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担任を変えてください④大人と子どもとのボタンの掛け違えの場合。:特別支援学校現場より

担任を変えてください!!


そのように、言われてしまったとき・・・どうしましょう。          変えられない・・基本は学校のシステムです。

社会的な問題が大きかったり、                                                                学校側の都合で
変えることはありますが、、、、。

こどもが学校が嫌いになっている、情緒不安定、
明らかに子どもの様子がおきていても・・・               学校としての対応が大きくなければ変わることは少ないですよね。        

 子どもが明らかに学校いくのいや。                  その先生との関係性が悪すぎる時期が長くなっている。
現場もそう判断するなら
「変えましょう」「変えてほしい」
私もそう思います。
これは不幸です。

でもわたしたちがチームで絶対的に考えないといけないのは


保護者と担任とのボタンの掛け違え・・・の場合です。


ボタンのかけちがえとは、つまり・・・子どもは成長している。
担任と子どもがよい関係であると現場が判断した場合です。

でも担任を変えてと言われてしまった場合です。

転入生の小6のやすくん。
新しい学校にとってもなじんで楽しんで通えるようになりました。
以前の学校では他害が多くて、とにかく他害がでないようにと
彼が好むことをすること、                      他害があるからやすくんは好きにしてもよい
そういう引継ぎを受けました。                    それは、保護者の方の要望でもあると。

やすくんが、好きなことを保障されているのは
いいことですが、                          好きにしてよいには違和感ありますよね。


その引継ぎをきいた,中野先生。
新しい担任の中野先生はやすくんの好きな遊びを見つけて、
転入してきてしばらくはやすくんとの関係性を作ることに重きをおきました。

中野先生気になりました。保護者の方とのお話の中で
やすくんが楽しく過ごせていたらそれでいいんです。という言葉。
楽しく過ごせてさえすればいいって。                 あれ引継ぎは困り感多く聞いているけど、                お母さんは困り感が少ないし、                    安くん、成長することを期待されていないのかな?と

やすくん、言葉の理解も興味関心もいろいろあるし、           予定もわかっています。
確かにみんながやっている楽しそうなあそびのところを         みつけてはそちらにいく・・・。
楽しいことが好きな子どもなんです。                 こどもらしい、とても、伸びしろのある子です。

でもね、ともだちがもっているものに興味をもったら
何も言わずにそれをとろうとします。                 で、相手の子が渡さないって力をこめたら、
すぐさまバチン、顔面をたたいてしまうんです。   

                
興味を持ったらすぐ、                         すぐに要求がかなわないとづつき、
それでもかなわないとパニックをよそおう。              これでは伸びる目が育たない。

中野先生、考えました。
やすくんの自分の要求がかなわないとすぐに手がでてしまうところ、
エスカレートするとパニック風の態度をみせる。
それから保護者の方のやすくんが楽しければに込められた奥にある気持ち。

この先思春期がきて、もっと身体が大きくなった時に
もっと力が強くなってきて、安くんの要求にこたえ続けるのか・・・
家族で越えれるのか。。。と。そして何よりもっとやすくんはできるこだと!

やすくんって・・・隙間がないのです。
少し待つとか、これさわってもいい?と大人の顔をみるとか、      大人に確認するような
幼児期に獲得しておきたかった力が今は育っていません。

安くんは特に、友だちにもすぐにたたくので              大人が常にそばにいます。


やすくんにとっては、大人というのは、                 自分の不愉快の原因もとってくれるし、
要求もかなえてくれる便利な存在になってしまいました。

だから要求をかなえてくれない大人に対しては頭突きをしたり、     力で威嚇して
要求を聞かせます。力が弱かったり、                 身体のちいさい女の先生ではすでにやりとりすらできません。      身体の大きな、怒ると怖そうな男の先生となら‥少しは・・・
って感じに育ってしまいました。


やってもいい?これはだめやね。残念やったね。
使いたかったね。我慢できたね。こっちでやってみよっか。・・・

日々、小さなやり取りが失われ、気持ちがコントロールできた
感、そういうことね!という感触も、                  大人と一緒に積み上げられていません。


大人と共感しながら「できたよね!」ということと、
そして、ルールは自分の外にあることを学べていないのです。

中野先生は中学部に行くまでに、                   少しでもつけておきたい力があると思いました。

それは
やすくんのできたよね!そういうことね!を増やすことと、
要求が通らない場面もあっても、乗り越えられるよという
経験を大人と一緒にしておき、ルールは自分の外にあることを学ぶことを
思い、小学部最後の学校生活を過ごすにあたってそれらを大切にしたいことを保護者の方にお話ししてみました。

子どもの成長に必要なこと、ひょっとしたら
大人には「痛みの感情」を伴うかもしれないけど、
これから家族で生活していくためにも欠かせない力であることを
伝えてみました。

その時は保護者の方もそうですねそうですよね。。
ともっともとうなずいてはおられました・・・。

そうやって小さなやりとりを毎日積み重ねて中野先生中心に
好きな遊びを見通しに学校生活を作り直ししました。

もともと見通しの力も育っていて明るい安んは
早い段階で、そういうことね!を経験することができました。

そんなある時、参観で保護者の方が学校に見えられていて、
授業中にやすくんは、友だちが使っている教材を奪ってしまい
そばにいた先生が止めたことがきっかけで
学校では久しぶりにお母さんの目の前でパニックを起こしてしまいました。

お母さん、やすくんのパニックの様子をみて、耐えられなくて
教材を渡してくださいませんか?と中野先生に言いました。
でも中野先生はやすくんと真剣に向き合っている真っ最中。
それに応じることはできません。

やすくんは、保護者のほうにすがるような目で訴え
「カラーコップ頂戴!カラーコップ!!」と保護者に訴え始めました。

「やすくんそれは和君のお勉強で使ってるよ。             お勉強終わったらかしてもらおう」
静かにそう伝え、中野先生は要求には応じませんでした。

でもね、パニックが収まり、葛藤できるように
なってきたやすくん。
やすくんはしばらく
中野先生のそばで泣いていました。

でも葛藤できなかったのは保護者の方。
あんなに要求しているのに、
あんなに泣いているのに
パニックおこしているのに
ひどいって
お怒りで伝えてこられました。

「担任をかえてください」と

やすくんの成長がみえて、今大切な時期・・・。
誠意を込めて対応していたつもりの中野先生。
言葉が足りなかったのかな。

中野先生落ち込みました。

さあ、学校はチームとしてどういう風に対応したのでしょうか?

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