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世界一の蔵

令和3年9月1日に念願の焼酎蔵に就職しました。
鹿児島県垂水市にある、農業法人八千代伝酒造株式会社
普段あんまり目にする事がない方もいらっしゃるとは思いますが、令和3年鹿児島県本格焼酎鑑評会で84酒造場162点出品の中、芋焼酎「八千代伝(黒)」が1位である「総裁賞代表受賞」を受賞と、芋焼酎本場の鹿児島県の中でもトップクラスに評価が高い蔵です。
さらに、農醸一体という思想の元、農業法人を立ち上げ、自社栽培の原料を使用したドメーヌ焼酎は他にはない、ここの蔵の強みです。
まさか自分がここで働けるなんて夢にも思いませんでした。
世界一の評価、業界をリードする蔵です。

初日の緊張感

37歳になる年齢で2回目の転職、小さな頃から転勤族で新しい環境はたくさん経験してきましたが、初日はいつも緊張するものです。この日の仕事は職員総出で、季節限定の熟柿の詰め作業。朝7時半から1日通しで詰めました。緊張は最初だけで、緊張する暇もないぐらいに必死に頑張りました。
自分が飲んでいる焼酎は全てこの工程を経て来たものだと思うと感慨深い気持ちになりました。そして、この日の事は一生忘れない事でしょう。

醸造家の朝は早い

今は仕込みの時期。朝は7時半から始まります。
前日に寝かせた麹をかめ壺に運ぶ仕事。麹の状態を確認し、米一つ一つが離れた状態になるように木の棒で返していきます。朝一から体全身を使い、そして繊細な動きが求められます。寝ぼけている暇はなく、次の持ち場へ。
かめ壺に移した麹にかい棒を入れ、麹と水、そして酵母を混ぜ合わせます。
一見すると簡単そうな、かい入れですが、やってみると中々難しいものです。面白いのは発酵の期間により全然混ぜた感じが違う事。毎日同じ時間に同じ工程をする事により、微妙な変化に気づけるようになるのかもしれません。
現場に入って間もないですが、杜氏、そして先輩の蔵子さんの働きぶりを見ていると行動に迷いがない。体を使っている時も頭はフル稼働しているように思えます。少しづつですが環境に慣れてきましたが、あそこまで動けるようになるには量を積まないと無理だと感じました。そして、その量の中から質が生まれてくる。とにかく今は目の前の事を一生懸命。

すごい人達

杜氏、現場の先輩はとても丁寧に優しく教えてくれます。
入社する前はどんな人がいるのか、どんな環境なのかとても不安でしたが、今は心から安心して働くことができます。そして、このチームに何かできることはないか、自然とそう思わせてくれる環境です。
日本伝統の仕事、そして歴史のある蔵なので勝手に職人気質の固いイメージが先行してましたがそんな事はなく、笑顔でそして、内なる熱い思いも伝わってきます。
一つの銘柄は一つの作品。作品が世に出て皆様に美味しく飲んで頂く事が一番。お酒は華かやな印象が強いですが、それとは対照的に現場は無駄がなく頭も身体もフル稼働。しかし、造り手たちの人柄は柔らかく、さらに、心に芯が通っている素晴らしい人ばかりです。
こんな人達が作った作品を飲みたいなーと思える焼酎なので、きっと働き方、生き方、人間性が焼酎の品質に出るのでしょう。
まだ始まったばかりですがそう思います。そしてそれを信じたいです。



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