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【資格】30代のIT弱者が基本情報技術者試験に1発合格した勉強方法まとめ

令和5年度の基本情報技術者試験に奇跡的に合格しました。

基本情報はIT界隈ではそんなに大した資格ではないとの位置付けになっているようですが、実際に試験を受けてみた感想としては、宅建をはじめ合格率が15~30%前後の難易度の資格を何個か持っている私史上過去一ぶっちぎりで難しかったので、結構人を選ぶ資格なのかもしれません。

ITの知識が皆無の状態で勉強と実務を始めて最終的に取得に至るまで余裕で300時間くらいかかったので、一週間で受かりました的な記事を見ると今でも絶対嘘だろと思っています。

この辺りは自頭の良さだったり、基本的な知識量だったり、適性によるものなのかもしれませんが、とにかく未経験者が見たら何を問われているかほとんど分からないレベルの試験内容だと個人的には思います。

この記事ではいきなり情シスに飛ばされて社内SEをすることになってしまった筆者が、基本情報技術者試験に合格するまでに至った勉強方法をまとめたいと思います。

想定対象者は私と同シチュエーションで、

①文系で計算やIT自体に苦手意識がある。
②資格試験自体は受けた事がありそれなりに耐性があるが、別にそんなに頭は良くない。
③業務上、基本情報技術者レベルの知識習得が必須である。

としています。

※筆者の経歴はこちらです。


ちなみに恥を忍んで記載すると当時の私は、

・Excelは人が作った完成形に入力だけするものと思っていて使い方が分からない
・ctrl+C以外のショートカットを知らない
・LANケーブルが何なのか分からない

くらいの知識レベルでした。普通にひどいですし、会社もよくこんなやつをIT部門に異動させたなと思います。笑

試験について

まず資格試験の概要についてですが、以下の通りです。

情報処理系資格群のITパスポート、情報セキュリティマネジメントに次ぐ位置付けの資格ですね。

直近は試験会場のPCにて受験するCBT方式で通年受験が可能となり試験時間や内容もやや易化したことで合格率は30~40%くらいまで上がっているようなので、比較的心的ハードルは下がっている気がしますが、それでも結局それなりの水準まで知識レベルを上げないと偶然受かるみたいなことは少ない気がするので、数を打って当てに行く手法はあまり期待できないと試験だと思われます。

午前と午後それぞれ6割以上の得点で合格で、午前が総合的な知識問題、午後はほぼアルゴリズムやプログラミング関係の問題となっています。

試験範囲について

文字に起こすとすごい量なので割愛しますが、ざっくりITに関する知識全般です。

今となっては業務で普通に使うので当たり前には感じますが、ITが何も分からなかった時の気持ちを思い出すと用語や技術など思っていた以上に専門的な内容ばかりで覚えるだけでも結構きつかった記憶です。
見開き1ページ目で2進数が出てきてものすごく嫌な気持ちになったことが思い出されます。

午前が4択の知識系問題(一部計算問題)を90分で60題、午後が実際は計算などが必要な多選択式のアルゴリズム系の問題が8割、セキュリティ系の問題が2割で100分20題となっています。

私は普段は社内SEとして社内ITに関わる業務全般を扱っていますが、試験内容の半分くらいはなんだかんだで知識として使う瞬間があったので、そういう意味では実用的内容なのかもしれないです。ただ、特定のITジャンルに特化した職種だと全く使わない知識も多いのかなとは思います。

使用した教材

まず午前対策で使用したテキストですが「キタミ式イラストIT塾」です。
最初はもうちょっと堅めのテキストを使用していたのですが、意味が分からなくてイライラしたので途中から挿絵と解説重視のこれにしました。
下方修正のつもりで選びはしたのですが、実際テキストとしては王道中の王道で、何も分からない人が全体感を把握するためにはかなり有用だと思います。

続いて午後対策で購入したのが「出るとこだけ!基本情報技術者科目B」です。
こちらはそこまでこだわりがあって選んだわけではないのですが、後述の通りITにアレルギーがあるタイプの人にとって鬼門なのは午後試験なので、具体的な解法が書いてあってめんどくさいけど書かれたとおりにやれば得点の可能性を上げられるという点で結果よかったと思います。

ちなみに私は両テキスト共にどうせボロボロになるのと、新品はやたら高いのもあったので前年度の中古品を購入しました。
テキストは基礎知識の補完が目的で結局は過去問をやることになるので、個人的には試験制度が大幅に変更になったりしなければ必ずしも最新年度のものを購入する必要はないのかなと思います。

※下記のメルカリリンクから現在販売中のものが購入可能です。

最後にWebサイトですが「基本情報技術者試験ドットコム」ですね。

試験を受けていて使ってない人はいないのではないかくらいの超王道学習教材です。ITパスポート版などもあります。過去問が網羅されていてランダム出題で問題集としても使えるので、隙間時間の学習に最適です。ちゃんと解説もついているのでありがたいです。

具体的な学習方法

繰り返しになりますが、本記事の対象者は筆者と同様の全然向いてないと思いながらもギリギリのラインで受かりに行くような人を想定していますので、そもそも自頭がいい人や一定に知識がある人には以下はそんなに有用ではないかもしれません。

そして結果的にそれ相応の時間勉強をする事にはなるので、どちらかというとこんなにできないやつでも頑張れば取れるのかあというメンタル補助的な要素の方が大きいかもしれないです。

学習にあたっての全体の構造としては、

【午前対策】
・分かるところはできれば体系的に理解する。
・ひたすら用語や3文字アルファベットの略称を暗記する。
・計算問題で分からないものは諦めて答えごと暗記して同じ問題が出たらラッキーくらいにしておく。

【午後対策】
・午前の延長ではなく完全に別物として認識して、紙に書き起こしながら解く方法をめんどくさくても会得する。

です。恐らく苦手意識のあるほとんど人が午後で落ちます。

①とりあえずテキストを買う

まずいちばん最初にやることですが、適当に本屋でキタミ式をパラパラと立ち読みして下さい。ここで大体どんな内容なのか把握して、興味レベルの確認と試験日から逆算した学習時間を決めます。
アレルギーがあるタイプだと内容が意味分からなすぎてここで一回引くと思います。
ただ、テキストあるあるで細かく書いてあるだけで試験に合格するという観点では案外どうにかなるのでそこまで構えなくても大丈夫です。

この段階でめっちゃ分かるわ〜となる稀有な人を除き200〜300時間くらいは見ておいた方がいい気がするので、平日1時間+土日2時間で月約40時間×6ヶ月の想定で試験日を決めます。

CBT試験は良くも悪くもいつでも受けることができてしまうため、ある程度覚悟して試験日を決めてしまわないとズルズル後ろ倒ししてしまう可能性があるためです。

余程相性が悪くなければそのままキタミ式を買います。午後のテキストは当分使わないので、改めて買うので大丈夫です。

②2〜3周通読する

この辺りは個人差が大きいかとは思いますが、最低限の知識を補完するという意味では2周は読んでおいた方がいいのかなと思います。
私は資格試験系は基本的にジャンル問わずほぼ以下の方法で通読します。完全に好みです。

【1周目】
とにかく全体感が知れればいいので、内容は理解せず、覚悟して休みの日に1日で読み切る。とりあえず1ページずつテキストを目で追うくらいのイメージ。

【2周目】
1周目で読んだ内容は完全に忘れているので、ある程度知識を補完する目的で通読する。今回想定では1ヶ月30時間くらいのイメージ。難しい割に全然出てこない項目も多々あるので、分からなかったらマークだけして読み飛ばす。4割くらい理解できたら良しとする。

【3周目以降】
必要に応じて。結局読んでも覚えていない事の方が多いので基本的にはやらない。

ここで注意点ですが、キタミ式の内容は基本的に午前試験の対策で、実用的な午後試験対策にはならないのでその想定で通読して下さい。
また序盤に結構数学チックな項目が連続していきなり心が折れそうになりますが、やる気がなくなるくらいなら最初は読み飛ばして、実際に問題を解く際にちゃんと読むのでも全然いいと思います。

③ドットコムでひたすら過去問を解く

ここから実際の問題を解きながら、暗記フェーズに入ります。私はサイトのショートカットを作って、スマホメインで隙間時間にやってました。
最初のうちは問題の傾向が分からず苦戦すると思いますが、実際のCBT試験では問題は受験者ごとにランダムに出題され過去問の流用も多いので、もうそういうものなのだと諦めてパワーで暗記して下さい。

設問で不明点があれば都度キタミ式やネットで関連項目を確認して、軽くでもメモに残して後から確認できるようにしておいた方がいいです。
私はいまいち覚えられない用語や計算式はメモアプリに要点と共にまとめて見返すようにしてました。

計算が必要な問題も複数出題され答えを見ても分からないレベルの問題もたまに出たりしますが、苦手意識があっても式さえ覚えれば意外といけるのもありますし、特徴的な問題は答えごと覚えて全く同じ問題が出たらラッキー的な試験テクニックも私の時は使えました。

ただ最終的に大事なのは知ってれば一撃で答えられる系の問題をちゃんと解いて確実に6割に乗せることだと思うので、計算が苦手な人はあまり囚われなくていいようには思います。

とりあえずこのフェーズは学習内容が午後試験のベースになること、また業務的にも知識の補完に役立つ可能性が高いので、2ヶ月くらいは黙々とやっていいと思います。
加えて苦手意識がある人はアレルギーをなくす事も大切なので、少ない時間でも毎日継続してITと友達になる感を高めていきたいところです。

ちなみに割と重要な情報ですが、ITの試験のくせに午前も午後も電卓は使えないので筆算を忘れている人は思い出しておいた方がいいです。

④午後対策に着手する

ここまでざっくり3ヵ月の想定ですが、ある程度知識がついてきているはずなので並行して午後試験の対策に入ります。

ここでとにかく大事なのは午後試験の内容は異次元に別物だという事です。まずぱっと見の意味分からなさが尋常じゃないので、元々興味がないと本当にやる気が起きません。私がまさにそうでした。

恐らくですが午前試験は足切りみたいなもので、本丸の午後が完全に合否の分かれ目となります。問題としては主にこういう系統です。

普通に知らんがな、、となります。
中には暗算で解けるレベルの問題もありますが、計算量的にどう考えても書かないと無理な問題の方が多いです。
一応2割はセキュリティの範囲からも出るのですが、結局8割はこれ系の問題なので受かりたれば覚悟して臨むしかありません。こっちが軸です。

午後試験の学習方法ですが、まずは前述の「出るとこだけ!基本情報技術者科目B」を買って通読します。
ある程度決まり切った型みたいなものがあって序盤は簡単なので理解できると思うのですが、オブジェクト指向あたりから確実に混乱するので初回は限りなく流し読みでいいと思います。

2周目からちゃんと問題を解きながら読み進めます。
テキストにも書かれている通り、アルゴリズムが行っている複雑な構造を最小単位まで分解して一つずつミスなく確実に計算していく手法をトレースといい、計算やパズル的なものが苦手な人は午後に受かるにはこれをやる一択です。
すごくめんどくさくてもテキスト通りちゃんと紙にトレースしながら問題を解いていく作業を強く推奨します。

個人的には確実に解いて成功体験を重ねることがアレルギー対策的にも意義があるように感じるので、できれば後からノートを見返しても内容が分かるレベルに丁寧にトレースしつつ1ヶ月目安で頑張ってテキストを1周こなします。

一旦テキストを最後まで終わらせたら、次にドットコムで過去問を解き始めます。これもちゃんとトレースしながら解いた方がいいです。
というのも午前と違って午後は過去問の流用がなく答えの暗記で対応できないので、割と色々なパターンに慣れておく必要があるからです。
恐らく手も足も出ない問題も全然あると思いますが、頑張れば解ける問題を見極めてそういう問題は確実に取れるようにしたいです。

セキュリティの問題は午前の延長みたいな感じで文系組としては絶対落としたくないので、そういった意味でも午前の問題は片手間に解き続けていた方がいいと思います。あと午前で暗記した内容は気を抜いていると普通に忘れます。

このタイミングで意外と大事なのが試験の申し込みで、直前だと希望の会場や日時が全然取れないので早めに手続きしておくのが吉です。私はギリギリすぎて土日が全く空いておらず、有給を取って平日に受けました。勿体なさすぎる。

⑤一応1回くらいは時間を測ってみる

ラスト1ヶ月ですが、正直ここまで順調にやれる人はそもそも優秀だと思いますし普通に受かると思いますが、私はこの時点で普通に午後絶対無理じゃん、、となってだいぶやる気がなくなっていました。
思い返せばこのタイミングでやっとくべきだったなと思うのは、午後をせめて半分でも時間を測って解いておくべきだったという点と、CBT方式をもう少し想定しておくべきだったという点です。

午前は1問1分半で解き続ければ良いのですが、実際5秒くらいで解答できる問題もあるのでそれなりに暗記できていれば基本的には時間は余る可能性の方が高いと思います。私は苦手な計算問題を後回しにしてまとめて解いていたら普通にタイムオーバーしてしまいましたが。

対して午後試験は純粋に時間が足りなくなる可能性がかなり高いので、問題に優先度をつけるためにも、どれくらいの問題で解答するまでにどれくらい時間がかかるのか、ある程度測って把握しておいた方がいいです。

あとは紙媒体の試験に慣れていると、CBTは結構な違和感があります。ページを跨ぐとどこを読んでいるのか分からなくなるのと、紙面に書き込めないので配られる用紙へのメモのみが頼りになります。緊張も相まって結構テンパりました。

問題が全然違いますがフォームのイメージはプロメトリックのサイトから見れるので、分割表示版は確認しておいた方が良いです。

試験当日の心構え

最後にこれをいうと元も子もないのですが、一定期間は落ちても再受験ができるので年1回の試験みたいにものすごく緊張する必要はないです。

ただ個人的な現場の感想としては、CBT試験の全貌を理解しておらず他の試験含め同じ部屋にランダムに人が出入りすることを当日知って終始すごく気が散ったのと、部屋がめちゃくちゃ暑くて厚着していた事をすごく後悔したので、できる範囲のノイズ対策はしといた方がいいかもしれません。

あとは試験あるある的なやつですが、絶対にテキストで見たことがない意味の分からない問題が1問目で出るみたいなことはよくあります。
ギリギリ受かりたい勢はそこと向き合う必要は皆無なので、とにかく解ける問題を確実に解いて6割取ることを最優先にした方がいいです。

試験テクニック的には分からない問題もとりあえず適当にマークだけしておいて、時間が余ったらチャレンジしてみる、時間足りなくても適当にマークはしてあるから1/4で当たるという技もおすすめです。あとは午後はテンパりにくいセキュリティから解くとかもありだと多います。

CBT試験は結果が試験終了と同時にその場でPCに表示されます。応用情報などは合否発表まで2か月近く待たされるので、熱が冷める前に次のステップへ動き出せるところは割とありがたいですね。

まとめ

長々と書きましたが、苦手意識があったとしても時間をかけさえすればギリギリパワーやテクニックで押し切れるレベルの難易度だとは思いますし、仮にそういう取り方をしても一般レベルからしたら相当なIT知識の底上げになることは間違いないので、頭いい勢のノイズは気にせずに是非頑張って挑戦してもらいたいです。

個人的にはいきなり社内SEになってしまい辞めるかどうか悩んでいる過渡期に午前問題の学習で微妙に入ってくる知識にはだいぶ助けられましたし、少なからず業務と並行してシナジーを発揮した瞬間もあったので取得してよかったと思っています。

何よりどうせこういうのは元から適性のある頭がいいやつだけが受かるんだろと思っていた試験のボーダーに乗れたことは自分の人生的にも成功体験としてかなり大きかったですし、社内SEチャレンジとしても賞味期限をだいぶ延ばすことができました。
相変わらず業務には苦しめられてはいるので終わりはないのかもしれないですが、、、

最後に、この記事がだれかの合格に少しでも役立ってくれれば幸いです。これからも共にがんばりましょう。

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