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「ぼくらの未来をつくる仕事」を読んで その4 国民皆保険制度について

本書の4章では、日本の医療について書かれています。
その1つ目が、日本の医療を支える仕組みで最も特徴的な「国民皆保険制度」について。

簡単に説明すれば、すべての人から少しずつお金(保険料)を徴収して、その集めたお金を医療を必要としている人に再分配するという仕組み。「皆」という字から分かるように、原則として日本では本人の意思に関わらずこの制度が適用されます。

自分は病気にかからないから!病院のお世話にならないから!と思っていたとしても給料から保険料が差し引かれるのを止めることはできません。

とはいいつつも、この保険制度のおかげで日本では「誰でも、どこでも、いつでも」医療機関にかかることができる社会を実現しています。ここまで患者の負担を抑えながら医療の質の高さ、アクセスのしやすさ両立しているのは日本だけといっても過言ではないそうです。

この、日本の医療の根幹である国民皆保険制度について、

今後維持できない、なかにはすでに崩壊しているという人もいる
というのが問題点です。

というのも、厚生労働省の発表では2015年にはおよそ42兆円のお金が医療に使われています。

その42兆円の約6割が65歳以上の患者さんに使われています。
ただし、年齢が上がれば上がるほど、「高齢者が医療費を多く使う事」は不自然ではなく、防ぎようがないのでどうしようもありません。

問題はそのお金を負担している側。
給料などから一部支払われる「保険料」と、患者が病院で支払う「自己負担料」でまかなわれるのが原則ですが、その内訳は

保険料:5割
患者自己負担料:1割
税金などの公費:4割

で支えられています。

実際のところ、保険料は個人と会社が折半していたりして複雑なので一概には言えませんが、税金に頼らないようにするには
働いている人全てが年間70万円、月に5万円以上の社会的負担をすることで維持される仕組みが現在の国民皆保険制度なのです。

もちろん給料や家族の有無などで負担額は異なってきますが、今後さらなる少子高齢化社会で「医療費を支える人が減り、使う人が増える」のは明らか。

2025年には医療費は50兆円を超える予想です。

医療は国全体のセーフティネットなので実際には消費税などの税金での補助の増大が現実的ですが、これも結局国民全体が負担しているお金に変わりありません。


ちなみにこういう話しをするとよく「金持ちからお金をとればいいじゃないか」という話しがでますが、国の重要ポストに就く人はお金持ちやその関係者が多く、税金を決める政策には常にお金持ちの意見が反映されてしまいます。
庶民が暴動を起こさないようにギリギリのレベルに抑え、なおかつ庶民に分からないようにするのが常です。(現に、ほとんどの人は自分の給料からいくら分が社会保険料として引かれているか知らない人が大多数だと思います)

ちなみに、社会保険料は給料の金額で等級ごとに異なるので分かりにくいです。自分で調べようと思って調べても余計に分からなくなる人がほとんどだと思います。
例:日本年金機構が出している保険料額表

また、日本ではお金の話=汚いとかガメツイなど、あまり良い事ではないという文化がありますが、お金持ちの家では代々、お金について、特に税金についての教育を受けます。

お金に対して知識のない庶民から巻き上げる方がとても簡単なのです。

源泉徴収制度。サラリーマンなど会社勤めしたことがある人なら聞いたことがあると思いますが、税金の計算を自分でやらせないことによって、国がどれだけサラリーマンから税金を取っているかわからなくさせています。もちろん給料明細に金額は書いてありますが、果たしてそれをちゃんと見ている人がどれだけいるのか。まぁ見ている人がいたとしても、会社勤めしている場合どうにもできません。

また、仮に国民全員がお金についての知識をつけて、金持ちから多く税金をとれる仕組みを作れたとします。
当然の事ながらお金持ちは日本を離れ、税金の安い国へ行ってしまいます。
「タックスヘイブン」というのがここ数年話題になりました。
海外にはタックスヘイブンという税金のとても安い国があるのでそこに移住してしまうのです。

日本からお金持ちがいなくなってしまえば、国は庶民からより高い税金を徴収せざるを得ません。


今の日本の医療をどうやったら持続可能なものとして維持できるのか、改めて考えていかなくてはならないのです。

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