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レポート「まちのPTA学科」


はじめに 


JR福井駅から東に歩いて5分ほどの場所にある福井ゲストハウスSAMMIE’S。


中に入ると、初めて来たのになぜかほっとしてしまうような空間が広がっていました。

「こんにちは。はじめまして!」

こちらまでほっこりするような笑顔で迎えてくださったのは、SAMMIE’Sのオーナー・森岡咲子さん。

今回の「まちのPTA学科」のせんせいです。

森岡せんせいは通信制高校サポート校の国語講師で、2023年度福井市私立認定こども園/幼稚園PTA連合会会長、そして2児のお母さんです。

2022年9月に開催された「まちの文化学部 福井の学びを学ぶ学科」でもせんせいを務めました。

森岡咲子せんせい


今回のテーマであるPTA。

検索エンジンで「PTA」と入力すると、候補に挙がるのは
 「入らない」 「断る理由」 「廃止」
など、ネガティブな言葉ばかりです。
同様のイメージを持つ方は少なくないでしょう。

では、PTAは何のために設置されているのでしょうか?
PTAをつくる保護者と学校はどのように関わっていけばいいのでしょうか?

「まちのPTA学科」は、
①    PTAの本来の目的に立ち返ること
②    せんせいと参加者がそれぞれの知見や経験を共有すること

を通じて保護者と学校のちょうどいい関わり方を考えるための講座です。

参加者は7名。現役で園児や小学生の子どもを育てている方はもちろん、教員側からの参加もありました。

会場となった福井ゲストハウスSAMMIE’Sの共用スペースでは、座布団の上で体操座りをしたり、足を崩したり、こたつに入ったり…
誰もがリラックスした状態で講座が始まりました。


PTAの歴史と国際比較


Parent Teacher Association、略してPTA。
子どもがいる、いないにかかわらず誰もが聞いたことのある言葉ですが、
そもそもどのような団体なのでしょうか。

公益社団法人・日本PTA全国協議会は、PTAを「社会教育団体」と定義しています。
「社会教育」とは社会において行われる教育のことです。
幅広い活動を通して保護者と教員がともに学び、成長していける組織、それがPTAであるといいます。

しかし、森岡せんせいが日本のPTAに関する歴史を通じて話されたのは、PTAが長年「社会教育団体」とはかけ離れた状態にあったことでした。

さらに、現代にも加入や活動の強制、活動時間や効率の問題があるといい、PTAのあり方に疑問を呈しました。


次にせんせいが取り上げたのは、海外のPTA事情についてでした。
PTAのあり方を考える上で参考になりそうだと感じたので、ご紹介します。

・アメリカ
PTA発祥の地ですが、日本のPTAのように学校単位で設置されている団体はPTO(Parent Teacher Organization)というそうです。
PTOには日本のPTAと同じく女性、特に専業主婦が多く参加していますが、自分の専門や趣味を活かせる分野で活動する、自主性の高い団体であるといいます。
また、不要なものはなくしていくような合理主義が徹底されている点が、前年踏襲型の日本のPTAとは大きく異なります。
 
・ベルギーやオランダ
学校行事の時期が近づくと手紙やメールで募集がかかり、できる時にできる人がお手伝いをするそうです。
なお、オランダのPTAには委員会がないといいます。

同じPTAでも、国が変わればその仕組みや活動内容も変わります。
このようにPTAの国際比較をしてみると、海外のPTAの方がよりボランティア団体に近く(もしくはボランティア団体として確立されており)、日本の各PTAが抱える問題が浮かび上がってくるのではないでしょうか。


参加者は真剣な面持ちでせんせいの解説を聞いていましたが、その横でせんせいのお子さんが自由に動き回る姿を見るとみんなにっこり。
会場はさらに和やかな雰囲気に包まれました。

参加者のお子さんとも一緒に遊んでいました!


せんせいのPTA日誌


このパートでは、森岡せんせいのPTA会長としての経験が共有されました。
会長の任期が始まる前に感じた課題を解決するために工夫したこと、うまくいかなかったこと、今後取り組んでいきたいことをエピソードとともに話されていました。

それらの経験と前のパートで挙げられた現代のPTAの問題を踏まえ、せんせいが参加者に伝えたのは「実践型PTAマネジメント5か条」でした。

①      ボランティアベースで
②      やりたい家庭がやる
③      前例に囚われすぎないが、これまでの努力も尊重する
④      形式にこだわらず、やりやすさを重視する
⑤      何のための活動かを常に考える

P(保護者)とT(先生)どちらの立場でもあり、会長として本来のPTAのあり方を目指したせんせいが語られたことで、この5か条がいかに重要であるかが伝わってきました。


参加者の知見・経験の共有


講座の後半は参加者がPTAに関する知見や経験を一人ひとり話し、保護者と学校のちょうどいい関わり方を考える時間でした。

ここではその一部をご紹介します。

・2児の親
園だけで子どもが育つわけではないので、保護者と先生がコミュニケーションをとって密になることは大事だと思う。
また、園の行事を先生たちによるサービスとして捉えるのではなく、保護者も先生と一緒になってつくっていきたい。

・1児の親
子どもが通う保育園にPTAはあるようだが、その活動についてはほとんど知らない。他の参加者の話を聞いて、園によってPTAの活動量やPTAに対する保護者の意識が異なることを知った。

・学校の先生であり、自身の子どもの学校でPTA会長も務める親
PTA総会は毎回殺伐とした雰囲気になっている。会長として何のためのPTAかを説明し、みんなで理解する場にしたい。
先生という立場では、保護者の思いを聞き、学校の思いを伝えたい。


各PTAによって事情は異なるので、保護者と学校のちょうどいい関わり方を見つけるのは容易でないはずです。
それでもせんせいのお話を踏まえ、それぞれの最適解を考える参加者の姿が印象的でした。


さいごに


「まちのPTA学科」を受講した感想を参加者に聞きました。

学校と家庭の真ん中にPTAがあって、先生と保護者の立場の違いや不完全な部分を補い合うことは子どものためになりますし、互いの信頼も重ねることができます。
それが持続可能なPTAの在り方なのかなと思いました。
現場に立つ先生や保護者、そして森岡せんせいの経験談を聞いたり意見交換をしたりして得たことをもとに、子どもたちのために動いていきたいです。

森岡せんせいにも感想を聞きました。

今回集まったのは年齢も性別も立場も違う人たちで、それぞれの立場からのコメントを聞いて私も勉強になりました。これこそPTAの目的である学び合いだなと感じました。
参加者からはPTAの成り立ちがわかってスッキリしたと言われ、せんせいをやってよかったです。
今後、保護者と学校の関係づくりに前向きに取り組んでいく人が増えたらと思います。


皆さんにとっても、このレポートがPTAの本来の在り方や、保護者と学校のちょうどいい関わり方を考えるきっかけになれれば嬉しいです。


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