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「福祉プラスのまちづくり コンセプトブック制作ワークショップ vol.2」を開催しました!

文:田辺萌(たなべ・もえ)

2023年11月20日(月)に草加市中央公民館にて「福祉プラスのまちづくり コンセプトブック制作ワークショップ vol.2」を開催しました!終始盛り上がりをみせた第1回目の開催に続き、今回はさらに人数が増え40名近くもの方々が参加されました。さらに活気あふれる場となった当日の様子を、このレポートを通してみなさんと振り返っていきたいと思います。

▼ふくらむフクシ研究所の取り組み・第1回目の様子はこちら

「福祉プラスのまちづくり」のコンセプトブック制作

「みんなで創る『だれもが幸せな』あしたの暮らしと福祉のカタチを目指す『福祉プラスのまちづくり』」とはなにか?を考え、実験し、そこで生まれたものを記録していく、そんなコンセプトブック制作が始まっています。「ふくらむフクシ研究所(略してふくフク研)」が目標としているのは、作成したその後も継続的に使われていく「生きたコンセプトブック」。膨らませた未来と、その過程で出会った仲間や想いを、ふとした時に立ち返ってみることができる冊子の制作を目指して、今回も熱く楽しい意見交換が行われました。

参加人数も増えて会場は一段と賑やかに。みなさん緩やかに混ざり合っていました。

第2回目のワークショップは、前回よりも参加者が倍近く増えるということで、草加市役所からより大きな会場である草加市中央公民館へ会場を変更して開催。開始時刻が近づき参加者が続々と現れる中、第1回目の参加者同士で再会をよろこぶ場面も見られました。参加されたみなさんは、現役大学生や建築家、パン屋さん、インクルーシブ運動場の関係者などさらに多岐にわたる分野で活動されている方々。一体どんなワークが始まるのか、わくわくした空気が会場を包みました。

前回の振り返り「みんなにとっての地域共生社会とは?」

株式会社ここにあるの藤本遼(ふじもと・りょう)さんの挨拶のあと、まずはみんなで前回の振り返りから。前回のワークショプでは、「みなさんにとっての『地域共生社会』とは?」を考え、参加者全体でイメージを共有しました。このワークではそれぞれが抱く課題感や理想とするこれからを知り、相互に受け止め合うことが出来たように思います。異なる背景をもった人が集まっている場で、お互いを尊重する仲間になっていくためにとても重要な時間となりました。

前回シェアされたエピソードや景色をまとめると「多様な人たちが出会い、混ざり合うこと」「混ざることで『ラベリング』という概念がなくなっている状態」「お互いに助け合うこと」などといった共通点がみえました。混ざり合っていく中で自分の意見が変化していくことを楽しむこと。価値観を強要したり、意見を否定したりするのではなく、お互いが思いやりをもつこと。これはワークショップを通じて大切にしていることでもあります。これからを参加者全員で確認し、2回目のワークショップはスタートしました。

同じテーブルを囲んだ参加者同士で自己紹介。2回目ではまだまだ顔馴染みのない同士。 「はじめまして」が飛び交っていました。

第1回目と同様に今回もお互いをあまり知らない人同士で5人程度のグループを組み、ワークをともにしました。一緒に来た親子も知り合いもグループは別々になり、普段関わる機会の少ない方との交流を楽しんでいただきます。最初のワークは参加者同士の自己紹介。普段していることや最近1ヶ月であった思い出、今回期待していることなどを共有する中で、会場の雰囲気は緩んでいきました。

ふくフク研がみんなと実験していきたいこと

ふくフク研は、コンセプトブックワークショップをただの冊子制作とするのではなく、「誰もが幸せなまちづくり」をみんなで実験、試行錯誤する過程とその道中で得た産物を記録していくことを目指しています。第2回目のワークショップでは、みんながより主体的にまちの出来事を「わたしごと」として捉えるため、全員でイベントをつくり上げていくための場となりました。

今後のふくフク研の取り組みの中で、特にみなさんとつくり上げていきたいイベントは大きく2つ。1つ目は、2024年2月24日に開催予定の商店街企画。草加駅東口周辺の店舗のみなさまにご協力いただき、障がいのある子どもや大人たちの職業体験や「やりたいこと」の実現、「障がい」に触れられる体験型のコンテンツの実施を考えています。日常の延長線上にあるお店の中に「声でコミュニケーショを取らない」「注文と違うものが出てくる」などの違和感を潜ませることで、自分とだれかの当たり前が違うことを体験し、暮らしの中に福祉や当たり前を膨らませていくことが目的です。2つ目は、2024年3月20日に開催予定の屋外イベント。ふくフク研の集大成的企画です。「障がい福祉」をテーマに出店やステージ発表、体験コンテンツなどを企画し、フェスのようなかたちでさまざまな人々が交流を楽しめる場としていきたいと考えています。

「こんなことをやってみたい」を膨らまそう

まだまだ未成熟なイベント達をここから膨らませ育てていくために、前回盛況だったリソースカードを使用したワークを行いました。リソースカードとは、参加者のみなさんに事前に聞き取りしたリソース(スキル、ネットワーク、経歴、モノ、場所など)をカードにしたもの。このカードを組み合わせ、何ができるかをあれこれと妄想していきます。今回のテーマは、「2月・3月のイベントで何か仕掛けられること、できること、やってみたいこと」について。机一面にびっしりと埋まるほどのリソースカードを見ながら、各グループでディスカッションを行いました。

参加者のみなさんから事前に聞き取りしたリソースで机は埋めつくされました。前回よりも枚数が増え、内容もさらに充実しています。

今回は全員でリソースカードを共有しながら、自由に発想を広げていく方式。そのため、同じ単語でも掛け合わせるワードや掛け合わせた結果がグループによって全く異なり、違うアイデアが生まれるおもしろさがありました。例えば、婚活パーティー×みそ好きの人たち。この掛け算では「おにぎりの具でマッチングをする仕掛けをつくる」「焚き火を囲みながら焼き芋や焼きおにぎりづくりをする。男女関係なく、友情でも愛情でも、オープンに関係性を育める場をつくる」といったアイデアに発展しました。他の単語の組み合わせでは「『美容師』と『近所のよく喋るギャル』にヘアセットやメイクをしてもらい、素敵な状態で婚活パーティーへ向かう」「『チョコレート』に含まれている、ちょっとセクシーな気持ちになる成分を利用する」などの専門家ならではのおもしろかつ真面目な意見も。実際にその場にいるだれかのリソースということで、まだ想像上のアイデアのはずなのに、ほとんどの企画や意見がどこか現実味を帯びていたように感じます。

リソースカードを参考に今後の取り組みで「やってみたいこと」や「おもしろそうなこと」などを自由に想い描きます。

それ自体におもしろさがあるリソース(ママチャリで日本縦断した教助、社会不適合者の元ラッパー、近所の親子が入り浸れるおばあちゃんちなど)を活かすヒューマンライブラリー。地域だからこそできる「マイ草加せんべい」を決めよう企画。みんなで本を持ち寄ってつくる青空マンガ喫茶。段ボールハウスや廃材アートなどの作品制作。ここには書き切れない程のたくさんのアイデアが湧き上がっています。無数のリソースをもとに、さまざまな視点と発想をもった人たちで掛け合わせた結果、自分たちでも想像しきれない大きな可能性とわくわくが生まれたように思います。

会場があたたまり、お互いに意見を出しやすくなってきたところで、次は少し具体的で現実的なテーマへ移っていきます。

こんなコンセプトブック/イベントはいやだ

まちや職場にはいろんな本や冊子が置いてあり、地域ではさまざまなイベントが開かれています。見るだけで心踊るものと、反対になぜだか疲れてしまうもの。その2つの違いは一体何なのでしょうか。もちろん人によって好みがあると思いますが、コンセプトブックやイベントを具体的にカタチにしていくために「こんなコンセプトブックはいやだ」「こんなイベントはいやだ」を書き出してみます。このワークを通して、自分たちがつくり上げたいものとは何か、解像度を高めていきました。

参加者それぞれが考える「こんなコンセプトブック・イベントはいやだ」を紙に書き出し、その後グループで共有しました。

「こんなコンセプトブックはいやだ」で多く声が上がったのは、難しい言葉・専門用語が多用されていたり、文字が小さかったりと、読むことへのやる気を削がれるもの。読んでも意味や内容が伝わらないもの。この2つはほとんどのグループで意見が出ており、会場では意見に対して頷きながら共感を示すみなさんの姿が多く見られました。時間と手間をかけて作成したものが実際に読んでもらえなかったらと、想像すると少し悲しいですよね。
これらの意見を踏まえて「ふくフク研」のワークショップでは、だれもが手に取ることができ、遊び心が含まれた分かりやすい冊子を目指して丁寧に作成していきたいと思います。それぞれ違ったスキルや視点をもった方々が関わり、愛のある意見交換をしながら作成しているコンセプトブック。きっと素敵なものに仕上がるだろうと期待が膨らんでいます。

「こんなイベントはいやだ」では「内輪で盛り上がっていて入りにくい」「友達を誘いにくい」「休憩所や安心できるスペースがない」「トイレが少ない・使いにくい」などの意見が挙がりました。順番待ちは子どもたちの大敵。トイレだけでなく、並ぶ必要のある催し物も連れ出すことを躊躇ってしまうといった意見も。イベントを企画していく上で参加者の安全と安心をしっかりと確保した上で、自由に遊べる場をつくることが大切なのだと改めて感じました。また、このワークショップでは仲間づくりを大切にしていますが、決してここで築いた関係だけで楽しみを完結させず、ひらいて、膨らませ、より混ざり合った景色が見られるような仕掛けをみなさんとともに考えていけたら良いなと思います。

各イベントの研究チーム結成!

ワークショップの終盤では、参加者約40名がそれぞれ主体性をもって活動に取り組んでいけるように、各取り組みの中心となるチームを結成しました。今回結成されたのは、①広報・コンセプトブック制作チーム②お店企画チーム③屋外イベントチームの3つ。もちろん1つのチームでその取り組み全てを実行するのでなく、各チームが連携し、そして興味があれば掛け持ちもできる研究体制です。参加者のみなさんにはまずは1つ、より自分の興味があり、研究・実験したいものを選んでいただきます。いずれのチームも活動前から胸が高まってしまうほどおもしろそうで、みなさん選択を悩まれながらも楽しんでいる様子でした。

その後チームに分かれて、これからの活動の確認やメンバー同士の顔合わせを実施。メンバーの簡単な自己紹介と、各チームリーダーから活動の目的や現在決まっている概要・内容について説明を受けます。参加者みなさんの笑顔や表情から、学生時代の文化祭のような、計画や準備に胸を膨らませるわくわくを感じました。これからイベントが終わる3月まで、とくに関わる機会が多い仲間となります。お互いに協力し、相談し、時には助け合いながら。自分の手でつくり上げるからこそ得られる体験や感情をみんなで共有していきたいですね。

「コンセプトブック」制作ワークショップとまちのこれから

第2回目のワークショップでは1回目に比べてより現実的な場を想定し、参加者に考えていただくワークが中心でした。だれもがどこかの「まち」の住人なのに、「自分はこのまちを構成している一員である」「まちを育てている」という感覚は薄いように感じていました。しかし、このワークショップや「ふくフク研」の取り組みでは自分の考えやアイデアがリアルタイムで反映されるため、自分の手でまちをつくり上げているという実感があり、そこから楽しさや豊かさを感じることができています。みなさんの生き生きとした表情を見ていると、この感情は私に限ったものではないかもしれないと感じています。普段何気なく生活していると見逃してしまいがちな小さな幸せや、当たり前にしてはいけないだれかの課題に少しスポットライトを当てて、「誰もが幸せな」あしたの暮らしと福祉のカタチをみんなで目指していけたらと思います。

今後の予定

ワークショップの詳細やその他イベントの詳細については「ふくらむフクシ研究所」のFacebookをご覧ください。

▼ワークショップ4回目以降の開催日時

第4回:1/21(日) 10:00-12:00
第5回:2/22(木) 19:00-21:00
第6回:3/27(水) 19:00-21:00

会場:草加市高砂コミュニティセンター

▼ふくフク研トークライブ

フクシの世界をちょっと広げたり、ちょっと新しくしたりする取り組みをしているゲストのお話を聞き、みんなで意見交換するイベントです。今回は草加市を中心に関東のゲストと、神戸・尼崎で活動する関西のゲストにお越しいただきます。草加市の方でもそうでない方でも、フクシの世界をちょっと広げてみたいという方はぜひお気軽にお越しください。

◉日時
2024年1月13日(土)10:00-17:30

◉場所
高砂コミュニティセンター
草加市中央1-2-5

◉申し込みはこちらから
https://forms.gle/47tw3PTbWvnVuJHj8
※2024/1/10(水)締め切り

◉詳細はこちら


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