マガジンのカバー画像

拘りや小話

28
ブランドや時計の歴史や技術、当店の拘りについて書いた記事をまとめております。
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

ベンチュラのデザインと歴史

ハミルトンのアイコン的アイテム『ベンチュラ』。 非常に珍しいフォルムで60年以上の歴史を持つ奇妙な腕時計。 その後の腕時計の進化に決定的な影響をもたらすと同時に、つくり手であるハミルトンの声価を歴史に記した金字塔です。 今回はその魅力に迫りたいと思います。 ■ベンチュラファーストモデル ベンチュラが誕生したのは1957年。 実は、世界で初めて一般販売された「電池で駆動する腕時計」だったのです。 加えて左右非対称であるデザイン性、金無垢(ゴールド)をケースの材質

ハミルトンの歴史【前編】アメリカと共に

今回は九州最大規模の商品ラインナップを誇り、福岡天賞堂のメインブランドである“HAMILTON(ハミルトン) ”というブランドを詳しくご紹介させて頂きたいと思います。 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 創業は1892年。現在でこそ、スイスメイドウォッチとしてブランドが知れ渡っていますが、アメリカで誕生した時計ブランドとなり、当時は、蒸気機関車の鉄道時計を製作していたウォッチブランドです。 1900年代初頭に、アメリカの鉄道は路線を含

ハミルトンの歴史【後編】キングオブロックとレトロフューチャー

今回は九州最大規模の商品ラインナップを誇り、福岡天賞堂のメインブランドである“HAMILTON(ハミルトン) ”というブランドを詳しくご紹介させて頂きたいと思います。 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 1957年には、ハミルトンの歴史を知る上で、避けることの出来ないモデルが誕生。 前記の「ブルーハワイ」、「メン・イン・ブラック」シリーズといった映画に登場し、ハミルトンのアイコンウォッチともされている『ベンチュラ』です。 世界初の電

革新的な最新技術Nivachron

今期の新作としてこれから発売されるモデルに備わる新たな技術として“HAMILTON(ハミルトン) ”が革新を起こします。 2011年以来、ハミルトンはエボーシュメーカー(ETA社)との共同開発で80時間のロングパワーリザーブや型に収まらないブランドであるハミルトンの数多くのモデルに必要な特殊機能を備えた専用キャリバーを多く開発してきました。 2020年は、更なる躍進を遂げようと画期的な新しい非磁性合金『Nivachron』製のひげゼンマイを導入し、ハミルトンウォッチの

ハミルトン正規販売プレミアムショップへ

​​福岡天賞堂では現在正規取扱中のスイス時計ブランド『HAMILTON/ハミルトン』の正規取扱店登録が、国内わずか20店舗程度の【プレミアムショップ】 へと昇格する運びとなりました。 国内に数百店舗あるハミルトンの正規販売店の中でも「販売本数」「展示本数」「専用什器設置」などの厳しい条件をクリアーした店舗のみがプレミアムショップとして認定されます。 ハミルトン正規販売プレミアムショップは「プレミアムショップ限定モデルの販売」や「販促用オリジナルノベルティ」などの特典が

時計店スタッフが拘る筆記用具

Caran D'ache エクリドール レトロ パラジウムコート 万年筆  ※当店商品ではありません 腕時計の世界に身を置いていると『拘り』という言葉をよく耳にします。 腕時計が好きな方には「靴」「鞄」「財布」「カメラ」、そして「筆記用具」にも同じ位の情熱を注ぎこむ方が多くいらっしゃいます。 ■僕も腕時計の世界をより深く理解する為に、普段から『拘る』という行為を出来るだけ多く経験する様にしております 日々の実務の中において頻度の多い「筆記用具」は、文明が始まってから今

腕時計はなぜ左手に?

■腕時計って普通は左手につけるんですか? たまにそんな質問を頂きます。 販売している僕らも「それが普通だから」と、あまり深く考えず説明をしてしまいがちです。 ふと通勤電車で吊革に目をやると、腕時計を左手にはめている人が圧倒的に多いことに気づきます。 こうした光景も、実は時計の技術との関係があるのです。 ■昔の時計は今よりずっと弱かった 18世紀までの時計は大きく、重たく、簡単に腕に着けられるものではありませんでした。 懐中時計としてベストのポケットなどに忍ばせ、時

時計の針はなぜ右回りなのか?

■時計の針はどちらの方向へ回るのでしょうか? 当たり前すぎてそんな事考えた事もありませんでした。 もちろん右に回ります。 ヨーロッパで作られた時計も、日本で作られた時計も全てが右に回るので(一部逆回転の時計も存在します)、海外で購入した時計をそのまま日本で使う事が出来ます。 ■統一されない様々な世界のルール そもそも世界には様式や方式が統一されてない事は少なくありません。いや、統一されている事がほとんど無い、と言った方が正解かもしれません。 言葉は何千にも分かれ

手巻き式腕時計のたしなみ

皆さんは「手巻き式腕時計」と聞いてどう思いますか? 動力であるゼンマイを手で巻き上げて使用する昔ながらの機構です。 普通の方なら、「毎回手で巻くの?」「今どきソーラー蓄電の時計があるのに」「正直めんどくさい」と思うでしょうね。 良くわかります。 ではなぜ、今の時代に手巻き式の時計をあえて使う人がいるのでしょう? ■趣味の世界には、同じような「てまひま」を楽しむ傾向が他にもあります 例えばレコード。 柔らかい音が好きといった理由もあるでしょうが、レコードに針を落

腕時計のよくあるトラブル『磁気』

時計の三大大敵として挙げられる“水”、“衝撃”、“磁気”の内の一つで、現代社会では最も注意したい故障&不具合原因の一つが磁気です。 ■時計にとって磁気は大敵 磁気とは言っても色々な物から発生しているのですが、よく言われるのはスマートフォンや携帯電話、パソコンでしょう。 バッグの留め金がマグネットになっていたり、スマートフォンのケースがマグネットタイプになっているものも要注意です。 例えばスマートフォンのスピーカー部に密着させると、時計は16,000A/mの強さの磁界

腕時計のTPOのお話

今着けているその時計、今の場面に合っていますか? 腕時計はもちろん「時刻を知る道具」ですが、そのデザインやブランドイメージによって様々なシチュエーションで「合う合わない」がある。というお話です。 ■冠婚葬祭 コレはよく質問頂きます。 結婚式やパーティー等、華やかな場面には基本何でもオッケーです。 普段着けない様な、派手目な腕時計でも良いかもしれませんね。 もちろん仕事用で使っているモノでも構いません。 ちょっと難しいのはお葬式。 葬儀関係のHPやブログを見ると、「