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140字小説|あたかも深海のようなコーヒー

 彼女は僕が淹れた温かいコーヒーを静かに飲み、「ありがとう、この深みが好きなの」とささやいた。
 だから僕は深海へ。潜水調査船もかくやマリアナ海溝の底の底まで泳ぎ、水を汲んだ。
 深呼吸。深煎りのモカでドリップ。さあ、この湯気が昇るコーヒーは彼女の心まで温め得るだろうか?



140字小説コンテスト 秋の星々
主催 ほしおさなえ氏 星々事務局
レギュレーション 〈深〉という言葉を用いること
指定字数 140字以内
📉 落選

人生に必要なのは勇気、想像力、そして少しばかりのお金だ——とチャップリンも『ライムライト』で述べていますのでひとつ