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かけあうつきひの「400倍」の漫才台本を最後まで書いてみた

まえがき

どうもこんにちは、フクツと申します。本記事はタイトル通り、「かけあうつきひ」という漫画の主人公である、上狛陽、有戸月の漫才コンビ「400倍」のネタの二次創作でございます。

「かけあうつきひ」とは?

お笑い養成所に通う上狛陽、有戸月の2人の笑いあり、感動ありの日常コメディ漫画です。お笑い芸人のラジオを聞いたり、ネタを見るのが好きなのでとにかくこの漫画が刺さりまくりました。すでにこの漫画は完結しており、あとは最終巻である6巻の発売を待つだけになっている状態です。(発売日は8/18の予定です)

養成所の漫才コンビの漫画ですので、当然漫才をする2人の様子も描かれていますが、しっかり最初から最後まで描かれている部分はありません。
しかし、僕がこの漫画に惚れ込んだのは第1話に2人が軽く漫才をする描写があったからです。その描写内でしっかりとネタの冒頭が描かれていて、2人の関係性がしっかりと反映された漫才だったんです。面白い漫才だなと思ったので続きを書いてみたいと思いこの記事を書いています
まずは考えてみた台本を御覧ください(二次創作にあたるので苦手な方は注意)


台本(漫才「肺呼吸」)

月「みなさんどうも、400倍です。最近、私…趣味を見つけたんですけど…」
陽「ほぅ趣味?一体何よ…」
月「肺呼吸」
陽「それ趣味ちゃうよ!哺乳類の生命線や!!」
月「えーでも私、結構肺呼吸を楽しみにしてるんだよ?これなしには生きていけないくらい…」
陽「なかったらみんなしぬんよ!!」
月「ごめんね陽…漫才中なのに趣味に勤しんでて…」
陽「いやどんどん勤しんで!?じゃないと死ぬから!!」
月「ちなみに陽の趣味は何呼吸?」
陽「いや、呼吸に限定せんといて!?ウチの趣味はカラオケとかやから!」
月「あーはいはい、カラオケね…まぁ悪くはないんじゃない?」
陽「なんでちょっと上から目線やねん!!」
月「いやまぁ…一応こっちは肺呼吸だし…」
陽「どんなプライドなんそれ!?」
月「だって肺呼吸はカラオケ中にもできちゃうからね。もしかして陽はやったことない?」
陽「あるわ!肺呼吸活用してカラオケしてんねん!!」
月「陽もしてるんだ、じゃあ私の悩みもわかってもらえるかな」
陽「何に悩んでるんや?」
月「歌ってるときって肺呼吸のタイミングを矯正されたりするじゃない?趣味は矯正されだしたら違うと思うんだよね」
陽「もしかしてブレス記号のこと言うてる!?息継ぎのタイミング決められてるけどあれで呼吸嫌になる人とかおらんから!」
月「風船ふくらませるのなんかも普段どおり肺呼吸が楽しめなくなっちゃったりさ」
陽「肺呼吸趣味にしたせいで生活に支障きたしだしてるやん!」
月「嫌になっちゃったときは深呼吸でちょっと味変してみたりで気分転換してるんだけどね」
陽「呼吸の味を楽しんでたん!?呼吸方法で味変わるん!?」
月「腹式呼吸は肉肉しいんだよね」
陽「腹にガツンと来ますねぇ~」月「来ますねぇ~」(同時)
陽「じゃないねん!呼吸に味があるとか聞いたこと無いから!!」
月「趣味の話はこの辺にしますか。最近、私…気になってることがあるんですけど…」
陽「唐突に話題変わるなぁ…何が気になってるんよ」
月「エラ呼吸ってどんな味なんですかねぇ」
陽「話題変わってへんやん!!趣味の延長線上の話やん!!」
月「叙述トリックかぁ…」
陽「ええように言うなよ!!話題変わったようで変わってない程度の裏切りで叙述トリックはいいすぎやから!!」
月「でも私達人間には味わうことができない呼吸味(こきゅうみ)なんだよ?陽も気にならない?」
陽「呼吸味って何!?初めて聞いた味覚!!」
月「あれ五味に含まれてないっけ?」
陽「含まれてへんわ!人間が感じられる五種類の味で聞いたこと無い味や!」
月「含まれてたはずなんだけどな。確認のために五味一緒に言ってもらえる?」
陽「ええで、せーの!」
陽・月「「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」、「旨味」」月「呼吸味」
(途中まで同時に指折り言っていく、呼吸味で月は別の手の指を足す)
陽「変なん足すから六味になってるやん!!」(月の指を指しながら)
月「それで辛味を足して七味と」
陽「無理やり調味料みたいにすなよ!」
月「あ、ごめん陽、流石に息が苦しくなってきたかも」
陽「ちょ、月どうしてん!?」
月「やっぱり漫才中に趣味に勤しむのはまずいと思って途中からあんまり息吸ってないんだよね」
陽「いやだから漫才中唯一勤しんでええ趣味やねんからもっと勤しんで!!」
月「でもちょっと、強制されるのは嫌だなぁ…」
陽「生死がかかってるんやから強制するわ!!」
月「もうだめかも…」
陽「おいしっかりせぇ!強制しても嫌がられるし、かといって呼吸してもらわんと危ないしどうしたらええんや!」
月「すぅううううううううううはああああああああああ」(深呼吸)
陽「いや深呼吸で味変すな!!そんなに嫌やったんかい!」
月「やっぱり肺呼吸なしには生きていけないや」
陽「人類皆そうやねん!もうええわ!」

あとがき

ここからさきはあとがきです。あとがきと言っても「かけあうつきひ」の魅力について語るだけになると思いますが…

かけあうつきひの魅力① ネタに盛り込まれる日常回

 1つ目の魅力として語ることができるのは、ネタに盛り込まれている日常パートのエピソードです。この漫画の中にはいくつかの漫才ネタが出てくるのですが、今回参照した「肺呼吸」もそうなのですが、漫才ネタのほとんどが400倍の陽と月の日常回から作られているネタなのです。「かけあうつきひ」はほとんどが日常回で、ネタをする回はむしろ少ないんですが、それでもあの時の話から陽はネタを作ったんだなというのが伝わってくるのです。そのたびに何故か嬉しくなってしまう。しかも「肺呼吸」に至っては第1巻第1話からの400倍の持ちネタなんですが、第5巻第45話の過去話でそのルーツとなる話が出てくるというまさかの伏線回収パターンでやられてしまいました。漫才師を目指す養成所生の日常マンガで伏線回収ってなんだよ……

練習からの有名になった時の想像シーン


かけあうつきひの魅力② スミリクの存在

 主人公コンビ400倍と対をなす存在としてスミリクというコンビがこの漫画には出てきます。400倍とは同期ですが、他事務所のエースという存在です。良き友であり良きライバルという王道的存在なのですが、とにかくスミリクが登場する回に外れはないといっても過言ではないぐらい素晴らしい回が多い。スミリクはエースゆえの悩みのようなものを抱えており、それが400倍との関わりで少しづつ雪解けしていく様はとにかく見ものなのでぜひ読んでいただきたいです。そんな登場回は全て神回となるスミリクが大活躍する3巻から4巻にかけての温泉旅行回はもう最高です。細かいところにはなりますが、月と凛久(スミリクのボケ担当)がサウナボケを考えて必死で菫(スミリクのツッコミ担当)を笑わせようとする回はここで文章を打ってるだけでも泣きそうになる私のお気に入り回です。(もちろん温泉旅行は複数話にまたがっていますが全て神回です)

渾身のサウナボケ


かけあうつきひの魅力③ 月のボケ

 まあここまで書いておいて最後これかよという感じですが、とにかく月のボケが素晴らしい。この漫画は1話をみるだけでもわかるのですが、月は常にボケたがる性質で陽はそれに常につっこんでいるというような日常回がほとんどです。この月のボケはボケの教科書1ページ目にあるようなボケを常にし続けます。それは面白いのか?と聞かれるかもしれないですが、これがまさに僕に刺さる。趣味で漫才を書いていますが、結局ボケの教科書1ページのボケが一番おもしろいんです。
 そして月のボケにはもう一つあります。全編通して語られていることとして月はいわゆる一般的な常識のようなものから解き放たれた存在なのです。つまり常識はずれな状態だったんですが、陽との出会いで1からボケを勉強してるんです(詳しくは3巻参照)。月の妹、輪も指摘しているのですが、普通とずれたことを言うボケを本来月はできるはずが無いんです。しかし、ある意味良き理解者として登場した陽を喜ばせるという目的のためにボケの勉強をするんです。一度普通の型にはめられそうになり、それを拒絶したにも関わらず、陽のためだけにもう一度普通について勉強し始める。これは涙なしには読めなかった。
 一応僕のお気に入りのボケは、「背骨を…引き抜いてた…」というやつです

しょうもなさすぎるけど大好きな嘘ボケ


最後に

 今回、二次創作漫才台本を書いたのは単行本3巻の質問コーナーで、「ネタを考えてみてください」とあったからでした。その時だれかやるだろと勝手に思いこんでいたのですが、ふと、趣味で漫才を書いてて、かつこの漫画を読んでる人ってどれぐらいいるのだろうかと思い自分が書くしかないなと思い書いてみたというわけです。
 この漫画との出会いを書いて本当の終わりとします。趣味で書いている漫才は動画にしているのですが、その動画に「これ、"400倍"の持ちネタにしても良い出来だよなぁ。」とコメントを頂いたのです。400倍をその時は知らなかったので調べてみるとすごい漫画に出会いました。最初このコメントを読んだときは「あれ?似たようなネタがあったのかな」と思ったのですが、最後まで読んだ今では、400倍の持ちネタにできるぐらいのネタという最高の褒め言葉だったわけです。僕個人としてはコメントの謎解き目的で読み始めた漫画でしたが、とにかく今はこのコメントを下さった方、そして作者の福井セイ様、本当にありがとうございました。
 そしてここまでお読みくださった方、ありがとうございました。

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