マガジンのカバー画像

いろいろ

32
ハッシュタグによる分類をご活用ください:エッセイ / 晒しな日記 / 某人間 / 指定あり / 指定なし
運営しているクリエイター

2021年3月の記事一覧

エッセイ|翻訳家に憧れる日もある

 外国語を理解することや、外国人にこちらの言葉に含まれた意図を汲み取ってもらうことの難しさを指して「言葉の壁」とよく言うが(ベルリンの壁や万里の長城を想像してください)、実態はそんな甘っちょろいものではなく、エル・キャピタンやセブン・シスターズのような言葉の岩壁あるいは絶壁と言う方がピッタリではないか……心を穏やかにするため本棚に地理の参考書を片します。  さて冷静になって自分を見つめ直せば、文句を書いてしまうのは外国語ができないコンプレックスの裏返しだ。ただ、そういった自己

エッセイ|エッセイの実用性

「すべての物事には実用性が備わっているべき」とは思いませんが、実用性をテーマにして物事のあり方を思案するのは1つの方法です。それを踏まえてエッセイの実用性について考えました。効果はともかく、こうしてウンウン脳を働かせるのは僕だけではなく読者の方にとってもどのような利益があるかを探るということであり、それならば早めにしておくのが吉だと思うのです。僕が頭を搾って出した結論は「実用的なエッセイというのはトートロジーだ。なぜならエッセイそのものが実用的だから」というものでした。少しで

エッセイ|転じ、転がり込んだ大学生

 1枚の真っ白な紙とペンを机に置き、その前の椅子に座って頭を抱えている。まだ2作目なのにエッセイとして何を書けばいいのか浮かんでこないからだ。自分の人生はこの紙以上に薄っぺらなのかもしれない。所詮僕は中産階級の家庭で育った中肉中背の万年暗中模索人間だ。エッセイ挑戦はどうも見切り発車すぎた。こうなる予想はついたし覚悟もしていたけれど、案外何とかなるとも正直どこかで思っていた。見通しが砂糖のように甘い。  だけど、ふと1つ話の種が思い浮かぶ。大学において転学をした体験は文章にして

エッセイ|ファーストタッチであるということ

(なぜ僕はショートショート(ごく短い小説)を書いて公開しているのだろう?)と思うことがある。ネクタイを締めている時間なんか特に。姿見でネクタイが曲がっていないか確認する際、自分と対面する瞬間が訪れるからだ。物理的に自分を見た後、精神的に自分を見つめ直す機会を得る。  実際に書いたことはないですが、例えば美味しいレストランを紹介するみたいに今回は直接的に実用性のある文章ではないかもしれません。ですが他人の書いた文章を読むことで、それがどんな種類の文章であれ、ある瞬間に思わぬ内省