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女上長、R子さん

買取の研修は3日間ほどで終わり、あっという間に東京本部の営業部に配属となりました。

当時は1チーム5名の営業課が6チームあり、『値指し』と呼ばれる上長が営業スタッフを束ねていました。

配属初日、中途採用の私は気合いを入れて集合時間の30分前に営業ルームに着きましたがドアが空いていません。あれ?部屋を間違えたか?と不安になりましたが10分前になると眠そうな顔をした男性が鍵を開けて中に入っていきました。

その後、ゾロゾロと若いスーツ男性
が同じく眠そうな顔をして吸い込まれるように営業ルームに入っていきました。

おはようございます!◯◯と申します。よろしくお願いします!と元気よく挨拶をしましたが誰も返事をせずに黙々と仕事をしていました。

後で聞いた話ですが、この頃は中途採用スタッフが大量に入ってはすぐに辞めてしまうため、どうせすぐにいなくなるから放っておこうと皆さんは思っていたそうです😅

そこへショートヘアのパンツルックの女性が『あなたががんさん?S木です。よろしく』とハスキー?気味のガラガラ声で挨拶されました。女上長、R子さんです。

まさか直属の上長が女性とは思っていなかった私は少し拍子抜けしましたが、すぐに思い直しました。東京本部の『値指し』は6名で彼女は唯一の女性です。ふと喫煙ルームに目をやるとR子さんがガニ股で椅子に腰をかけて煙草を燻らせているのです笑

早速R子さんの指示に従ってお客様のご自宅へ出張査定に行く仕事がスタートしました。1人で出張査定に行くと困るのは車の査定です。なんせ数日しか研修を受けていませんし、当時はスマートフォンもないので通信手段は携帯電話だけでした。

R子さんに査定結果を報告すると『事故車なの?大丈夫なの?どっち?』と詰められ、本当に分からないので『微妙です!』と答えてコテンパンに怒られました。

そんなR子さん、ある商談でどう考えても状況的に買取成約をいただくことができない内容だった時に『なんで買えないの?バ○じゃないの?』と電話で罵倒してきました。若かった私はお客様の目の前で『ふざけんなよ!お客様は今は決めないって言ってるんだよ!』と逆ギレし、お客様にドン引きされてしまいました😅

それからは私に対してものすごーく丁寧に接してくれるようになり、お陰様でそれなりの台数が買い取りできるようになりました。

数年後、異動後にたまたまお会いしたR子さんはガニ股ではなく、見違えるような大人レディになっておりましたとさ。

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