お、お、お、おはよう」となってしまった際にそれをオウム返しされてしまい、「お前の話し方おかしくないか?」と言われたのは今でもよく覚えています。
決して友人も悪意を持って、そのような発言をしたのではないと今となっては分かりますが、何分、多感な思春期の真っ最中であり、先輩と後輩の両方が生まれ、上下関係をより意識するようになると同時に自身と他者を意識的に比較し始めるようになる時期であったため、それ以降、自身の話し方が「他者にとって不自然に見られるのではないか?」と、
当時の心境により近い言葉を使うと、
「友達に変に思われて嫌われたらどうしよう」
「後輩に馬鹿にされたらどうしよう」
「女子に変に思われたくない」…といった心境でいたように思います。
今振り返ると吃音の自認と同時に社交不安の初期症状も獲得していたように思いますが、当時は「吃音」という言葉も、「社交不安障害」という言葉も何も知らなずにいましたし、周りから変に思われたくない、親から干渉をされたくないという時期でもあったため、仮に「吃音」というワードや「社交不安」というワードを知っていたとしても、周りと異なる存在になることを恐れて周囲にそれを伝えなかったのではないかと考えます。
その後の話として、高校時代の話や現在至るまでの話となるのですが、この続きは6月5日(日)に行われるオンラインセミナーでお話する予定です。
吃音症を持つ当事者の体験談はどちらかと言えば生存者バイアスで、自分は●●という自己対処で乗り越えたのだから、あなたもそうしなさい(すべきである)と語られることが多いように感じています。
もちろん自己対処の方法の選択肢を考える上でそのような体験談も有効ではあると考えますが、今回は生存者バイアスは可能な限りかからないよう、他者にどのように頼るべきであるかという観点で話をしてみます。
よろしくお願い致します。