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三歩で忘れる恨み(短編小説)

子供の頃はまだ動けたが身体もどんどん成長して大きくなり、上も下も右も左も前も後ろも壁と身体が接して身動きをとることは出来なくなっていた。

そんな私の所に外から来る小さな奴らが言う。

『外は広いよ!大きいよ!自由に空を飛び大地を歩きみんなと楽しく遊べるよ!君たちは身動きも出来ず食べられるのを待つばかり。可哀想だね!』

小さな奴らは言葉とは裏腹にウキウキニコニコと話しかけて来る。

『うるさい!お前らどっかに行け〜』

けれど奴らは何処かに行かない。

ここには食べ物が沢山あるからだ。

奴らはギリギリのところまで近づいて私の羽根を抜き身体を突き悪態をついてくる。

【この恨み、、絶対忘れない、絶対死んだら恨み殺してやる】

そして運命の時が来た。

ゲージから出された私は首をはねられた。

首をはねられた身体は《一歩二歩三歩》と歩き、捕まえられて吊るされた。


【何か忘れてはいけないことがあったけど何だったっけ?】

【ここはなんか広く落ち着かないなぁ】

三歩で忘れる記憶力は私を幸せな世界へと送り出していた。









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