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復讐者の恋話(中学〜現在編)

↑の続きです

暗黒の中学時代

中学生になって、同級生の数が一気に増えた。
「格好良いな」と思う先輩を見つけることもあった。

けれど、中学生時代の恋バナといえば、他に言うことがない。

最初は男子どころか女子にもなじめなかった。
そこに性格の悪い男子たちが目をつけて、陰湿にからかわれた。
幸い、声をかけてくれた女子たちのおかげでぼっちは1〜2ヶ月ほどで卒業できた。

一緒にいて楽しいと思える友だち、というのは本当にありがたかった。数名の信用できる友だちを得て、徐々に並程度の社交性を身につけた。

ただし、わたしにとって友だちは「例外」だった。信頼できる人間は一握り。
女子は嘘つきだ。
女子は裏切る。
女子は仲間はずれを作る。
そんな風に「女子」という生き物に対する不信は消えていなかった。

それならば男子はどうか。こちらも駄目だった。
たしかに、遠目に見て素敵だなと思った男子は何人かいたと思う。しかし身近は全滅だ。

馬鹿がつくほど真面目な性格だったわたしは、特に男子から煙たがられていた。
席替えで隣になった男子に舌打ちされるくらいには。

反対にわたしからの好意が、クラスメイトなどの近場に向くこともなかった。

女子=敵、男子=敵

真面目、と言っても色々あると思う。
わたしは校則や提出物などのルール違反や、授業態度が悪い奴などが許せなかった。
そして黙っていることもできなかった。

いじめや環境の変化で抑圧されていたが、本来わたしはかなり血の気が多かったのだ。

間違っていると思ったら、明らかな不良だろうが噛みつく。
そもそも大半の生徒のバックボーンを知らないから、目についた奴がナニモノなのかも知らないまま敵意をむき出しにする。

元気を取り戻したわたしは、ある種の狂人だった。
社交性は並程度と言ったが、度胸のメーターが振り切れていたと思う。 

ここまででお分かりいただけたと思う。
中学時代のわたしは、モテるモテないの次元にすら立ててすらいなかった。

不良を目の敵にしておいて皮肉なものだが、わたしの精神性は古式ゆかしいヤンキーに近かったと思う。
「わたしはわたし、君は君」ができなかったのだ。
「お前とは意見が食い違うようだな。じゃ、殺し合うか」だ。(※あくまでイメージです)

今でこそ「よそはよそ、うちはうち」に努めているのだが、ときどきは我慢できなくなる。
「非行に走らなかった元ヤン」って、定義的にアリなんだろうか。

今思うと他人の価値観を「そういう考えもあるな」と言う風に受け入れることが無理な人間は、恋愛どころか、人付き合い自体難しいだろう。
わたしと付き合ってくれていた当時の友人たちには、頭が上がらない。

小学生にして、女性不信。
中学生にして、男性不信。
ここにパーフェクト人間不信が爆誕したのである。
うん、阿呆だ。

暴走の高校時代

もはやわたしにとって恋愛は画面の向こう側の出来事だった。
中学時代にオタク文化に出会った影響も大きい。

恋を実らせるなど夢のまた夢。
しかし、憧れはある。
そんな私は現実の男子をコンテンツ化しはじめる。
今風にいうなら、身近に「推し」を作ったのだ。

この時点で恋愛観がぶっ壊れている。
倫理観は壊れていないが、狂人レベルが上がったのは確かだ。

さて、男子を「手の届かないもの」と定義したわたしはどうしたのか。
目の保養にしたのである。

文字通り、ただ見つめた。
見つめすぎて、やがて「推し」の周りの男子が視線に気づき、ざわめきだした。

しかし度胸メーターが壊れている私は、その場その場は目を逸らしつつも、機会があればまた凝視。

今思うと、彼や彼の友人からクレームが来なかったのが不思議なくらいだ。
わたしのことが怖かったのかもしれない。

「推し」の彼には申し訳ないことをした。
彼はただ、眼鏡の似合う真面目そうな高校生で、わたしの「萌え」に刺さっただけだった。
彼には何の罪もなかったのに。

今なら思う。せめて話くらいしてから好きになれ、と。
彼の顔はよく思い出せるが、声はもちろん無理だ。ほとんど聞いたことがない。
性格についても何もわからない。彼に比べたら、画面の向こうの推しの方が、人間性を理解できているんじゃないかレベル。

同じクラスだった頃、たまたま彼の隣に立つ機会があった。
男子の中では平均ほどの彼の背丈が、わたしよりずっと高いことに気がついて。
唐突に、馬鹿みたいに、心臓がドキドキした。
それが最初で最後のエピソードだ。

一人だけ

それから現在に至るまで、一人だけお付き合いした人がいる。

30年ほどの人生で唯一、わたしを好きだと言ってくれた人だ。ありがたすぎて拝みたいレベルだ。

わたしには勿体無いできた人で、とにかく優しかった。彼が3つ年上だったせいもあるが、落ち着いた性格で「大人だなぁ」と憧れていた。

わたしの性格は相変わらず狂犬だったが、ときにテンションを上げすぎても、引かずに笑ってくれていた。

彼との別れは、物理的な距離によるもの。
と、彼は思ってくれているだろうか。

彼が遠くに行かなくてはならなくなったタイミングで、私たちは別れた。
実はその3ヶ月ほど前から、わたしは別れを切り出せずにいたのだが。

彼は被害者だ。
だってわたしは、どんなに好きな人でも、ずっと一緒にいるうちに好きでなくなってしまう。
彼と付き合って、そんなことに気づいてしまった。

交際期間は半年くらい。だからわたしはたった3ヶ月で「人とお付き合いすること」に限界を感じていたらしい。
彼を嫌いになったわけでも、不満があったわけでもないのに。

これも人間不信の後遺症なのか。
いや、きっとわたしが先天的に抱えた欠陥なのだろう。

人としての欠陥

友だち関係も長く続かない。
学校を卒業するたびに、環境を変えるたびに、リセットしてしまう。
連絡を無視してしまったり、連絡先すら消してしまったり。
だから今、友人と呼べる人は1人もいない。

仕事も長く続かない。
仕事の内容も関係なくはないが、とにかく周りの人全員を嫌いになっていくのだ。
「嫌い」が「好き」に戻ることはない。じわじわと嫌いのレベルは上がっていき、やがて耐えられなくなる。

人間不信。人間嫌い。厭世的。
いろいろ言葉はあるけれど、なんだかどれも物足りない。
とにかく、人と関わることがものすごく向いてない人間ってことはわかるけれど。

恋愛の話をするつもりだったのに、最後はわたしの欠陥性についての話になってしまった。
つまり、恋愛対象として論外!ということでまとめとしよう。

人間関係が続かないわたしにとって、唯一の例外が家族だ。
家族だけは不幸にしないよう、これからも慎重にことを成していきたいと思う。とりあえず祖母と話さなくては。

復讐者の恋話、おしまい。

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