お金の話　７　ヤバいと思ったら辞めてみよう。安かろう悪かろう仕事を拒否

前述のとおり、ベーシックインカムが実現されれば、最低限生きていけるので、嫌な仕事だったら辞めちゃっていいという判断ができる。これは非常に大きなメリットです。
ブラック企業というのはまずメンタルがやられます。
ニュース番組でよく「周りの人に相談」とか言いますが、そもそも思考が停止します。
思考が停止すると、相談するという思考にもなりません。
周りはできてるのに自分だけできない。足手まとい。もっと頑張らないと。
と、真面目な人ほどメンタルはやられやすいです。

例え周りが心配しても、「自分が悪い。自分のせいだから仕方ない」とか
「そんなことないよ、大丈夫」とかって言ってしまいます。

ブラック企業はそういった心理になりやすい環境です。
今健康な人には想像もつかないとは思いますが、環境が変わると人間は本当に変わってしまいます。いとも簡単に。

スタンフォード監獄実験という有名な話があります。
簡単に説明すると、一般人に囚人役、看守役それぞれに分かれて演じてもらう、という「普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした実験」が行われました。
結果から言うと、この実験、あまりに影響がありすぎて中止になるくらいのものでした。
看守役の人間が囚人役に対して暴言や罵る言葉を遣い、囚人役も反発することなく、むしろ性格が暗く、本当の囚人かのようになっていってしまった為です。
実際のブラック企業に当てはめて考えれば、ブラック企業に勤めて自殺を考えるその当事者の気持ちは考えるだけでも恐ろしいです。

つまり、思考停止になったら転職とかも考えられないくらいになってしまうので、少しでもヤバいなと思ったらお金のことは考えずにとりあえず逃げましょう、という事が言えるのです。
ベーシックインカムが実現すれば。

そうすると、ブラック企業と呼ばれる、労働者をこき使って低い時給で無理やり回そうとしている会社は自然と淘汰されていきます。そういう会社や業界が淘汰されない限り、社会は進歩しないと思います。

これまで「安かろう悪かろう」のものをいっぱい売ることで成立していた業者があるわけですが、それでは売った人も買った人も幸せになれません。だって「悪かろう」なんですから。
働くほど不幸せになります。

ではなぜそれが成り立つのか。「働く必要がある人達が仕方なく働いているから」。だから時給を安く抑えられる。

でも、「時給１００円なら働かない」ってみなさんが言い出したらその会社は成り立ちません。その会社が無くなって困る人がいるのかと言えば（経営者以外）多分いません。

ブラック企業をなくせ！とよく言っている人たちがいますが、そもそもブラック企業がなくならないのは「ブラック企業で働く人がいるから」なんですよね。
自分の会社、ブラックなんだから潰れればいいのに、と思っている人がいれば「まずあなたが辞めてみよう」という事です。

そうやってきちんとした給料を払ってくれる会社だけを残して、それ以外はみんな淘汰される。そうすれば世の中は良くなるのではないか？

「絶対に何が何でも働かなければ生きていけない世の中」じゃなくなれば、「安かろう悪かろう」の仕事を拒否できるようになるわけです。