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アナイアレイション -全滅領域-

宇宙から謎の物体がどこかの灯台に落下し、周囲の環境に影響を及ぼし始める。
世界を狂わせるそのエリアは、徐々に広がっていく。
主人公レナの夫は調査に向かい行方不明になっていた。
その夫が突然家に現れ、そして重体となったことをきっかけに、レナはエリアの調査隊に参加する。

レナが領域内で見たものは、変異した動植物。
エリアは自分たちにも影響を及ぼし始めていることを知る。
領域内で見つけた夫が参加していた調査隊が残した映像には、更にショッキングな変容を遂げている人間の姿も。

この映画では、狂ってしまった不気味な空間が終始描かれる。
地球に落ちてきた何かが、異変を引き起こしているのは分かる。
だが、どうしてそうなってしまうのか、どうなってしまうのかというのは明確には提示されない。

鑑賞中は、描かれていることの意味をあれこれ考察しながら見ていたので、面白く見ることができた。
明確には描かれていないが、その裏にある設定は何なんだろうと考えながら。

しかし、鑑賞後に知った本作の成り立ちから、筋の通った設定や意味は期待できないかもしれないと、今は思っている。

本作には、原作小説が存在し、原作は三部作で構成される。
本作の企画は、原作の一作目しか刊行されていないときに開始されたため、脚本などは一作目の内容のみ参照して作成され、以降の2,3作目は読まれないままだったらしい。
また、参照している一作目とも、ストーリーは異なっているらしい。
とすると、本作は、原作一作目の序盤設定やイベントの一部を流用して作成されただけで、原作の持つメッセージや本来のテーマなどと関係なく作成された可能性がある。
一つの映画として成り立つようにまとめられてはいるが、骨子となる設定やメッセージは存在していないことも考えられる。

正直、この映画作品に対しては、おすすめできると言っていいのか迷っている。
ただ、エリアを美しく不気味に映像化したことで、原作へ興味を持たせる導線としては意味があると感じた。
自分は、原作がこの不可思議なエリアをどういう設定としているのか、どういう意味を持たせているのか知りたいと思っている。
いつか原作を読んでみたいと思う。

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