【資格】30代のIT弱者が応用情報技術者試験に1発合格した話
基本情報技術者試験に引き続き、令和6年度春の応用情報技術者試験にも1発合格しました。自分でも結構びっくりしてます。
IT部門に異動になり知識ゼロの状態から始めたIPAの資格取得シリーズ第2弾で、今回に関しては本当に奇跡的に受かってしまった感は否めませんが一応合格は合格なので所感や勉強方法についてまとめたいと思います。
基本情報に合格した際の記事とスタンスは同様となりますので、記事の想定対象者は、
①文系で計算やIT自体に苦手意識がある。
②資格試験自体は受けた事がありそれなりに耐性があるが、別にそんなに頭は良くない。
③基本情報技術者試験合格相当の知識がある。
としています。
応用くらいのレベルだと本当に散歩するように気軽に取る人も中にはいるみたいですが、全然受かる気しないんだが???というテンションの人が気合い入れてやったらどうなるのかという観点でご覧下さい。
※基本情報に合格した際の記事はこちらです。
受験にあたっての前提条件
基本情報を受験した際は会社からも取得を期待されていた側面が大きかったのですが、応用情報に関してはせっかく基本情報にも受かったし流れでチャレンジしてみるかというモチベーションのみで実行しました。
また情シスに異動して約2年間で、
・EDR製品導入
・DNSサーバー切替
・クラウドサーバー導入
・UTM入替
・VLAN設定を含むネットワーク機器入替
あたりをメインタスクとして行ったため、周辺知識は最低限ありという状態でした。
試験について
まず資格試験の概要についてですが、以下の通りです。
情報処理系資格群のITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者に次ぐ位置付けの国家試験ですが、難易度の関係もあっていきなり応用情報を受けるというよりは基本情報技術者試験の流れで受験に至る人が多いのではないかと思われます。
春(4月)、秋(10月)の年2回の筆記試験で合格率は20%前後を推移しているのですが、前述の通り基本情報技術者試験に合格、または学習途中に切替えた受験者がメイン層になると思われるので普通に高難易度の試験だと思います。
試験構成は午前午後の2部、午前は4択の総合的な知識問題、午後は必須問題が1題+10項目から4題選択式で計5題の記述式問題となっており、共に6割以上正答で合格となります。
基本情報技術者試験との相違点
まず単純に午前150分、午後150分の計5時間と試験時間が長いです。
にも関わらず午前も午後も時間内で終わらなかったりするので、単純にものすごい集中力と体力がいります。
午前はほぼ基本情報と同様の出題形式ですが、午後は大きく傾向が変わって、架空の企業にて課題解決のために取り組んでいることなどが複数ページに渡って記されており、設問ごとに問題点を読み解きながら記述式で回答するような形式となっています。
また大問単位での選択式のため選択をひとつでも間違うと大爆死する恐れがあり、特に文系受験者はどこまで技術系ジャンルの選択肢を許容できるか、事前の準備が必要になるかと思います。
使用した教材
まず例によって午前対策は「キタミ式イラストIT塾」です。
正直これに関しては結果論として基本情報版のキタミ式の使いまわしでも良かった気もしていますが、一応応用情報版を購入しました。
10月に基本情報に合格してから応用情報の着手まで2ヶ月程空いてしまったので、かなり忘れている項目も多く基礎の思い出しに使用しました。
続いて午後対策で購入したのが「応用情報技術者 午後問題の重点対策」です。
通称「緑本」です。受験にあたり参考書を調べたところ王道っぽかったので取り急ぎ購入しました。
文字量が多いので辟易するところはありますが、応用情報の午後試験は基本情報と比較すると問題選択の戦略や回答のテクニックが問われる部分が大きく、記述問題の回答にあたってどうやって答えを導き出すか具体的に書いてあるので内容としては良かったと思います。
※下記のメルカリリンクから現在販売中のものが購入可能です。
最後にWebサイトですが基本情報と同様で「応用情報技術者試験ドットコム」です。絶対に外せないですし、応用情報に限っては受験直後の回答速報や掲示板での受験者間でのやり取りなど基本情報以上に多用することとなりました。
具体的な学習方法
あくまで肌感としては午前試験に関しては難易度は多少上がるものの大枠の出題傾向は基本情報と同様のため、新たな対策を立てる必要はないかと思います。出題範囲もほぼ一緒とみていいです。
裏を返すと午前試験は足切りにすぎず、合否を大きく分けるのは午後試験かと思います。基本情報と同様ですね。
前述の通り応用情報の午後はほぼアルゴリズム対策をすればいいだけの基本情報の午後と違って、選択問題対策をどのように練るかが合否を分ける上で非常に重要になってきます。
私も受験にあたり複数のブログを見て事前に戦略を練ったのですが、プログラミングやデータベースなどゴリゴリの技術系ジャンルで突破する人もいれば、監査や経営戦略などもはやIT関係ないのではといったジャンルを軸にする人もいたりと受かり方にはかなり幅があるようでした。
適性は人それぞれなので、テキストに着手する前の段階で合格者のブログなどを確認し、
・どんな選択項目があるのか
・各項目に対する受験者の印象はどうか
・現時点での自分の印象はどうか
あたりをまとめておいて、学習開始時にはある程度の方向性を持てるようにしておくのがよいと思います。
私は各選択項目の印象を以下のようにシートにまとめながら学習計画を立てていました。推奨の欄はネットで見つけた受験者の感想を参考にしています。
尚、学習期間については約4ヶ月、平日1〜2時間、土日2〜3時間ずつくらいの計200時間くらいで臨みました。
①試験日と申込日を確認する
まず試験に申し込まないと始まらないのですが基本情報と違って試験が年2回しかなく、申込締切日が約3ヶ月前と思っている以上に早いので注意が必要です。
②とりあえずキタミ式を通読する
午前試験の全体感を把握するのが目的なので、基本情報に合格しているのであればあーこんな感じの問題あったなー、くらいのテンションで1周通読すれば十分かと思います。
解答力は過去問で上げたいところなので、あまり囚われずにサクサク進めたいところです。
③ドットコムでひたすら過去問を解く
午前対策はこれがメインになってきます。
文系は用語問題は絶対落としたくないのでひたすら暗記です。また午後対策がどうしても大枠で時間を取って行わざる得ないので、午前はドットコムで隙間時間で取り組みたいところです。
鬼門となる計算問題ですが、基本情報同様に電卓は使えないので可能であれば紙に計算しながら解ける環境でも取り組んだ方がいいかと思います。
基本情報とほとんど同じみたいなテンションで書いてはいますが、結局それなりに難しくなっているので基本情報程点数が伸びない可能性は十分あり得ます。
そのため計算問題を完全に捨てるのはリスクが高いかと思うのですが、計算問題も過去問と完全に同じ問題が出ることが全然あるので、全く理解できない問題は答えごと暗記してしまうのが無難です。
試験本番も10点分くらいこれ答え見たことあるわで解答した問題がありました。
あまりスマートな受かり方ではないかも知れませんが、ギリギリを狙いに行くなら割り切って取り組んでいいと思います。
ちなみに直前2回分は過去問からの使い回しがないようなので暗記する場合は注意です。
また午後試験でも午前試験のように用語を解答する問題が出るのですが、基本的にそのケースでも記述式となります。
4択だと躊躇なく解答できる問題でもいざ用語を書いてみると漢字が分からなかったりスペルが分からなかったりといったことが多発するので、このタイミングから記述する可能性を意識して取り組んでおくことをおすすめします。
MQTTが正解のところ、かろうじて思い出してMQQTと書いて落としたりなどが普通に起こります。
④午後対策に着手する
午後対策については早めに入った方がいいと思います。期間4ヶ月であれば、最初の1ヶ月以降は午後をメインで学習するくらいのイメージです。
選択式である以上あえて苦手なジャンルに時間を割く必要はないので、事前にある程度当てをつけた選択候補を中心に緑本の「演習問題」を2題ずつくらい解いてみて学習の方向性を確定させます。
一部では「応用は午後ガチャ」という意見も見受けられるように得意な分野でも当日全く解けない問題が出る可能性は十分あるので、選択問題は10問中6~7問は対策しておくのが無難です。
実際私も学習中は「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」「システム監査」「経営戦略」あたりを得点源にしたド文系スタイルで臨んでいたのですが、試験当日システム監査が絶望的に解けず予備の情報システム開発も早々に損切りしていたため、急遽予備予備のネットワークに切替えた経緯があり、学習範囲に入れていなかったら確実に落ちていたのでかなり危なかったです。
選択問題分の緑本をこなして大体の解法やイメージを掴んだら、後はひたすら過去問です。
本番は1題を25分で解くという時間との戦いがあるので、取り組む際は30分くらいは確保してある程度まとめて解くように心掛けておくのが無難かと思います。
過去問はIPAのサイトにアップされているので、できれば紙で印刷して実際に書き込みながら取り組むことをおすすめします。
IPAのサイトには解説自体はないのですが、ドットコムでは問題と合わせて簡単な解説が見れるので答え合わせ時は参考にして下さい。
ちなみに午後試験は合格しても配点が公表されません。ただ画一的に採点するにあたって必ず根拠となるワードや文章構成があるはずなので、可能な限り本文中からそれらを拾い出すこと、シンプルな言い回しを意識して解答することが大切かと思います。
記述量が多い設問は配点も大きい傾向にあるので、大幅に逸れたことを書いていなければ部分点がつく可能性もあります。
あとはあるあるなのが前半の設問は本文の該当下線箇所があれば8割くらいはその少し前に解答根拠がある印象なのですが、後半の設問になるといきなり回答の根拠が本文のすごい前半に飛んだりします。
幸いCBTではなく問題用紙に直接記入ができるので、登場人物や重要な用語など自分で判断できるマークや下線の種類を決めておいて、後から前半に戻っても迷子にならないようにしておくことをおすすめします。
午前も一応1年分くらいはまとめて過去問を解いて、大体どんな構成で出るかくらいは確認しておいた方がいいかと思います。
⑤頑張って1回だけ時間を測って解く
ものすごくめんどくさいとは思うのですが、1ヶ月〜2週間前くらいに初見の過去問1年分を通しで150分やっておいた方がいいです。1回この辺でショックを受けておくべきです。
試験当日の心構え
試験会場次第ではありますが、そもそも試験開始が早いのと合わせて試験会場が遠いと想像以上にバタバタすることになるので要注意です。私は駅から試験会場まで徒歩で30分くらいかかって結構焦りました。
あとこれも会場次第なのかもしれませんが、そういった環境も相まってか遅刻者が多発して開始序盤にかなり集中力を削がれました。
前後の机がものすごい近いわ、貧乏ゆすりすごい人がいるわなど想定外のノイズもあったので、最悪そういう好ましくない環境で受験することになる事も覚悟しておいた方がいいです。
あとは会場に時計なかったです。鉛筆や腕時計は忘れても貸してもらえません。
午前試験が終わると1時間ほど時間が空くのですが、すでにドットコムなどで解答速報が出始めます。ただこれは精度があまり高くないので、個人的には受かっていることを信じて休憩や軽食に当てつつ用語の確認などに時間を使った方がいいかと思います。
午後試験は最初の10分ほどで選択問題を確認し解答する4題を選択、事前に決めておいたタイムテーブルに則って解答するような流れて臨みました。時計を見て毎回残り時間計算をするのが嫌だったので、開始と同時に表紙にタイムテーブルを書いてそれを見ながら解答してました。
あとは自己採点をどれだけ正確に行うかは記述がある以上なかなか難しいところではあるのですが、私は短い解答は設問の横にメモしておいて、長文の記述は解答の主体をかっこで括って設問番号を付けたりしてある程度後から見返しても方向性くらいは思い出せるようにだけしていました。
当たり前ですが全文転記したりするのは圧倒的に目的から逸れるのでやらない方がいいです。
午後に関しては本当に設問との相性だと思います。急にトレンドっぽい用語を書かされたりとかもするので、日頃の業務内容やアンテナの張り具合も大切かもしれません。
試験を受けてみた感想
シチュエーションにより人それぞれだとは思うのですが、個人的にはストレスの掛かり具合という点では実際は基本情報の方がきつかった印象を受けました。
具体的な要因としては、
①基本情報学習時は一切IT知識がなかったためとにかく覚える事が多く、理解が追い付かない期間が長かった点
②基本情報受験時は業務で実際に触れることができたジャンルが少なかった点
③基本情報では午後のアルゴリズムが必須であった点
などが挙げられると思います。
特に③に関しては本当に大きな要素に感じていて、応用の午後では意図的に苦手なプログラミングやデータベースを外して選択する事ができたため、精神的にかなり取り組みやすかったです。
巷で応用情報の方が簡単という意見が散見されるのはこの辺りの適性によるものが大きいのではないかと思います。
結論、基本情報を受験できるくらいのポテンシャルがある文系出身者は戦略次第で応用情報も十分受験視野に入るというのが感想です。
ちなみに合格発表まで2ヶ月近く空くので、厳しめにみた午後の自己採点がボーダーやや下だった私はものすごく嫌な時間を過ごすことになってしまいました。
上振れした分は模範解答とは逸れてるけどそれっぽいことを書いていた項目に部分点がついていたものと思われます。これから受験する方はこんな思いをせずに余裕で8割くらい取って有意義な2ヶ月を過ごして頂ける事を切に願っております。
最後に、この記事がだれかの合格に少しでも役立ってくれれば幸いです。これからも共にがんばりましょう。
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